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OOHにもスピードが求められている!?世間は言い訳をさせてくれない。

今回のnoteは「OOHメディアもスピードが求められる時代なのでは?」という話を書いていきたいと思います!

フィリップ殿下の突然の死

イギリス時間の4月9日の12時にエリザベス女王の旦那さんである、フィリップ殿下が亡くなったことが英国政府から発表されました。

イギリスはエリザベス女王が国王なので、日本でいうと皇后さまが亡くなったのと同じといえるのですが、イギリスは国中が喪に服すという状態になっています。

このような国民的な出来事が起きると、イギリスのOOH媒体社は何らかのメッセージを発信するというのが一般的なので、今回もどうなることかなぁ。と思って様子を見ていたところ、やはり主要媒体社が対応を行っていました。

主要媒体社の対応は

イギリスを代表するDOOH媒体であるピカデリーライツは、広告の放映を24時間停止し、かわりにフィリップ殿下の写真を大画面で放映しています。

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そのほか、Global社やClearchannel社といった主要媒体社が、各社の主な媒体を使ってメッセージ発信を行っています。

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また、媒体社ではないですが、ヒースロー空港で、飛行機の離発着情報横のサイネージで追悼メッセージが発信されていたり、地下鉄駅ではロンドン市交通局から貼り紙が掲示されるなどが行われてました。

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際立った迅速なアクション

ここまでの話というのは、「OOH媒体は国民が注目する世の中の動きに寄り添っておいた方がいいよね」ということとして、以前もnoteに書いておりますので、、、そこまで珍しくないというか、特に個人的に新しい発見があるわけでもなかったのですが、今回はとにかく対応のスピードが速かったので、そこに驚きました。

フィリップ殿下が亡くなったということが政府から発表されたのが、ちょうど正午あたりだったのですが、イギリス時間17時の段階では既にピカデリーライツの媒体社であるOceanは追悼素材の放映と24時間の広告出稿停止を写真付きでtwitterへと投稿しています。

そもそもこうした対応というのは追悼の意を示すということを通じての、媒体社のPR活動の一環とも言えるわけですが、事前に想定できない緊急事態の中で、たったの5時間足らずでこれを実現する。というのは非常にスピーディーだと思っています。

このように、緊急に放映素材の差し替えを行い、SNSへの投稿を実現するにはいくつかの障壁をクリアする必要があるからです。

クリアしなければいけないポイントは、簡単に思いつくだけでも以下のようなこと(社内での意思決定プロセスをのぞく)があるわけですが、、、

・該当期間に申し込みをしている広告主への説明
・放映するデザイン/素材の制作
・サイネージシステムを通じたコンテンツの配信
・放映写真の撮影
・SNSへの投稿

このあたりをそれぞれをどのようにクリアしたか想像していきます。

該当期間に申し込みをしている広告主への説明は、緊急の際は放映素材を切り替える。ということを事前に合意しておくことで問題がない気がしています。陛下の死が緊急事態に当たるのか。というのは国の価値観によって異なると思うのですが、イギリスでは広告の差し替えに値する事象だということです。

あるいは、空いている枠を活用することであれば、広告主の出稿に影響を及ぼすわけではないので、説明は不要です。

放映する広告素材の制作に関して、イギリスの媒体社は自社でデザイナー(アートディレクター)を雇っているのが一般的でして、こうした緊急時の素材制作だけでなく、広告掲出事例を紹介する映像の制作、SNS用バナーの作成など、媒体社から行う発信を幅広くカバーしています。

サイネージシステムを通じたコンテンツ配信についても、インハウスでチームを持つのがイギリスの主要媒体社では一般化していて、大きい媒体社であれば7~10人程度の配信を管理するチームがいることで、緊急対応にも自社内のメンバーでスピーディーに対応できるようになっています。

放映写真・SNS投稿についてはPRチーム(マーケティングチーム)が対応をします。PRチームは、他の業務と兼務にて行っていることも多いのですが、目立つ事例があれば写真を撮影し、デザイナーと連携しながら文言を検討してSNSへと投稿を行います。

このように、媒体社自身が必要な機能を自社で持っていることで、今回のような素早い対応を実現しているのだとおもいます。
(何より驚いたのは、普段仕事が動かない金曜日の午後なのに緊急対応をしていたことですが。笑)

https://oceanoutdoor.com/about-ocean/our-team/

「遅れ」は致命的に

今回のイギリス媒体社の素早い動きを見ていて感じたのが、DOOHが街に増えていくことで、速報性の高いコンテンツの配信がOOHにも求められるということです。

スマホなどでは数分で速報ニュースが届いてしまうので、OOHで速さを追及する。というのは違うとは思っていますが、どちらかといえば遅さに対する危機感が個人的にはあります。

今回の件でも、追悼素材の放映が金曜日の午後にスタートするのと土曜日の朝からの対応になるのは大きな違いがあると思っていて、、、、

世の中の盛り上がりは一瞬で巻き起こって、一瞬で消えてしまう今の時代においては、盛り上がりが消えてから流す素材というのは本当に価値をもたないどころかネガティブに働く可能性もあるのではないでしょうか。

これまでのように紙の媒体であれば、現実的に即日での対応が難しいことは世の中から理解されますが、DOOHとなるとそれはスマホと同じディスプレイにみられてもおかしくないので、情報提供のスピード。というのはかなり気を遣うべきだと思いますし、それを可能とする体制の準備。というのが求められるのだろうなぁ。

と感じる事象でしたので、今回は皆様にご紹介させて頂きました。

というわけで、「OOHにもスピードが求められている気がしてきた」という今日の記事は以上なのですが、、、

日本に戻ってきました

イギリスのOOH広告会社への出向期間が終わりまして、昨日日本に戻ってまいりました!

現在は、隔離によって政府指定施設に滞在しておりますが、今後は日本でOOHビジネスに関わっていくことになります。

毎週書いていたnoteもイギリスを中心とした世界からの視点を発信していくことがメインとなっていたので、毎週書いていくのは今回までとして、不定期で書くことにしていければなぁと考えています。

なので、毎週のように読んでくださった方、たまに読んでくださった方、今回が初めての方など、お付き合いいただきありがとうございました!

twitterの方では、海外の情報は気になるニュースなどを中心に変わらず発信していこうかと思っているので、今後ともよろしくお願いいたします!

最後は出向期間中にお世話になった媒体社の一つである、JCDecaux社からヒースロー空港にある彼らのメディアを使って、サプライズメッセージをもらいまして、、、、ありがたいと共に、やっぱりOOHっていいなぁ!と改めて思ったので、これからもこの業界で頑張っていきます!

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