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日常にある「聞く」を極めてみる

久々の更新のため、書き出しをどのようにしていたのか、忘れています。
読み終えた本、ノートがたまってきたので、まずは一冊分、アウトプットをしておこうと思います。

‟『聞く技術 聞いてもらう技術(著:東畑開人)』”

本の帯にある、「聞かれることで、ひとは変わる」という言葉に一目惚れをして買いました。最近は、傾聴力のように、‟聴く”ということがピックアップされています。結構、難易度高いなぁーと感じる今日この頃に、とても良い一冊でした。

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聞く:声が耳に入る(日常)
聴く:声に耳を傾ける(能動的)

難易度が高いのは、「聞く」です。
聞きたくない時、聞く余裕がない時、そもそも言葉を受け止められません。
話を聞くことが出来ずに困っている人、話を聞いてもらえずに苦しんでいる人。
まずは、「聞いてもらう」から始めるのです。
聞いてもらう技術が、聞く技術へとつながるのです。

1.聞く技術

余計なことを言わずに、適切な質問をすることです。
そのための12のことがまとめられています。

①時間と場所を決めてもらう:内容の深さ
②眉毛にしゃべらせる:反応をする
③正直でいる:思ってもないことを言わない
④沈黙に強くなる:間を作る
⑤返事は遅く:5秒待つ
⑥7色の相槌:オーバーリアクション
⑦オウム返し:質問に変換もOK
⑧気持ちと事実をセット:詳しく
⑨「わからない」を使う:自分との認識の差を確認
⑩傷つけない言葉を:最後を質問形に
⑪質問をする:相手の意図を確認
⑫また会おう:時間に仕事をさせる

上手く話を聞けないときと言うのは、余裕がない時、もしくは相手との関係性がギクシャクをし、聞く姿勢を取れない時であるのでしょう。
その本質を考えていきましょう。

2.なぜ、聞けないのか?

聞くというのは、関係が不全に陥った時に必要とされますが、その時には言葉が全く届かなくなります。話の中身の問題ではないのです。

小児科医のドナルド・ウィニコットが提唱をした、「対象関係論」では、対象としての母と環境としての母に分別をされています。前者はひとりの人として認識されており、後者は気づかれず、意識されず、失敗体験のときのみ気が付かされるのです。

関係性としての、Good enoghを目指すことでは、環境としての母の存在は「聞く」ことに似ていると著者は述べています。
そもそも、失敗とは誰も自分のことを理解してくれない痛みや孤独などの欠乏を生みます。できることは聞くことだけなのですが、聞く側も聞かれる側も欠乏を持っており、中核にある問題とも言えます。

特に、孤独は社会的課題でもあり、連鎖をします。一番の課題は、孤独と孤立が同居してしまうことです。
・孤独:安心感-話を聞ける状態
・孤立:不安感-心の中に悪しき他者が居る状態-話を聞けない状態

適度な孤独を保つためには、プライバシーを保てる‟心の部屋(個室)”が必要となるのですが、これは意外と持てていません。

では、ここに侵入する人はどこから来るのでしょうか?

答えは、過去のトラウマです。
善きつながりこそが、心の健康へ繋がることから、まず最初に行うのは、安心を与えることです(個室・食事・お金)。そこから声をかけることを始めなければ、支援者も敵となります。時間を信じて、地味な時間の蓄積を行い、信頼を積み上げていくのです。

なぜならば、誰にでも心が複数あるからです。
心を観るというのは、そういった複数のものが、綱引きしているところを観るのです。
こういった「つながり」は受動的であるので、聞いてもらう技術に関しても受動的なものとなります。だからこそ、どう引き起こすかが重要になります。

上手くしゃべる技術は、弱みや情けないところをわかってもらうためのものであり、機能しないことがあります。賢い頭ではなく、戸惑う心が必要になるのです。日常的に、体のあるコミュニケーションをし、赤の他人を軽い友人に変えるのです。一方、SOSが出されているときには、絶対に必要なものがあります。それは、「あなたの協力」です。「何があった?」と聞いてもらえる技術が必要なのです。

【日常編】
①隣の席に座る
②トイレは一緒に
③一緒に帰る
④zoomは最後まで残る
⑤焚火を囲む
⑥単純作業を一緒にする
⑦悪口を言ってみる

【SOS編】
①早めに周りに言っておく
②分けありげな顔をする
③トイレに頻繁に行く
④薬を飲み、健康診断の話をする
⑤黒いマスクをする
⑥遅刻して、締切を破る

3.聞くことの力=心配の力

普通の人にとって、人生相談とカウンセリングの区別は難しいものです。
それだけ、聞くは普通の営みなのです。心は複雑である一方、シンプルでもあります。

①わかる:知識を当てはめて分類
②わかる:どのような世界を生きているのかという内面

2つのわかるが提示されたときに、多くは①に逃げたくなりますが、②を追求することで、相手との関係性の中にとどまるのです。

自分の不調を癒すことは、ケアという仕事の基本であるならば、まずは自分から物語り、物語られる関係にならなければなりません。しかし、令和の世間知はとても複雑になっています。

世の中とは?
人生とは?
ローカルな共有とは?

ディテールの共有が鍵になるのですが、それが弱体化しているからこそ、日々のケア、普通の人が互いにケアすることが推奨をされているのです。

世間知と対側にある専門知でもあるカウンセラーの仕事とは、理解への支援であり、愛情を引き起こすことです。しかし、勉強をすると人は一時的にバカになります。世界の理解と万能感を持つからです。そこから醒めるプロセスが必要になるのです。

基本的に、専門家になるということは「バカになる」ということです。複雑すぎる世界をシンプルな軸で切り取っているのです。世間知のように「ふつう〇〇」の状態が複数あって、唯一でない状態が良いのです。

そして、心の変化は弱火でとろとろと煮込むように、時間を他者と共有できているのかが重要となります。

4.聞かれていないものの存在

聞かれていないものは、相手の切実な事情です。
治療者は中立性を保つことで、白と黒の裏にある傷つき易い相手の物語を観ます。それが通用しなくなる時、そこには「トラウマ」が存在をしています。

そこを越えていくためには、味方が2-3人必要です。
フロイトは「転移」と言いました。お互いに対話をし、複雑さを複雑なまま理解し合えることが必要なのです。

味方にも種類があります。
・司法的(客観性):裁定を下す
・仲裁的(中立性):間を取り持つ
・友人的(裏に立つ):争いと離れて聞く

リソースが限られると「敵か、味方か」の二択になりやすいことから、第3者が入り、対話をできる状態にします。友人的であることは、親友でなくても良いのです。助けを求めたときに、基本的に親切にしてくれる人です。

聞くと聞いてもらうは循環をします。
どちらから初めても良いので、スタートをしましょう。

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読み終えて、普通のことを普通にすることが最も難しいと改めて思いました。まずは、何よりも始めること。
そして、友人的であり続けること。

専門家=バカ

この視点を持ちながら、日々過ごしていこうと思います。


今日も学んだー!!!

ではでは、毎日がワクワクするような最高の1日になりますように!!
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講内 源太

医療・介護における患者体験を変えることで、一人ひとりにとって最良のサービス提供が行えるように、日々学び続けています。
『一社)PX研究会』に、是非、一度お立ち寄りください。

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