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エゴイズムは破滅へと向かう

自分の利益ばかり、
他人のことは考えず、自分だけが得をしようとする。

一時は上手くいくのかもしれない。

しかし、必ずその行く末は、他人も自分も破滅を招く。

犍陀多(かんだた)が自分だけ助かろうと、蜘蛛の糸を上り、
下から上ってくる罪人たちを蹴落とそうとし、糸がぷつりと切れたように。
全員地獄の底へと逆戻りする。

そう云う中にも、罪人たちは何百となく何千となく、まっ暗な血の池の底から、うようよと這い上って、細く光っている蜘蛛の糸を、一列になりながら、せっせとのぼって参ります。
今の中にどうかしなければ、糸はまん中から二つに断れて、落ちてしまうのに違いありません。そこで犍陀多は大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己のものだぞ。お前たちは一体誰に尋いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚きました。
その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急に犍陀多のぶら下っている所から、ぷつりと音を立てて断れました。

「蜘蛛の糸」(芥川龍之介)

全員破滅の道へと向かうのだ。

自分だけ助かりたい。
自分だけ得をしたい。
自分さえ良ければいい。

幸福を一人占めしようとするその心。

そんな人間の裏側に見え隠れする本性
そんな醜い心を誰もが持ち合わせているものかもしれない。

しかし、エゴイズムは破滅へと向かう。

だから、我が我がではなく、
一度、一歩下がって俯瞰してみる。

自分一人だけの幸福は成立しない。
自分という「個」は、「全体」がありはじめて成立するし、
「全体」により生かされている。

「全員が幸福になる未来とは?」

そんなことを模索できる心の余裕が欲しい。

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