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映画『青島要塞爆撃命令』鑑賞

第一次世界大戦が50年前の出来事だった時代の戦争映画


 日本映画で第一次世界大戦を描いた希少な作品の1つ。
 1963年(昭和38年)公開とあって、戦争を映画として描くこと対する姿勢がカラッとしている。
 主人公(加山雄三)と上官(池部良)の関係、現地人女性(浜美枝)のキャラ付け、候補生(伊吹徹)の死など、人物描写に時代を感じるが、戦争と人物の描き方こそがこの映画の魅力だろう。だれ場となるようなウェットな描写はほぼない。黎明期の海軍航空隊の真価を証明してみせようとする隊員達と、艦隊上層部のすれ違いも最後のカタルシスを増幅させるいいスパイスになっていた。
 特撮のクオリティも、さすが飛行機好きとされる円谷英二作品といったところか。作中、時間を経るにつれて航空機の装備がモディファイされ、進化している。この辺りを細かく描写している点にもこだわりが感じられ、観ていて面白かった。
 冒頭のナレーションで、今から50年前に第一次世界大戦があったと語られる。
 来年、2025年で先の大戦から80年。昭和38年には、令和の人間が第2次世界大戦を振り返るよりもはるかに近い時期に「第一次」世界大戦があったのだと知ると、令和の世に戦争を描くことの困難さを改めて感じる。

※ 画像はAmazonから。


鑑賞日:2024年1月[Amazon Prime Video]
評 価:☆☆☆☆☆☆★★★★(6/10)


#映画 #映画感想文 #青島要塞爆撃命令

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