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掌編 詩「手は口ほどにものを言う」


手を繋ぎたいと言ったら、手を振りはらわれた
手を貸そうかと言えば、手出し無用と断られ
手を尽くすように僕は、手短に、手心を加えようとする
それでも彼女は手酷く僕を袖にして、手のひらを返すばかり
どうやっても僕たちは手違いになる
彼女に、手前味噌ばかりで手の内が見えない
手遅れなのだと言われた
彼女を手放したくなくて、僕が思わず手を掴むと
首をしめないでと言われる
怖いこと言わないでくれよ、手首じゃないか
手前勝手な言い分にも手を引かない僕たちは
顔の前で両手を合わせて
どうしたら手を握ってくれるのかと僕は聞く
そうしたら、
見ざる聞かざる言わざるがあるでしょ、と彼女が答えた
手詰まりの僕は、仕方なく自分の耳を両手で塞いだ
手前にいた彼女が手を挙げて、僕の瞳に手をかざす
口はどうしようかと彼女に聞くと
こうするの、と彼女が僕の口を口で塞いできた
その手は反則だ
それでも、僕は手放しで喜んだ
お手軽な自分に拍手する




「手は口ほどにものを言う」幻ノ月音
月刊詩誌ココア共和国傑作入選詩を改稿したものです。
なんとなく詩で遊んでみたくなってつくった詩です。
手ってほんとうに多才ですね。ご高覧ありがとうございました。

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