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森と人とビジネスと(4):総合的な知の必要性-NHKスペシャル 見えた 何が 永遠が~立花隆 最後の旅~を見て思ったこと by 長坂健司(GEN事務局)

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 世の中が大きく変わっている現在、大学教育のあり方も再考を求められています。私は以前から「リベラルアーツ教育」に強い関心を持っていましたが、立花隆さんを取り上げたNスぺを見て、改めてそのことを考えてみました。
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 昨年2月に「ヨーロッパ 人の暮らしと森」と題して、ドイツで暮らすコンサルタントの山元さん、エストニアで暮らすマクロ生態学者の藤沼さんから、日常の暮らしのあり方やそれぞれの国での市民と森との暮らしの距離感を聞く勉強会をオンラインで実施しました。今年はその続編として、「森との新しい距離感はどんな感じ?~日本について考える:ヨーロッパ発の大放談~」と題し、日本の森林の将来を、森林コンサルと生態学研究が専門のお二人と一緒に議論したいと思っています。2/25(土)15時開始、参加費は無料です。多くの方の参加をお待ちしています。詳細はGENの会報やホームページ等で確認下さい。

 さて今回は、単発ですが、昨年亡くなった立花隆さんを取り上げたNHKスペシャルがとても面白く、それを見ながら日ごろ興味を持っている「リベラルアーツ教育」について考えてみました。立花さんは、「知の総合」をとても重視しており、その考え方は、ウィキペディアによると「自由な知的探究のためのディシプリン〔規律・統制・学科〕の総称」のことを指すリベラルアーツにつながると思います。
 世の中が大きく変わっている中で、単なるスキルや知識を詰め込んだ人材ではなく、過去の経験にとらわれない新たな視野、考え方を持ち、それを実践の場で活用できる能力を持つ人材を育て、地球規模の環境課題や社会課題に挑戦していける社会づくりが重要ではないかと最近強く感じています。リベラルアーツ教育はその一つの解決策だと私は思います。
 森林経営には、日本におけるスギやフィンランドにおけるオウシュウアカマツのように単一種の人工林を育てる手法と、針葉樹だけでなく広葉樹を含めた多種多様な樹種が混じった森を育てる手法があります。前者は、経済性の面で短期的には優れていますが、後者は、経済性の面だけでなく、生物多様性の保全、水資源の涵養、気候変動に対するレジリエンスを含めた長期的な観点ではより優れているとする研究結果が報告されています。森林も人間も「個」ではなく、「集団」として存在することに意味があります。
 パラダイムシフトの時代を生きる私たちに突きつけられるのは、自分自身の「生き方」をどう考えるかということではないでしょうか。インターネットにアップロードされている膨大な量のばらばらな知識やノウハウはあまり役に立ちません。それらをつなげ、全体で考えることで、見えてこなかった視点が見えてきます。また、全体を見ることで、他の人や周りの環境と共生していくことができるはずです。現在求められている「循環型社会」では、共生がキーワードです。リベラルアーツ教育の実践により、このような全体を俯瞰できる人材を育てていくことができるのではないか、と私は思っています。


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