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2021年2月に読んだ本を振り返る

この記事では、自分が2月に読んだ本を振り返って、読んでよかったと思える本をご紹介します。

2月に読んだ本

2月に読んだ本は13冊(小説が8冊、それ以外が5冊)でした。最近はビジネス書やノンフィクションに偏りがちだったのですが、今月は珍しく小説が多めでしたね。

FireShot Capture 056 - shikadaさんの2月読書まとめ - 読書メーター - bookmeter.com

「ファスト&スロー」の感想は、下巻を読んでから書きます。

読んで良かった本2冊

2月に読んだ本から、2冊ご紹介します。

1 遊牧民から見た世界史

遊牧民から見た世界史を俯瞰する一冊です。遊牧民というのは、定住生活をせずに、家畜をつれて移動生活を続ける人々ですね。「遊」という言葉から、どことなく優雅でロマンティックな響きがありますが、実際には大変厳しい生活だそうです。まず馬に乗れないと駄目で、気象や自然現象に敏感に対応して家族と家畜を守らないといけない。特に冬場の厳しさは、現代の日本人の想像を超えるものがあります。

遊牧民の「遊」は遊ぶという意味ではなく、出かけるという意味で使われているそうです。「漫遊」とか「出遊」といった言葉で使われる意味ですね。こうした、言葉の細かいニュアンスについて、一つ一つ注釈をつけてくれるのも本書の魅力の一つです。

印象的だったのは、歴史がいかに語られるか、という部分です。いわく、中世の遊牧民は、侵略を行う破壊者として描かれていますが、それは不正確で断片的な理解にすぎない。遊牧民の歴史は、中国やペルシャによって記録されたものからうかがい知ることしかできず、そこには書き手のバイアスがかかっている、とのことです。

特に中国の書き手は、中国こそ文明の中心地であり、異民族は文明レベルの低い「夷狄」である、との意識が強い。そのため、遊牧民も常に「野蛮」「破壊的」「非文明」との色眼鏡で見られてきました。そして遊牧民は記録を残さない人びとであったため、中国の言ったもん勝ち状態でした。

著者は複数の資料研究から、そうしたバイアスを指摘します。遊牧民はいたずらに侵略に終始していたわけではない。たとえば、モンゴル帝国があれだけ急速に拡大したのは、できるだけ敵(ブルガ)をつくらず、安全保障を与えて仲間(イル)を増やしたから、とのことです。戦争に明け暮れていたというのは断片的なイメージにすぎません。

これは余談ですが、ジャーナリズムの原点ってこういう部分にあるのではないかと思いました。声の大きい、権威のある、記録を残しやすい立場以外の人を拾う。

あと、銃などがまだ存在しない前近代において、騎馬民族がいかに強かったか、という記述が面白かったです。高速の移動と、すぐれた騎射能力を持つ軍隊は、歩兵ではいくら数を集めても歯が立たない最強の集団でした。北宋の歩兵2000人が、女真族の騎兵17人に壊滅させられたエピソードには驚きます。「これは女真側が話を盛っているわけではなく、やられた側の北宋の記録に残っているので事実だろう」的な説明があり、ちょっと笑えます。

こういう面白い本を読むたび、世界史をもっとちゃんと勉強しておくんだったなーと思います。いや、今からでも遅くないかな?

2 WORLD END ECONOMiCA

ラノベの皮をかぶった経済小説です。近未来、月に都市が作られ、人びとが投資と開発に明け暮れる月面が舞台となっています。株式の短期トレーダーとして成功を追い求める少年が主人公です。

全3巻、あっという間に読み終えました。この作品のおもしろさは、現実の経済の歴史をモチーフにして物語に落とし込んでいるところですね。たとえば2巻ではエンロンの粉飾決算、3巻ではサブプライムローンやリーマンショックのような事件が月面で再現されます。

自分はそれらの事件にはまったく詳しくなかったのですが、この本を読むことで全容を理解でき、強く興味がわきました。調べてみると、どれも想像をはるかに超えるめちゃくちゃな事件で驚きました。「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだ…。

1巻では、株価の上下を予想するために主人公が悪戦苦闘する姿が描かれており、その姿を追いかけることでトレードについての基本的な知識や、いかに株価の予想が難しいか、自然と理解できる作りになってます。

この本は3年前にも読んでいて、今回は再読でした。去年に経済・金融に関する本をたくさん読んで、前回この本を読んだときよりも経済の知識が多少なりともついたので、投資のエピソードもぐっと面白く読めた感触がありましたね。

作者さんはきっと投資に詳しい方なんだろうと想像していたら、投資で最大1500万の含み損を出したとか、株に金突っ込みすぎて家賃払えなかったことがあるとか…。本書のあとがきに「恋愛ゲームをたくさんやったからと言って、恋愛に詳しくなるわけではない。投資も同じ」的なことが書いてあって笑えます。

まとめ

今月も面白い本が多かったです。人におすすめしてもらった本とか、自分が好きな作家さんの新作とかが多いので、面白さはすでに担保されているようなものですが。

余談ですが、最近は2月に買ったVRゴーグルで仮想現実の世界に入り浸っており、読書の時間は減りつつあります。まぁこれはこれで良いかなと。昔みた映画「マトリックス」のような世界が近づいている感じがして、わくわくします。技術の進歩は自分が思うより遥かに先に行っていますね。

VRはめちゃくちゃ没入感があって無限に時間を使ってしまうのですが、ほどほどに読書と両立していければと思います。今回の記事はこのあたりで。

最後までお読み頂きありがとうございました!