近畿大学 図書館司書 『情報サービス論』合格レポート 2024年4月入学


【設題】

大学図書館における利用指導の内容7点を挙げ、それぞれについて簡潔に述べた後、利用教育の手段についてはどうあるべきか、最近の動向にも配慮し、貴方自身の考え方を含め論じてください。

【レポート】(2,100字)

1.はじめに
 情報社会では情報活用能力が必須であり、必要な情報を収集・評価・選択・活用するために利用教育が重要である。ここでは、大学図書館での利用教育の概要と図書館の利用教育の手段について述べる
 
2.大学図書館における利用指導について
 大学図書館の利用指導には、①オリエンテーション、②図書館ツアー、③OPAC・カード検索指導、④文献探索法、⑤コンピュータリテラシー教育、⑥レポート・論文作成のためのステップ指導、⑦視聴覚機器やコンピュータ機器を使った編集指導の7点がある。
 ①と②は、図書館の利用方法やその図書館施設についての案内であり、①は新入生対象が多い。②は実際に図書館内を案内、またはビデオ等でガイドし、図書館サービスの種類や利用方法を説明する。続いて、効率的な資料の探し方について、③では書誌データが登録された目録に基づく蔵書検索や書誌的事項の確認方法の指導で現在はOPACによる蔵書検索が多い。④は一般的な文献の探索法から学習や研究上での特定主題領域の文献探索について情報収集・取捨選択・評価・活用方法が指導される。図書や論文記事、新聞記事探索といった一般的文献探索法は1年時から受講可能な情報系の授業で、研究分野での主題文献探索法はゼミや卒論など研究課題の仮説検証に情報収集、考察につなげる分析のため、3・4年時に指導を受けることが多い。⑤は情報収集手段として、パソコンでのインターネットや通信方法等の基本的な利用方法が教えられる。⑥はレポート・論文の書き方や利用した参考文献の引用方法を教育する。レポートや論文作成のために、課題の設定後の情報収集や整理、分析、まとめ、表現までの研究戦略を指導する。また、参考文献の引用方法や表現方法も含む。⑦はレポートや課題、小テスト、出欠管理等が管理されるオンライン授業管理システムを利用するためのデータの抽出や加工、整理保存の指導である。
 
3.利用教育の手段について
 図書館の利用教育には映像資料の活用、印刷物、パソコンの利用等がある。
 映像資料は、インターネットでの動画閲覧が広く普及しており、講座・講習等でも利用される。資料等を投影できる書画カメラ、パワーポイントスライドで作成された資料の利用、スライドをデジタルサイネージに映し出すような活用がある。図書館による利用案内動画作成の事例に、大阪府枚方市立図書館は館内の映像作成スタジオで作成し、聴覚障がい者用に手話字幕付きビデオの提供がある。
 印刷物の利用は、書誌解説・マニュアル等のテキストや図書館案内、OPACの使い方や参考図書の理解度を測るような問題、プリント資料がある。図書館案内は大人用、子ども用、外国語用など利用対象によって複数の種類を作成する場合もある。北河内市立図書館のパンフレットはA4サイズで、弱視の方や高齢者も念頭において大きい文字で印刷してあり、コピー用紙のような紙に印刷して簡単に折りたためるのが特徴である。
 パソコンによる利用教育では、ホームページ内に動画等の利用教育が組み込まれるなど、利用者自身のセルサービス形式の利用教育が今後も増えていくと考えられる。最近では、CAIやインターネット上のパスファインダーがパソコン等の電子媒体を通して利用されている。
 CAI(Computer  Assisted  Instruction)とは、コンピュータ支援による教育のことで、CAIコースウェアは、CAIの環境で学習を進めるためのプログラムである。利用者はパソコン等でCAIコースウェアを操作し、理解度に合わせて自分のペースで学習を進めることができる。Web上で公開されているCAIコースウェア(Web-based  Tutorial)の例にOhio  State  University  Librariesのnet.TUTORがある。そこでは、Webプラウザ、電子メール、データベース等のツールの利用方法や研究戦略、Web版OPACの検索方法、雑誌論文の探し方等の研究手法について、複数のチュートリアル・プログラムをインターネット上で活用でき、利用者が自主的に学ぶこができる。
 パスファインダーは、特定のテーマに関連した基本的文献・情報源を一覧にまとめ、図書館の使い方、情報の探し方を紹介した手引きのことである。現在では各地の図書館で作成したパスファインダーがインターネットで共有されるなど、紙媒体にこだわらない活用が進んでいる。国立国会図書館では、「リサーチ・ナビ」というパスファインダーが提供されている。また、都道府県立、政令指定都市立図書館のウェブサイトに紹介されているパスファインダーを集めた「公共図書館パスファインダーリンク集」もある。
 様々な背景をもつ人々に対して利用教育の機会を得られるよう、教育内容の柔軟性と教育方法・手段の多様化を進めることが求められている。また、利用教育の様々な手段をうまく組み合わせて、誰もが新しい技術に触れる機会を設けて、利用教育をしながらパソコン等の利用に親しみを持たせることも情報リテラシー向上に有効のではないかと考える。

【参考文献】

小田光宏・庭井史恵、『図書館サービス概論』、日本図書館協会、2023.12.25
金沢みどり、『図書館サービス概論』、学文社、2022.12.10
根本彰・齋藤泰則、『レファレンスサービスの射程と展開』、日本図書館協会、2020.2
山﨑久道・原田智子編著、『情報サービス論』、樹村房、2019.3.28
小黒浩司編著、『図書館サービス概論 ひろがる図書館のサービス』、ミネルヴァ書房、2018.9.30
根本彰、『情報リテラシーのための図書館 -日本の教育制度と図書館の改革-』、みすず書房、2017.12.1
齋藤泰則、『図書館とレファレンスサービス』、樹村房、2017.12
阪田蓉子、『情報サービス論』、教育史料出版会、2015.3.25
竹之内禎編著、『情報サービス論』、学文社、2013.10.13
小田光宏、『情報サービス論』、日本図書館協会、2012.8.27

【講評】

<合格時(本レポート)の講評>
学習・理解はよくできています。論述内容も評価できます。なお、後者の柱では、巻末の参考文献の書籍から文中に効果的な「引用文」などを入れ、引用文献としての効果的な活用があるとさらに良くなったと思います。

<初回提出時の講評>
残念ながら後者の柱の利用教育の手段に勘違いがあるようです。
設題には二つの柱があり、後者の②の柱は「利用教育の手段についてはどうあるべきか、最近の動向にも配慮し、貴方自身の考え方を含め論じる」ものです。利用教育の手段に関するテキスト学習箇所はp.80-81です。
通信教育はテキスト学習の成果反映が基本になりますのでここの学習を元に学習成果をしっかりと反映させたうえ、さらに最近の動向(利用教育の手段に関する最新の具体的事例や文献研究など)の探究にて内容を膨らませ、利用教育の手段そのものに視点を合わせ、完成させて下さい。
 
なお、「利用教育の手段」(ここでの手段とは、テキストp.80-81に準拠します)の最近の動向は、自主的学習(ネット公開文献、論文、記事、図書館ホームページなどから)にて補ってください。
また、前者の柱に「…簡潔に述べるとともに…」とありますので、論述は、後者の方に重きを置くようにご留意下さい。

【感想】

設題をあまり意識せずに書いてしまったのが再提出の原因でした。
教科書や参考文献で一番わかりやすい表現のものや、新たな事例などを取り上げて書きました。

いろいろな参考文献を読んだこともあり、レポートの文字数も2,100字と提出できるギリギリの文字数に抑えるのが大変でした。

レポート返却日数は1回目が10日、2回目が17日でした。

このレポートは、メディア授業申し込みをするためにはレポートを提出しないといけないため、まずはテキスト読んで書いてみることをおすすめします。

【返却日数】

1回目:10日 4/1提出・4/11返却
2回目:17日 4/18提出・5/5返却



※注意
レポートの丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。




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