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競馬はなぜ面白いのか問題

先日、友人と初めて競馬なるものを見に行った。これが大層面白くて、競馬場で理性を投げ捨てた感じで観戦してしまった。

数日して冷静になって「競馬の何が人を熱中させるんだろう?」と不思議になったので、調べた。せっかくなので記事にまとめておく。

人を競馬に熱中させる要素たち

・お金が稼げる

これはもっともシンプルで強い動機。「5000兆円欲しい」なんて戯言があるけど、お金をもらえればほとんどの人は良い気分になれる。勝ちまくった日は、連れに一杯おごって雰囲気をよくすることだってできる。

・不確定要素がある

100%勝てるとわかっていたら、それは遊びではなく作業だろう。つまらないものになってしまう。たとえば釣り人は、釣れると分かりきっている釣り堀ではなく、海やら川やらに釣り糸を垂れる。たとえば仕事はお金がもらえるけど、不確定要素がない。毎月給料がもらえるという理由だけで仕事に熱中することは起こりにくい。

「勝ちか負けか?」と揺れ動く心理がギャンブルの面白さを生んでいる。競馬の場合、生き物(人と馬)が走るので不確定要素が大きい。競馬新聞にでかでかと二重丸を書いてある人気馬が、とろとろ走って罵声を浴びたりする。かと思えば穴馬扱いされている馬が軽やかに走り抜けたりする。このへんの、読めそうで読めない難しさも競馬というゲームの面白さに寄与している。

余談だけど、ゲームはある程度複雑なほうが面白いし飽きにくいと思っている。極端な話、じゃんけんのような単純なゲームはすぐに飽きるし、面白みも少ない。考えないといけない要素が多く、多少複雑なゲームのほうが面白くなる。

・ドーパミン(脳内物質)

賭けごとで大きい報酬が手に入った(あるいは手に入りそう)瞬間などに、人間の脳はドーパミンという快楽物質を作り出す。俗な言葉で言えば脳汁である。ギャンブルは、脳にダイレクトに気持ちいい行為ということになる。

この物質には依存性があって、ギャンブルを繰り返すにつれてだんだん効果が薄くなる。ちょっとやそっとの勝ちだと満足できなくなる。これが取り返しがつかないほど進むと、ギャンブル依存症の一丁上がりである。

・リスクとリターン

競馬を一種のゲームとして見てみると、「リスクとリターン」のかけひきが面白さを生んでいる。複勝など、当たりやすい馬券(低いリスク)ではリターンも低く、逆に当たりにくい馬券ではリターンがでかい。プレイヤーには「外れてほしくはないけど、当たった時にはリターンがほしい」という贅沢な葛藤が生じる。

リスクを冒してリターンを得る、このバランス調整がされているゲームは面白い。競馬はと言うと、馬券の種類とオッズによってうまいこと調整がされている。

スマブラやカービィシリーズの生みの親である櫻井ディレクターの説明がわかりやすい。

・自分でコントロールできる

(ように見える)
競馬新聞を読んで、パドックの馬を見て「あの馬はいけそうだ」と考える。その上で、何通りもある馬券から選んで買う。この「自分の意思で選択する」のが大事だと思う。自分の意思が全く反映されないゲームはつまらないだろう。

競馬は他のゲームに比べると自分の手を動かすより、見守る要素が強い。ただ、だからつまらないというわけではない。スポーツ観戦人口が何十万人もいることがそれの裏付けになるのでは。

・ビギナーズラック

何の知識もない初心者が、幸運に恵まれてたまたま勝ってしまう現象。初めてギャンブルを遊んだ人が勝ったときの刺戟は相当に大きい。ギャンブル依存症になる人の中には、このビギナーズラックがきっかけで沼にはまる人が一定数いるそう。人間は第一印象に引きずられる生き物だ。

自分は今回初めてのレースで数百円勝ったわけだけど、勝った馬券(ワイド)が当たる確率を調べるとたったの約1.9%だった。勝てたのはただただ運が良かっただけだということが分かる。それが頭で分かってても「このゲームちょろいんじゃね?」という考えを消しきれないのが恐ろしいところ。

・音楽などの演出

今回はネットではなく、実際に競馬場に行った。レース時には音楽が流れ、お客さんが叫び、目の前で馬たちがゴールに流れ込む。これらをひっくるめた雰囲気が熱中を生んでいる。

パチンコやスロットでも、当たると洪水のような光と音楽で派手に演出する。この演出を控えめにすると、お客は飽きやすく、遊び続けなくなるらしい。競馬の演出はパチスロに比べたら控えめだけど、現地でしか味わえない独特の雰囲気がある。

番外編 制度の話

調べたのでいちおうメモ。

競馬は公営ギャンブルの例に漏れず、胴元が儲かるようになっている。競馬では、客が投じたお金を100とした場合、単勝・複勝では80、その他の馬券では75しか返ってこないようになっている。もちろん客は1人ではなくたくさんいるので、得する人も損する人もいる。客全体としては80%とか75%しか返ってこないという話。

おわり

しかし、競馬予想情報を出してる人の多いこと…。noteでも競馬情報を出してる人が山ほどいる。株式投資の世界でも「この株が上がる!!」とかいう情報を売りつけて儲けている人がいるけれど、その予想が外れてもその人は一銭も損しないんだよな。

古くはアメリカのゴールドラッシュで、一番儲かったのは金塊を掘る人たちではなくツルハシを売りつけた人だったそう。勝負に参加せず、勝負に関する情報を売りつけるのが一番ローリスクな稼ぎ方なのは洋の東西を問わないのかもしれない。

今回の記事はこのへんでおしまい。依存症にならないように節度を持って遊びましょう。

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