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小鳥書房「ワンルームワンダーランド」を読みました

100人のお部屋を写真+文章で紹介するという掲題の一冊、とても楽しく読めたのでその感想です。

読んで思い浮かんだ感想たち

思いつくままに書いていきます。

他人の部屋はSF

他人の部屋をまじまじと見る機会ってなかなかないんだけれど、こうして100人の部屋を見てみると、何を考えてそういう部屋を組み立てたのか見当もつかない部屋ばかりで、SFに出てくるような宇宙人が住む違う星を見ているような錯覚になった。

いやもちろん、机があって椅子があって…という1つ1つの要素は理解できるんだけれど、細かい部分で「自分ならその家具をそこには置かない」「自分はそもそも絨毯をしかない」とかいう細かい違いが無限にあって、それが積み重なって理解不能な域に達しているのだと思う。

ただ、それで「わかんね~」と投げ出さないで「この人は何を考えて、どんな生活をしてこの部屋に行き着いたのだろう」と考えるのが本書の醍醐味なんじゃないかと思った。100の部屋を見るうちに「まず部屋全体の写真をしげしげと眺める→(どんな人か想像する)→右ページの文章を読む→最後に答え合わせのようにプロフィールを読む」という読み方に落ち着いた。

自分の部屋に対する無意識のこだわりがわかる

色んな人の部屋を見ることで、自分の部屋を相対的に見れるようになる。

たとえば自分は窓の前に家具を置くことに抵抗がある(窓を開けてベランダに出て行きにくくなるから)のだけれど、本書を読んでいるとそれをけっこう平気でやっている人が多くいて「あぁ自分は窓の前に家具置くのに抵抗があるんだな」と気づいた。

あと、自分はこれまでローテーブルというものをほとんど使って来なかった(職場で使うような高めの机+椅子+フローリングでずっと生活している)けど、絨毯や座椅子と組み合わせてローテーブルを使っている人がたくさんいて、こういうちょっとした家具の選び方もぜんぜん違うんだな…と思った。

というか、自分の場合は在宅勤務をする時期があったので、机と椅子はごっついものを選んだという経緯があったのを思い出した。もし家でPCの仕事をしないのなら、机と椅子は小さいもので構わなかっただろう。

生活感を出すパーツは「ケーブル」

生活感の強い部屋と弱い部屋があって、それを隔てるものは何だろうと考えたときに「ケーブルの存在感が大きい」と思い至った。

扇風機やPC、スマホ、プリンターや電気スタンドといった小型家電のコンセントコードやケーブルがくねくねと横たわっている部屋は生活感がある。

逆に、そうしたコード類が目に入らない部屋は生活感が弱いと感じた。まぁここで言う「生活感」は自分の主観でしかないし、単に家電が多いか少ないかの違いでしかないのかもしれないけれど。

似たコンセプトの雑誌と読み比べてより面白みが増した

偶然にも同時期に東京グラフィティという雑誌が「自撮り百景」なる企画をしていたので、おもしろく読み比べた。

この雑誌が選んだ100人は、かなり個性や癖が強く、そのへんにはいなさそうな人々。その個性を活かしてYouTuberをやっていたり、海外で一風変わった生活をしたり、コスプレイヤーとして名を馳せたり、部屋いっぱい好きなもので埋め尽くすコレクターだったり。

ひるがえって「ワンルームワンダーランド」は市政の人びとの、突飛でない部屋という印象を受けた。強いて言えば、おそらく編集者の方の知り合いという関係上、書店や本に携わる人、デザイン関連の人が多めかな?という感じ。

ただ、突飛でないと言っても、前述した通り「ワンルームワンダーランド」の部屋は百人百様で見比べるのが大変たのしかった。

目に止まったお部屋リスト

よい部屋ばかりだったんだけど、強いて言えばこの部屋、というものをいくつか選ぶと…

・P43 アカダリュウイチさん考案の「段ボール防音壁」すさまじい、必要は発明の母
・P93 ジマーマンさんの和室 畳があると棚の高さも自然と低くなるという発見
・P145 きむらけいこさんのミシンが主軸の部屋 プロフィールの「縫う人」を見て納得
・P155 工藤京平さんのろくろがある部屋 火鉢がある部屋、とてもうらやましい 自分は東京のウサギ小屋みたいな狭さの部屋に慣らされすぎているかもしれない
・P183 横山穂佳さんの蚊帳がある部屋inウガンダ ところ変われば品変わる
・P187 ナガシオチナツさんの押し入れを机にする発想、コロンブスの卵 無造作に干されたイカの存在感がすごい
・P217 天笠美玲さんのおにぎり形のダイニングテーブル 自分には絶対真似ができないタイプの部屋だけれどあまりにも雰囲気がよい

まとめ

小鳥書房さん、たまたまTwitterで見つけてなんとなく本を買ったんですがたいそう面白かったので他の本も読んでみたい。あとお店がある谷保もさほど遠くないので一度お邪魔してみたいな~と思いました。おしまい



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