発達障害の当事者会ってどんなところ?なにするの?(20240511更新)
はじめに
発達障害の当事者会に定期参加してから1年以上経ったので、継続して参加して思ったことをまとめました。
また、このnoteでは発達障害の当事者会について書きます。
筆者は他の精神疾患等の当事者会にほぼ参加したことがないためです。
参考程度ですが、簡単に筆者の属性を記載します。
・診断名:ADHD、うつ病 (ASDはグレーゾーンだが、困り事はある)
・2022年2月に診断
・社会人3年目、オープン就労(上司のみ)
・東京都在住
当事者会とは
発達障害の当事者会であれば、基本的には発達障害がある方が集います。会の中には、支援者や発達障害の子を育てる親が集う会もあります。
会のかたちは様々ですが、茶話会(茶を飲んだり菓子を食べたりしながら談話を楽しむ会)形式をとる団体が多くみられます。それ以外ですと、以下のような形式をとる会もあります。
・ボードゲームや料理など、趣味を通じて交流する会
・発達障害の方が集える居場所やフリースペース
・発達障害の方の居場所となるカフェやバー
当事者会でなにするの?
私が参加したことのある当事者会をいくつか例にあげながら、実際の様子を紹介していきます。
《当事者会A》
・茶話会形式の当事者会
・定員6~12人(1つの輪になって話す)
・属性は当事者、支援者、当事者の親など幅広い
こちらの会では、最初に自己紹介とルールの確認を行い、フリートークが始まります。自己紹介では今日話したいことを話すため、主催者や参加者の方がそのことについて深堀りしていく形で話が進みます。話題は、仕事や福祉制度のこと、発達障害に関する困り事の共有と解決方法などが多いです。
ちなみに当事者会は、福祉サービスの申請の仕方や、実際に使ってのメリットデメリットといった情報が共有されることも多々あり、聞ける人が限られる情報が手に入るメリットもあります。
《当事者会B》
・茶話会形式の当事者会
・定員20名(4~5つのグループをつくって話す)
・属性は当事者のみ(未診断の方も参加可能)
こちらの当事者会は、グループごとにテーマトークかフリートークかを選べます。最初にルールの確認と参加したいテーマトークの確認を行い、グループごとにトークが始まります。進行役の方はおらず、各々のグループで自己紹介を行った後は、大体参加者のどなたかが何となく進行役を引き受けるような感じです。
テーマトークの内容は、人間関係の悩みや特性への対策、孤独感など発達障害の方が抱えがちな感情についての向き合い方など多様多種です。
《当事者会C》
・居場所形式の当事者会
・10~15人が集う(定員なし)
・属性は当事者のみ
この会は居場所形式なので、茶話会と違い自由な活動ができることが特徴です。
茶話会のように発達障害に関する悩みを相談することもできます。また、同じ空間に本を読む方もいれば絵を書く方もいますし、皆でカードゲームをする方もいます。各々が楽しく過ごせる方法を考えてその場所に行って楽しむ点は、茶話会形式の会とはかなり違う雰囲気だと思います。
当事者会に行く理由・得たもの
私が当事者会に行く理由は5つあります。
自己理解
発達障害の当事者会では、他の発達障害の方と話したり交流できます。また、当事者会のルールに定められた範囲で、障害特性で上手くいかないことに関しては「お互い様」といった空気感があります。そのため、コミュニケーションが苦手な方の場合、当事者会という場で他の当事者の方とコミュニケーションの練習ができたりします。吃ってしまったり、話すことを忘れてしまったとしても、周りから責められたりすることはありません。
他の参加者も発達障害当事者なので、時には他の方の特性が気になることもあります。その場合は、「人の振り見て我が振り直せ」と思って、自身の行動を改める機会として捉えると、穏やかに過ごせたりします。情報収集
発達障害や障害福祉に関する情報を収集する場になっています。それならば、「本を読んだり、役所に問い合わせたりするだけで十分なのでは?」と思うかもしれませんが、当事者会の優位性は「生の声」が聞けることなのです。障害と上手く付き合っていく方法であったり、自身がどのような人生を生きてきたかという「声」は、ライフハック本よりもその苦労や克服への説得力があります。そのため、とても共感できますし、他の当事者のライフハックを自分でも実践してみたくなります。まさに百聞は一見に如かずという感じです。ガス抜き
私は、社会人になってすぐの間はクローズ就労(勤め先に発達障害を伝えずに就労すること)で働いていました。したがって、発達障害に関する悩みを共有できる場がありませんでした。また、マスキング(擬態)をして、周囲の方に変に思われないかを気にしながら生活していました。そのような中で、当事者会はほっと一息できる、自分の素や弱みが出せる場になっていました。居場所
私の場合、学生時代の友人、会社の同僚には発達障害のことを話していません。したがって、発達障害のことを自由に話せる場があまりありません。そんな中で、発達障害のことを自由に話せる当事者会は、貴重な居場所になっています。
また、居場所型の当事者会やリピーターになっている当事者会には、顔見知りの方が結構いたりします。当事者会以外の場で遊ぶことは殆どないのですが、毎回顔を合わせて近況を聞いたりすることで、安心したりします。逆に、体調が悪くなかなか顔を見なかったりすると、少し心配になります。そんな関係性があると、「私はここにいていいんだな」と思えたりします。企画/組織運営の経験(主催側)
私は、スタッフとして活動している当事者会がいくつかあります。また、単発ですが発達障害の方向けのイベントの企画をしています。主催者として活動すると、特に他の当事者とのコミュニケーションの取り方を考えるきっかけになります。司会進行役を任された会では、参加者全員に発言の機会はあるかなど全体のバランスを見ながら進行しました。そうすると、話したそうにしている方、退屈している方、喋りすぎて興奮しそうな方など、色々なサインを出している方が見えてきます。そのような方には、自分が話したいかに関わらず私からアクションをかけて、例えば話しすぎている方にお声がけをして他の人に話すターンを回してもらうなど、参加者同士で会話がスムーズに行くようなお手伝いをします。これを考えることはとても難しいのですが、非言語コミュニケーションを読み取る練習、話題提供をする練習になりました。
他の当事者の発達特性と向き合うことによって、自分の特性を理解したり、自分とは違う方と上手くやっていく方法を模索する機会になるなぁと思います。
参加のコツ
・自分に合う当事者会を探す
・当事者会に限らず自分に合うコミュニティを探す
・当事者会に不満があるのならば、自分で主催してみよう
・特性の開示を「傷の舐めあい」と思うのではなく、「自己理解の練習」と思う
「私の居場所はない」「どうせ特性のことを言ったって何も解決しない」と思わず、自分に合う所を探して、自身の障害への理解、障害受容を進めていくことが、生きづらさを解消していくことの一歩になると思います。
おわりに
発達障害の当事者会では、自身のデリケートな部分について話すこともあり、深い共感を得られることもあれば、辛くなってしまうこともあります。
また、凸凹が大きい方同士が集まるため、定型の方との人間関係より苦労することもあります。
それでも、当事者会に参加することで自己理解が深まったり、自らの人生を変えるような生き方を語る方に出会ったりすることがあります。
このnoteを読んで、当事者会に興味を持っていただけたら、ぜひお近くの会に足を運んでみてください。近くにない方はオンラインの当事者会もあるので、参加してみてください。
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