人事視点で見た「リスキリング」の3つのイシュー
こんにちは。パーソルイノベーション株式会社で副業マッチングサービスを展開するlotsful(ロッツフル)人事の古田です。
弊社Reskilling Camp Company代表 柿内著書の『リスキリングが最強チームをつくる 組織をアップデートし続けるDX人材育成のすべて』を読了したうえで、人事観点で「リスキリング」を進めるうえでイシューを考えてみました。
本書では事業視点での具体的なステップが記載されてますが、下記では少し違った目線で、リスキリングを検討している企業の人事の方々の参考になれば嬉しいです。
■リスキリングとは
「リスキリング」とは、「個人がキャリアアップのために学びなおすこと」というニュアンスよりも「企業が市場ニーズに適合するために従業員の学び直しを主導すること」だと捉えました。
(個人主体の学び直しは「リカレント教育」と呼ばれます。)
また、「リスキリング」という言葉は、DXと紐づけられITの学び直しのイメージをされることも多いですが、本来はITだけでなく広域の学び直しを指します。
今回はDXに限らないリスキリングを対象に考えていきたいと思います。
VUCAの時代で市場ニーズが変わり、事業変革を検討しないといけない場面が来た時、
リスキリングを進めるために人事観点でどんなイシューがあるのでしょうか?
■3つのイシュー
「リスキリング」はあくまで会社の成長が目的です。
既存事業で土台を整えながら、新たな事業やミッションで市場ニーズに適合したソリューションを進めていきます。(既存事業の中で新たなミッションが生まれる場合もあると思います。)
リスキリングを成功させて会社を成長させるために、人事が考えるべきイシューは次の3つだと考えました。
①誰をアサインするべきか?(タレントマネジメント)
リスキリングの目的は会社の成長ですが、学び直しをするのはあくまで個人です。
学び直しはただ新たな知識や能力を得るだけでなく、
「既存業務の知識・能力 × 新たな知識・能力」で大きな成果を発揮できると捉えています。
(例)営業で成果を出す能力 × ITの知識、採用の知識 × プロジェクトマネジメントの能力 など
そのため、既存の業務で一定の知見を持ち、成果を出している社員をアサインした方が、新ミッションにおいても成果につながりやすいと考えています。
一方で、既存事業で活躍している方を引き抜くことは、既存部署の大きな反発につながる可能性があります。社員本人のやりたいことにつながるかどうかも分からず、アサインされた社員のモチベーション低下も考えられます。
日頃からタレントマネジメントの観点で、「誰がどの業務でどんな知識や能力を保有しており、どんな長期キャリアを考えているのか」を経営陣で把握、すり合わせしていることで「誰をアサインするか?」をスムーズに意思決定しやすくなるのではないでしょうか。
②既存事業とは異なる時間軸、成果軸でどう評価するのか?
(報酬/評価制度・目標設定)
リスキリングにアサインされた社員のミッションは、まず新たな知識や能力の習得です。
研修受講やeラーニングを利用しながら学習計画を立てて、進めていきます。
そこで考えなければならないのが、「いつまでにどんな成果を求めるのか?」ということです。
あくまで学校ではないので、いつまでも学習期間とするわけにはいきません。一方で、新しいミッションにおいて求められる成果や妥当な期間の前例がないことも多いです。
新しいミッションの特性を鑑み、下記のような問いをもとに報酬/評価制度を検討し、それに連動した社員の目標設定ができていないと、求められる成果に至らなかったり、社員のモチベーション低下につながります。
人事として、しっかり上記を経営陣とディスカッションして決めておくことで、社員に対して納得感のある目標を設定、適正に評価することができ、リスキリング成功につながるのでは、と考えています。
③社内で優先順位が低い事業だと捉えられないようにするためには?(組織運営)
人事として、リスキリングの成功だけではなく、会社を支えている既存事業が引き続き安定した成果をだしてもらえるか?を考えることも大事です。
「①誰をアサインするか?」の項目でも書きましたが、活躍している既存従業員を引き抜くことは、既存部署の反発につながる可能性があります。
また、リスキリングが注目を浴びると、既存事業は「会社内で重要視されていない」と感じてしまい、モチベーション低下のリスクがあります。
そして、既存事業からどんどん人が抜けてしまい、リスキリングの成功の前に既存事業の成果が安定しなくなる。。とう本末転倒なことになる恐れもあります。
そのために日頃から定量的な会話だけでなく、「この仕事はお客様の課題を解決している意味のある仕事である」という会話がなされる風土を作ることで、社員が「仕事の意義」を感じている状態を作ることが大事です。
目の前のお客様の課題を解決できることにフォーカスして意義づけし、それを評価する組織運営をしておくことで、全社方針に一喜一憂せずに、顧客へ目線が向いたまま仕事に邁進してもらえる。そんな安定した既存事業があるからこそ、リスキリングが成功するのだと感じています。
■副業でリスキリングを進める
リスキリングにおいては研修やeラーニングなどの学習コンテンツでスキルを得る以外にも、副業によって新たなスキルを得ることも可能だと思います。
「70:20:10の法則」として有名ですが、人の成長に大きな影響を与える要素は「仕事経験」であると言われています。
最近では社内副業で自社内で別業務が経験できるような制度を作ったり、社外で副業できる制度や環境を整備する会社も増えてきています。
社内外で既存業務以外の新たな業務にチャレンジ(副業)をしていただく風土や機会を作っておくことで、いざとなった時の事業変革がしやすい組織ができるのではないかと考えています。
■最後に
そんな副業マッチングサービスを展開しているlotsful(ロッツフル)でも新しい仲間を大募集しています!
今後間違いなく、個人の方のキャリア開拓や企業の事業推進の手段として副業市場は広がっていくと感じています。
これからの副業市場を一緒に創っていきましょう!
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