二千二十三年が終わる

 「今日で最後だね……なんだかあっという間に過ぎた人生だった」
 「そうね……あなたと過ごした時間が楽し過ぎたからかもしれない」

 僕達が出会って、明日で一年。今日は人生最後の日。
 二千二十三年十二月三十一日。
 二人で過ごした時間は瞬きするように過ぎていき、鮮明に覚えている物語と共に今日終わりを迎える。
 出会った一月一日、寒空の下。二人目を合わせて、何だか初めて会ったような気がしなくて……そのまま手を繋いで空を見上げていた。
 好きな色や、食の好みや趣味まで似ていて、毎日が嘘のように楽しかったのを今でも鮮明に思い出す事ができる。
 でも……
 今日が最後の日。二人で過ごす、最後の日。
 さようならは言いたくないけれど、何もない日にもしたくはないし、悔いも残したくはない。
 なくなってしまえば、何もないのだけれど。

 「一番楽しかった思い出は?」
 「そうね……どれも楽しかったけれど……ずっとあなたが好きだったわ」

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