君が望む世界なら

 「もうこんな毎日なら世界がなくなっちゃえば良いのに」

君はそう言って瞳から涙が溢れてしまわないようにして笑っていた。
毎日が知らず知らずのうちに過ぎていき、自分が置いて行かれるような気がするなんて話をたまにしてくれた君は、そんな日々がもう嫌になってしまったんだろうね。

「明日が来ないとわかったら、何だか今日を頑張って生きて行ける気がするんだよね」

「僕は君とこれから先もこんな何気ない時間を過ごして行けたらと思うよ」

「じゃあ……私が望む世界になったら良いのにな」

 君が欲しがる世界は君が毎日幸せを感じて、楽しく生きて行ける時間の流れる世界。
君を苦しめたり悲しませたりするものの存在しない世界。
君の理想の全てが実現する世界。
そんな都合の良い世界があるのならば、そんなに幸せな事はないよね。
君の好きなものと、好きな人だけが実在する世界。

「ねえ、君の力でなんとかならないかな?」

「君がそれを望むなら、僕は頑張るしかないよね」

まずは人間関係の整理からで良いかな。
君を悲しませたり、苦しませる人間は君の世界にはいらないんだから。

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