「おはようー……って君、また朝からそれかい」
寝室を出て、キッチンの方を覗き込むとリズミカルに包丁で玉ねぎを切っている寝癖でボサボサの頭のままの君が見える。
「おはよう! 今日はちょっと、勝負の、日、だから!」
「勝負って、ただのプレゼンでしょ」
「引っ越して、転職して、初めての、プレゼン……!」
「はいはい、でも朝からナポリタンって……」
「一年ちょっと前の朝、六時十五分、僕の家に突撃してきた君に同じような事を言ったよね?」
「胃もたれするわよ」
ちょうど一年程前の事、私達は普通を普通にしたくなくて、引かれたレールの上を歩きたくなくなって、そして私はもう消えてなくなってしまいたくて……
二人で冒険した数日間は今でも最高の思い出だ。
" あの夜 " の後、君が急に仕事を辞めてきて、引っ越しだ! なんて言い出すから笑っちゃったけど。
" とことんお付き合いしますよ "
なんて言って始まった見知らぬ地での同棲生活。
毎日が新鮮で、大変で、でも楽しくって。気が付けば毎日笑いながら時間が過ぎていた。
「あの日、僕の常識の概念をぶっ壊したスパゲティナポリタン! 今日は宜しくお願いします!!」
「気楽に行けよ〜」
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