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環境問題への取り組みは、電車内広告を活性化させる機会かもしれない。

今週は、「環境配慮型のOOH。が電車内媒体の活性化に役立つのでは」という話を書いていきます。

先月、イギリスOOH業界の2020年の売上実績が発表となりました。2020年のOOH広告の売上は前年比48%となる920億円、コロナの影響のなかった第1四半期(1-3月)を除くと、前年比37%まで減少している。という状況です。

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イギリスOOHの低調な状況は、少なくともロックダウンが緩和される4月までは続くことが間違いないため、引き続き厳しい状況です。

PRに試行錯誤している

こうした中で、OOH媒体社や代理店は何とか広告主にOOH媒体に興味を持ってもらおうと、SNSやプレスリリース、Webinarを中心に、積極的なPR活動を展開しています。

例えば、イギリスの主要媒体社であるClearchannel社とJCDecaux社の2社は、本来競合関係にあるにも関わらず、共同実施した調査レポートをシェアするWebinarを共催しています。
代理店の方はというと、ロックダウン禍での人の動きに関するデータや国民の旅行に対する意識調査・今後の混雑予測などをリリースしています。

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(競合関係にある2社の媒体社が共同で調査・Webinarを行っています)

PRネタとして使いやすいSDGs

調査レポートなどを通じたPR活動やWebinarに加え、最近PRで増えているのがいわゆるSDGsへの取り組みに関するものです。

OOHとSDGsについては、以前もnoteに書いていますが、ここ最近で事例がさらに多くなってきている印象です。

中でも、2021年に入って特に関心の高さを感じるのが、環境問題(CO2排出量の削減)への取り組みです。そもそもヨーロッパは電気自動車の普及率も日本に比べて数十倍と言われているなど、CO2削減に関する意識が高い。という背景もあるのですが、環境問題に取り組む媒体社や代理店からの発信が増えてきました

たとえば、ベルギーではblow up media という媒体社が、DOOHのフレームに植物を植えることで、発生するCO2の削減を実現可能とする媒体をリリースしています。

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また、イギリスのOOH広告代理店Posterscopeは印刷会社と協業し、広告に必要な印刷のクオリティを保った上で、100%リサイクル可能なポスターの提供を実現できるようになった。と発表しています。

アメリカのOOH広告代理店のRapportは、DOOHに特殊加工を行い太陽光によって媒体周辺のCO2を吸収できる技術をリリースしたのに加えて、広告主ごとにDOOHを通じてどのくらい有害な物質が排出がされたかを、広告の放映回数から計算する仕組みを作っているそうです。

広告主の関心も高まっている

こうした媒体側の取り組みに対して、広告主の関心も強まっていることを感じます。

先月、英国の国営放送であるBBCが、「Perfect planet」という環境問題を取り扱う番組の告知におけるOOHキャンペーンが話題になりました。

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このキャンペーンでは、「地球はどのくらい持つのか?」ということをテーマに、動物が棲む自然が破壊されていく様子が描かれています。

マンチェスターに設置された1つの媒体では、実際に山が燃えているように媒体から煙を出す演出を行ったことから大きな話題となりました。

このキャンペーンには100%リサイクル可能なポスターが使われ、環境にやさしいインクにて印刷、煙は水をベースに作ったようで、環境に最大限配慮した形でのOOH展開が行われたようです。

日本でも東京・大阪でSDGsトレインというのが走っているようですが、こちらには日本を代表する企業が協賛を行っているものもあり、注目の高さが伺えます

協賛
花王株式会社、関西電力株式会社、株式会社クボタ、サントリーホールディングス株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社大和証券グループ本社、凸版印刷株式会社、パナソニック株式会社(50音順)

ただ実際のところ、、、、
環境に配慮した素材を使うなどしてキャンペーンを実施している例やSDGsと絡めたOOH展開というのは非常にまれであり、媒体社や代理店がPRネタとして使っている。という役割が現状では大きいと思っています。

電車内媒体の浮上のきっかけになり得るか?

今はまだ広がっていないものの、個人的に環境に配慮したOOH展開に期待していることがあります。

それは、

電車内のポスター媒体で環境に配慮した取り組みを進めていくことで、広告主から再度注目してもらえるきっかけになるのでは?

ということです。

ヨーロッパの電車内媒体はもともと売上がそんなに大きいわけではないのですが、それでもロックダウンの影響で売り上げが大幅に減少しています。

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(ロンドン地下鉄も市からの告知しか入っていない状態が半年以上続いています)


また、電車内の媒体は駅や屋外広告などと異なり、デジタル化の対応が非常に難しいことも売り上げの減少が加速している理由としてあります。

デジタル化の対応が難しいのは、、、電車内媒体のデジタル化を行うには、電車の車両を丸ごと改良する必要があり、広告の為だけにこれを行うことが現実的ではないからです。

一方で、OOH広告のデジタル化(DOOH化)が進む中で、紙の媒体が今もなお残っている電車内広告だからこそ、リサイクル可能な素材等を通じた、環境に配慮したアプローチをすることで広告主や社会の役に立てるのではないかと思っています。

日本でも、電車内にはたくさんのポスターやステッカーなどがありますが、これらは基本的に掲出後処分されてしまっていると思いますし、再生可能なものを使っているケースは少ないのではないでしょうか。

世界的に電車内媒体が厳しい状況だからこそ、新しい価値観を取り入れていくことを、検討すべき時期に来ていると思っています。

具体的には、環境に配慮した素材を使ってポスターを掲出する場合は媒体料金を値引きする。という会社も出てきました。

特にイギリスOOH業界では、OOH全体の売り上げに対して、デジタルOOHの売り上げ比率が56%を超える状況になっている中で、紙媒体をどう活かしていくかが業界の課題になっているように感じています。

ということで、、、

環境に配慮したOOH展開というのは、今はまだPRの域を抜け出せていませんが、今後間違いなく社会や広告主からの興味が強まる中で、OOHもビジネスとして取り組んで行けるようになるといいな。

と思いましたのでまとめてみましたっ!


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ありがとうございます!ニューヨークのこの枠は1週間約800万円です!
平日は広告代理店勤務(屋外広告と交通広告を中心に8年間)で、現在はイギリスに出向中。twitter(@gennozono)では、 #OOHマーケティング でOOHを起点としたマーケティングについて考えてます。