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死にたいのに、死ねない

「死にたい」と言うことでしか「生きたい」気持ちを伝えられない人たちがいる。

臨床心理学者・河合隼雄氏の言葉です。

でも「死にたい」は、あながち間違いではない。

むしろ「生きたい」気持ちを最もストレートに表していると、解釈できるようにも思います。

個人セッションに来られる方のお話を伺っていると

死にたくても死ねない

だから苦しい

そう伝えてくださっているように感じるときがあるからです。



現代は、それまでの自分を殺して新しい自分に生まれ変わる機会が、あらかた形骸化しています。

土着の信仰や宗教が人間の生活と密着していた時代には、人生の節目節目に死と再生を象徴するような儀式が、自然や神の力を借りて、厳かに行われていたはずです。

科学の発達に伴い、豊かな暮らしを手に入れて信仰や宗教の縛りから自由になった人間は、それと引き換えに、霊的成長を導いてくれる目に見えない大切な存在との繋がりを、失ってしまいました。



ライフスタイルが多様化、個別化した今、人々は各自が手探りで、そのイニシエーションを体験していかなくてはなりません。

死を忌み嫌い、できる限り生から遠ざけようとするこの社会では、死なないように防御力を上げるのが正義で、ますます私たちは、どうやって死んだら良いのか分からない。

ある意味、非常に困難なときを生きています。



死んで生まれ変わろうとする魂と、死なないように守りを固める顕在意識とのせめぎ合いが、さまざまな形の苦しみとなって人生を押し潰してくる。

死にたいのに、死ねない。

生き地獄の苦しみです。



波動調整®のセッションを体験した後に起こる、一見ネガティブに思えるような出来事は、私たちが進化するために必要な、通過儀礼ではないでしょうか。

それが怖いのは、死なないようにガッチリ枠を締めているからです。

そうではなく、軸を鍛えるのです。

しなやかな軸を。



生きるとは、絶えず破壊と再生を繰り返す、命の営みです。

生物学的にも細胞レベルで、私たちの体内では日々、破壊と再生が行われています。

その生命活動は自分という輪郭ではなく、わずか一点のバランスによって、支えられています。

生物学者の福岡伸一氏によれば、私たちが毎日タンパク質を摂取しなければならないのは

自分自身の身体を日々作り直すため

なのだそうです。

生命にとって重要なのは、作ることよりも、壊すことである。

細胞はどんな環境でも、いかなる状況でも、壊すことをやめない。

むしろ進んで、エネルギーを使って、積極的に、先回りして、細胞内の構造物をどんどん壊している。

なぜか。

生命の動的平衡を維持するためである。

秩序あるものは必ず、秩序が乱れる方向に動く。

宇宙の大原則、エントロピー増大の法則である。

この世界において、最も秩序あるものは生命体だ。

生命体にもエントロピー増大の法則が容赦なく襲いかかり、常に酸化、変性、老廃物が発生する。

これを絶え間なく排除しなければ、新しい秩序を作り出すことができない。

そのために絶えず、自らを分解しつつ、同時に再構築するという危ういバランスと流れが必要なのだ。

これが生きていること、つまり動的平衡である。

福岡伸一『新版・動的平衡』小学館新書


自分というものが存在するなら

動的平衡を支える軸のあたりに、かなぁ…

と思うくらいで、ちょうど良いかもしれません。



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