見出し画像

キャリアの初期と中期以降では、コンディションの重要性が劇的に変わる

この記事の結論を先に書いてしまうと、以下の2点に集約される。
①キャリアの初期はそれほどコンディションを気にする必要はなく、多少コンディションにブレがあっても気にせずガンガン働いた方が合理的
②キャリアの中期以降はコンディションの重要性が急激に高まるので、コンディションが悪い状態で無理して働くよりも、コンディションを整えることを重視する方が合理的

キャリアの初期はそれほどコンディションを気にしなくてよい理由

キャリアの初期はそれほどコンディションを気にする必要がない。何故なら、そもそも出せるパフォーマンスが低いからだ。パフォーマンスが低いと、コンディションの良し悪しでパフォーマンスが上下しても大して変わりがないので、コンディションの影響は限定的である。

単純化して考えてみよう。新人Aが出せるパフォーマンスは1日の標準が10だとして、コンディションが最高の状態だとパフォーマンスを30%増やせるものする。そうすると、1日のパフォーマンスは最大13となる。1か月の営業日を20日とすると、1か月のパフォーマンスの振れ幅は200-260である。1か月間にわたって常に最高状態のコンディションを維持し続けても、コンディションが普通の状態から60しか増えない。

もちろん、コンディションは良いに越したことはないので、なるべく良好に保つべきだ。しかし、コンディションを普通よりも良い状態に保つためには相当な時間、コスト、労力がかかる。運動、食事、ストレス解消等、日々あらゆるケアが必要になるのだ。

一方で、1日は24時間しかない。コンディションの維持・向上に投じている時間、お金、労力を仕事に費やした方がリターンが大きい。例えば、平均の1.5倍働けば、パフォーマンスは300になる。加えて、中長期的にはそのハードワークで得た知識と経験がリターンとなって返ってきて、より高いパフォーマンスを出せるようになる。

キャリアの中期以降はコンディションの重要性が急激に高まる理由

キャリアの中期以降、プロフェッショナルとして1人前になってくると、発揮できるパフォーマンスの上限値が非常に高くなってくる。例えば、標準では50だとしても、いざという時には一気に500とか1,000くらいのパフォーマンスを発揮できるようになる。つまり、パフォーマンスのブレ幅が大きくなる。

言い換えると、プロフェッショナルとして1人前になると価値発揮というゲームのルールが変わり、「上限値に近いパフォーマンスを何度出せるか」が問われるようになる。上限値に近いパフォーマンスを出すためには、心身のコンディションが良好である必要があるので、コンディションの重要性が劇的に高まるというわけだ。

つまり、この時期になるとコンディションの維持・向上に伴う時間、コスト、労力がそのリターンに見合うようになってくる。故に、スケジュールに運動や心身を整える習慣をはめ込んでしまい、仕事の一部として扱うことが合理的になってくる。

そして、上限値に近いパフォーマンスを発揮する頻度を高めることは、成長にもつながる。高いパフォーマンスを必要とされる仕事にチャレンジし続けているということだし、高いパフォーマンスを出せる人には更に難易度の高い仕事が集まってくる。よりハイレベルな経験を積むサイクルが回っていくのだ。

加算的価値発揮から、指数関数的価値発揮への転換

キャリアの初期における価値発揮の方法を「加算的価値発揮」と呼び、キャリア中期以降の価値発揮の方法を「指数関数的価値発揮」と呼ぶことができるだろう。前者から後者へ、価値発揮というゲームのルールが変わることを理解して、何をすれば最も価値に繋がるのかという視点を持ち、行動に見直しをかけることが重要だ。

「コンディションを維持することも仕事のうち」という類の発言をするプロフェッショナルが多いが、仕事をしないことを言い訳しているわけでは決してなく、ゲームのルールが変わったことを冷静に捉え、ベストなリソース配分を追求していった結果として、コンディションの重要性に気づいて習慣や行動が一定の範囲に収斂していくという現象と捉えた方が正確である。プロとして自立したら、仕事として堂々とコンディションを整えよう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?