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消えた飛行船とドローンの登場。空のメディア復活の予感。

あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!

イギリスは新規陽性者数が1日5万人を越え、感染拡大が続くロンドンは3度目のロックダウン真っ只中となっています。

この影響により、毎年約5億円の予算が投下され、10万人を集めるロンドンでの年末年始のカウントダウンイベントが、今年は見送りとなってしまいました。

イベントは中止となったのですが、年が明けた深夜12時に、5分ほど花火とドローンによる演出が行われ、その模様がテレビにて中継されていたのですが、このクオリティが非常に高く、衝撃的でした。

花火も素晴らしかったのですが、ショーの中で僕の目を奪ったのがドローンでした。数秒単位で絵を切り替えられ、最初はてっきりCGだと思い込むほどのクオリティです。

こうしてドローンにライトを搭載し、ショーを行うことは「Drone display」と呼ばれています。


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このDrone displayを見た個人的な感想ですが、ドローンの実力を見くびっておりました。そして、ここまでのクオリティでパフォーマンスできるのであれば、空のメディアは復活するのでは。と考えさせられました。

そこで、今日のnoteでは、空を使ったメディアの過去を紐解きながら、ドローンの持つ新たな広告メディアの可能性について書いていくことにします。

空といえばアドバルーン

空を使ったメディアといえば、皆さん風船(アドバルーン)や飛行船を思いつくのではないでしょうか。

30代以上の方ならば小さい頃の記憶のどこかに空に浮かぶ風船や飛行船があると思います。

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一方で現在、常時飛んでいるアドバルーンや飛行船はないどころか、僕が入社した2012年以降で、飛行船やアドバルーンを使った広告キャンペーン事例は出てきていないと思います(あったら教えてください)。

アドバルーンがなぜなくなったのかについては、wikipediaが丁寧にまとめてくれています。

アドバルーン広告は広告幕の文字の大長野制限から広告を見るのに適した距離や高さ(仰角)があり、日本の都市部では超高層ビルの林立により宣伝効果が失われ、またコストが高いため懸垂幕をはじめとする様々なビル壁面広告に多くが置き換わったため、ほとんど見ることがなくなった。また、広告宣伝手段の多様化・発達により、相対的にコストパフォーマンスが低下してきたことも指摘されている。

ここに書いてあることが全てな感じもしますが、整理すると効果がわかりづらい上にコストが高く、飛ばせる場所の制限や、天候のリスクも孕んでいる。

という事で、ネガティブ要素が非常に大きいので、よっぽどのことがない限り検討する会社はないのではないかと思います。

これは海外も同じで、世界でもアドバルーンの事業者は撤退を迫られている状態です。

空の可能性を示したブルーインパルス

アドバルーンのネガティブ面を挙げればキリがない一方で、空のメディア化については物凄く大きな可能性を感じています。

そのきっかけが、昨年5月に行われた航空自衛隊の飛行隊(ブルーインパルス)だったのですが、ブルーインパルスが医療従事者への感謝を示し都内を飛行したときの世の中の反応は、非常にポジティブなものでした。

タイミングの是非はさておき、飛行機雲を作りながら飛ぶ5台の飛行機を多くの人が撮影・投稿し、テレビでも取り上げられていました。

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このnoteでも何度も書いていますが、OOH広告の魅力は「非日常体験を通じてブランドのメッセージを伝える」ことだと思っていて、空からメッセージを受け取る事は非日常であり、多くの人の心を掴めるのではないかと考えています。

この時の世間の様子と、今回見たドローンによるクオリティの高いショーが、冒頭に申し上げた空のメディアが復活する。と感じた理由に繋がります。

既に商品化されているDrone Display

さて、ここからはドローンの話になりますが、今回のロンドンのカウントダウンでは300台のドローンが使われたと発表されています。

広告メディアとして展開するにあたっては、どの程度お手頃な金額でできるのか。というのが一つのポイントです。

調べてみるとLEDライトが接続されたDrone Display専用のドローンは既に開発されており、実施価格は安価となってきております。

具体的には、ピョンチャン五輪の閉会式などで既にDrone Diplayの多くの実績を持ちサービス提供を行っているintelが、300台のドローンを活用したDrone displayを日本円にして2200万円~で販売しています。

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(Intelが提供するDrone display専用ドローン)

他にも、200台の実施であればその半額に当たる1,100万円程度で提供が可能となっているようです。


上記金額にはオペレーションコスト(実施場所までのドローンの配送費や、演出を操作する人の人件費等)は含まれていないようですが、広告キャンペーンとして手を出しづらい金額ではない事がわかります。

マーケティング活用され始めたDrone Display

「Drone display」(ドローンでの光の演出)についてもう少し調べてみると、ここ数年でそのクオリティを一気に進化させている事がわかりました。

2013年に行われていたDrone displayの映像を見ると、ドローンの数も49と少なく、まだまだ広告利用は難しいという印象を持ちます。

一方でその5年後、2018年のピョンチャン五輪では1,218機のドローンを飛ばしたDrone displayが行われています。

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オリンピックの他にも、今年の大統領選の勝利演説や、昨年行われた東京モーターショーなど、世界を代表するイベントで使われるほどに、表現の幅を広げています。

コスト面が優しくなったことも追い風なのか、既に広告(マーケティング)としての利用もスタートしています。

アメリカのスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、コロナ禍においてソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめるエンタメとして、Drone Displayを全米8ヶ所で行いました。

遊園地の駐車場や高速道路のサービスエリアなど、車で訪れることのできる場所にDJブースも設置し、感染対策をしながら音楽と共に家族で楽しめる仕組みにしています。

Drone displayは1度行った演出をそっくりそのまま別の場所でも再現できる汎用性の高さがあり、広告向きと言えます。

課題はもちろんあるが、上を向かせるのがOOH

Drone Displayの実施にはもちろんいくつかの課題があります。そのひとつが天候で、強風の場合には実施することができません。

また、立つ場所によって視認のされ方も大きく異なってしまうという問題もありますし、ドローンを飛ばせるスペースも必要になります。

しかしながら、広告が「邪魔なもの」として扱われる時代の中で、空を使った非日常体験を提供することは人にポジティブな影響を与えると、今回のロンドンでのカウントダウンやブルーインパルスを見ていて、感じています。(実際、上を向くとポジティブになるという研究結果もあるようです)

非日常体験だけでなく、新たなテクノロジーを試す場所としても、OOHは価値があると思っており、既存のメディアだけでなく、「OOH」の概念を広げながら様々な角度から売れるものを作っていくことが、業界の成長に繋がると考えています。

ドローンを通じた空のメディア化は、注目ポイントだと感じた2021年のスタートでした!


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