見出し画像

2021年3月に読んだ本を振り返る

この記事では、自分が3月に読んだ本を振り返って、読んでよかったと思える本をご紹介します。

3月に読んだ本

3月に読んだ本は10冊(小説が1冊、それ以外が9冊)でした。

FireShot Capture 062 - shikadaさんの3月読書まとめ - 読書メーター - bookmeter.com

月の中ごろに、長い閉鎖生活のせいか軽いうつ状態になってしまい、活字の本を読めない時期がありました…。いまは復調したのですが、活字を読むためにはエネルギーが必要だ、という当たり前のことに気づけた気がします。

その時期はひたすら漫画を読んでました。活字はきつくても漫画なら読める状態でしたね。

読んで良かった本2冊

3月に読んだ本から、2冊ご紹介します。

1 ノマド 漂流する高齢労働者たち

2008年の金融危機以来増えつつある米国の「ノマド」事情を取材した一冊です。日本で「ノマド」というと、オフィスに縛られず、カフェやコワーキングスペースで働く人、というくらいの意味ですが、本書で取り上げる米国の「ノマド」は、短期間の季節労働を繰り返す車上生活者のことです。

季節労働というのは、たとえば夏場はキャンプ場の清掃や、スポーツの大会で屋台やチケットもぎりをする、冬場はamazonの倉庫業務を行う…といった働き方です。そうした、ごく短期間に大量の人手を必要とする企業がノマドたちを雇い、劣悪な労働環境で働く姿が描かれています。

amazonの倉庫業務の過酷さは、ブラックの一言でしたね…。サッカーコート数十個分もある広大な倉庫を歩き回り、しゃがんだり背伸びして荷物を探し、スピードが落ちるとすぐ注意される。腱鞘炎になる人があとをたたず、倉庫の壁には、福利厚生である無料の痛み止めがぶらさがっているそうです。正直、amazonのセールで買い物するのはもうやめようと思える内容でした。まぁもともとamazonで買い物するのは年に数回程度でしたが…。

本書に登場するノマドたちは一見、車中泊に適応して楽しんでいるように見えますが、その生活は能動的に選んだものではなく、高騰し続ける家賃と低賃金に追いやられた結果です。これはもう、シンプルに住宅政策と雇用政策の失敗の結果だと思います。

古くは1929年の大恐慌でも、車上生活者が増えたといいます。歴史は繰り返す。大恐慌のときと現在の違いは、ネットの普及により、車上生活を行うノウハウ共有やコミュニティ形成が容易になったことです。

アメリカの話ではあるのですが、他人事とは思えない内容でした。安定した雇用と住宅が失われたとき、人はどうやって生きていくのか。職にあぶれた人々を、大企業がいかに使い潰すか。

あと特筆すべきは、ジャーナリストである著者自身が車上生活を実践し、ノマドたちのコミュニティに馴染むことで、ノマドの本質に迫る取材をしているところですね。さながら文化人類学者の参与観察のような。そうした実践が、本書に分厚いリアリティを付与しています。なお本書を原作にした映画「ノマドランド」が公開されているそうで、そちらもぜひ観てみたいものです。

2 潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景

入水自殺をした方や、津波に持っていかれた方の遺体を引き上げる潜水士に密着取材したノンフィクションです。

視界の悪い海底から遺体をひきあげるためには、熟練の潜水技術が必要になります。また車ごと海に突っ込んだような場合は、車を重機で引き上げるために、潜水士が車にワイヤーを引っ掛ける作業が必要になります。

いや、とにかく過酷な仕事だという印象です。遺体と向き合い続けるうちに精神が不安定になり、自分の意思と関係なく笑ってしまう症状が出たり、潜水病に冒されたり、引き上げに要した費用を遺族が払えず肩代わりしたり、とにかく苦難の連続です。

この手のノンフィクションを読むと、自分がいかにのほほんとした環境で仕事をしてるか思い知らされますね…。

個人的に面白かったのは、占い師のくだりです。潜水士の方は海水の流れや潮の満ち引きを考慮して遺体の場所の見当をつけます。ところが現場に居合わせた占い師がまったく見当違いの場所を指して「あのあたりからご遺体の魂の気配がします」なんてことを言い出して、潜水士の方が「デタラメを言うな」と、占い師の持っていた水晶玉を海に投げ込む、なんて場面も。

面白いのは、そういう占い師の予測はまったくと言ってよいほど当たらないが、遺族の「亡くなったあの人が夢に出てきて、海のあのへんにいた」という証言は当たるとのことです。科学では説明できない力が、まだまだ人間にはあるのかもしれません。

本書が扱うテーマは決して軽いものではないですが、引き込まれる文章でした。

まとめ

3月に読んだ本をまとめました。今回自分が得るべき教訓は、活字を読むためには精神的余力が必要だということですね。徐々に活字が読めるようになってきているので、リハビリして復調できればと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました!