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読書会にまつわるエトセトラ

ここ数年、1~2ヶ月に1度のペースであちこちの読書会に参加しています。この記事では、これまでに参加した読書会で印象に残っていることを断片的にご紹介します。

演説おじさん

某読書会で、本を片手に「地球温暖化なんて本当は起きていない、あれは陰謀なんだ」という趣旨の演説を延々と続けるおじさんに出くわしたことがあります。話の真偽はさておき、話があまりに長く、終わる気配もない様子。演説を聞く参加者たちもあまり興味を持てずにいるように見受けられました。

そこで主催の方が「他の方が本を紹介する時間がなくなりますし、ここは本を紹介するところで、演説の場ではないので、ご遠慮いただけますか」と口調は穏やかでしたが、きっぱりと伝えました。すると、彼の演説は止まり、ばつの悪そうな顔で黙り込みました。迷惑な行為をしている自覚はあったんだろうか。

読書会で話すことは基本的に自由で、常識に反しないレベルならなんでもいいと考えています。ただこの時の場合、他の方が本を紹介する時間がなくなってしまう、という点が重要だったと思います。このときの読書会では終わりの時間が決まっていて、しかも最初に「一人あたり15分程度」と時間の目安も伝えられていましたからね。

話を止めた主催の方の判断は正しかったと思います。もし止めずに演説が続いたら、他の参加者たちは「この読書会はこういう雰囲気なのか」と感じて、次回以降は参加しなくなったかもしれません。

余談ですが、この演説の直後に本を紹介した方の話が非常におもしろく、演説の影響で変な感じになった読書会の雰囲気がふっとゆるんだのが印象的でした。「男はみんな、元カノの成分でできているんだ」との主張を、本の紹介やご自身の失恋の話も混ぜつつ簡潔に語っていた記憶があります。

念のために補足すると、読書会のほとんどは、たいてい皆が節度を持って本を紹介し、楽しく終わります。その意味で、このときの演説おじさんはイレギュラーなケースかと思います。

釈迦に説法案件

某読書会のフリートークの時間で、とある文豪の小説が話題に出たことがありました。ちょうど自分が読んだことがある本だったので、「たしかその本はこんな背景で書かれて、作家はこんな方で…」的なにわか知識を披露しまいた。良い感じに相槌をうって、にこにこしながら聞いてくださる方がいたので、調子に乗ってとうとうと語っていたら、後になってその方がその作品を題材に卒論を書いた、めちゃくちゃ詳しい方だったと知って、恥ずかしい思いをしたことがあります。もっともその後、その作品について詳しく聞けたので得した気分になりました。

今思うと、そのくらい詳しい方からしたら、素人が語ることが逆に新鮮に聞こえたのかもしれません。私見ですが、何か一つの分野について一定ラインを超えて詳しい方は、知識量でマウントをとったりすることがほとんどありませんね。もちろん必要があれば説明し、質問されれば答えますし、興が乗れば熱っぽく語ることもあるでしょうが。

こんなふうに、特定の分野、特定の作家に非常に詳しい、隠れたプロが不意に現れるのが読書会のおもしろいところです。

絵本あれこれ

オフラインの読書会で、毎回「おっ」と思うような絵本を紹介する方がいて、その絵本には良く人だかりができていました。覚えているものをいくつか載せてみます。

まず、「きょうのおやつは」。鏡のように反射するピカピカの紙でつくられた絵本です。絵本を開くと、両側のページの絵が互いに映りこみ、立体的に見える仕掛けになっています。子どもにめちゃくちゃ人気の本のようで、自分の近所の図書館では常時貸し出し状態になっていました。

それから、「ドラゴン学」。ドラゴンの卵の孵化のさせ方、ドラゴンの乗り方など、ドラゴンについてのあらゆる知識が網羅された図鑑だそうです。絵本のサイズの大きさといいガラス玉が埋め込まれた表紙といい、非常に迫力のある絵本でした。このへんは文字で伝えるのが難しいです。

こういった本を見ると、本の表紙や装丁は非常に雄弁な装置だなーと感じます。こんな迫力ある表紙の本が書店で平積みにされていたら、思わず手にとって中を見てしまうでしょう。もちろん、表紙はシンプルで中身は骨太に、という本もたくさんありますが。表紙は看板ですね。

読書会の原体験

大学時代に「小説を読む」という名の講義に参加したことがありました。今思うと、あれが自分にとって、読書会の原体験ですね。

教授が一方的に語る聴講形式の講義ではなく、その講義では参加者が一人一つ短編小説を選び、教授がその小説のコピーをとって全員に配り、次の週までに全員読んでくる。そしてその小説を選んだ学生が本の内容や感想についてプレゼンし、他の学生も感想や質問をぶつける…といった流れでした。

幅広いジャンルの小説を知れましたし、ゼミで知り合った友人も濃いメンバーが多く、どこまでも楽しいゼミでしたね。「富嶽百景」を暗唱できる太宰治ファンに会った時はびびった。

今思うと、小説を読んで感想を語るだけで単位がもらえるうえ、色んな小説を知れるので、天国のような講義でしたね。テストもレポートもありませんでした。おまけに、期末には各自が提出したプレゼンの内容を教授がまとめて、小冊子にして配ってくれました。この冊子は今でもとってあります。

完全に余談ですが、この講義よりさらに単位がゆるい講義をとった経験があります。たしか「宗教学概論」とかいう名前で、期末に一度出席して、ホラー映画を見て感想を書けば単位がもらえました。女の子が悪霊に取り憑かれる…的なストーリーの映画だったと記憶しています。申し訳程度の宗教学要素。

教授がホラー映画マニアで、期末に見るホラー映画についても「そんなに怖くありませんから、全然大丈夫ですよ」なんて前フリだったのですが、蓋を開けてみれば演出が上手く相当怖い内容で、泣いてる女子もいたのを記憶しています。あの子はちゃんと単位を取れたんだろうか…。

まとめ

かなり断片的な内容になってしまいましたが、思い出すままに書きました。この手の話はあんまり苦労せずに書けますね。記事を書きながら、そろそろオフラインの読書会にもまた参加したいなーと思う一方で、最近はオンラインの読書会にも適応しつつあります。

今回の記事はこのへんで。読書会での出来事や、刺激を受けた経験については、また記事を書きたいと思います。


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