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いつかの いつか、

7月の暑くてギラギラと日差しが
照りつける金曜日、
わたしは足取り軽やかに退職した。

年度途中で退職することが珍しい職場の
ため、退職する日は花束をもらう私を
見て他部署の人が騒つくくらいには
私の退職は急な出来事に見えていた。

人から見たら青天の霹靂
だけど、私からしたらこの日を迎える
のを虎視眈々とカレンダーに毎日ばつ印を
つけて確認するくらい待ち望んでいた。


決意した4月

黒スーツを着て緊張した面持ちで仕事を
頑張る新採用職員を横目に私は辞める決心を
どんどん強固にしていった。
意向を伝えた際は上司や人事に驚かれ
何故やめるのか?やはり理由を聞かれたし、
私もちゃんと相手が納得できるような
理由は事前に用意はしていたけど、
正直なところそんな御託はどうでもいい。

シンプルに辞めたかったから。

それに尽きる。
世間的には公務員という肩書は
信用のある職種なので
勿体無いという意見もわからなくないし
部署異動や休暇処置もありがたい提案だった。

何度も何度も自分会議を繰り広げた。

育休中、早く仕事復帰したいと息巻いてた
自分ごめん。

朝の送迎するために業務時間を変更して
くれた夫よ、本当にごめん。

真面目で頑張り屋の係の後輩たち本当
本当にごめんね。

この罪悪感を払拭するために毎日グダグダ
愚痴を言いながら正当化しようとしたけど
事実は事実。忘れぬように残しておく。



辞表を提出した日
もっと名残が惜しい気持ちになるかと
思ったけど全くそんなことはなかった。
圧倒的な解放感!ゆるむ口元!!
その日はいつもより寝るのが楽しみだった。
ドキドキワクワクで胸がいっぱいに
なるのは本当に久しぶりだった。



辞表を出したからと言って取り巻く世界は
一変するわけがなく相変わらず業務は
わからない、終わらない、つまらないの三重苦だった。やったことのない年度末と新年度の業務を
聞ける人、わかる人が全くいない中で行うのは
なかなかの重労働だった。さらには後輩たちの指導と状況把握。
あまりのヤバさにキャパが追いつかず
泣きながらお迎えに行った日も多々あるし、
駐車場で私の車だけ残ってる日もあった。
休日も出勤してなんとかやり過ごしていた。
常にギリギリ(むしろ間に合ってない)
日々だった。

辞めると決めた時、これだけは貫き
通したかったのは最後まで辞めることを
大々的に言わないこと。何事もないように
秘密を抱えて淡々と働くこと。

所属は別として噂が広まっても
良いことはないし詮索されるのもめんどくさい。
何より係の人に余計な厄介ごとを増やしたくは
なかった。狭いコミュニティ他人の
話ほどネタとして良い題材はない。

結果として電撃発表感満載でラストを迎えた。
みんなの驚く顔を見れて大満足(性悪)
重苦しい空気にはしたくないので
また明日も来るような軽い感じでばいばーい!
と挨拶して回った。

それだけ書くと、環境でやめるの?
って直結してしまいそうだがあくまで
これは辞めるピースの1つにすぎない。
むしろ、私はこの部署の人たちには
大変感謝してるし窓口業務もほぼなく
人事の配慮も感じられた。
異動や業務内容のタイミングが悪かっただけ、
それだけ。それだけだけどやっぱりこの業務全般私とのマッチング率0%だったね。



常に流され続けて追われてる感覚の日々だった。

いつか報われる。
でもそのいつかっていつ?
報われた結果何が残る?
この先何年も同じことができる?
10年なんてあっという間だよ、

続けることが大切。
我慢強いことが美徳。
言行一致すべき。

沢山の呪いを自分自身にかけてきた。
そんな呪いに縛られて本心から目を
背けてきて、失敗すればするほど余計に
落ち込んだ。まさに泥沼暗黒世界。



人から見たら辞められる選択肢があって
いいね、と思われるかもしれない。
そう思われるのも心外なくらい内心不安な
部分もあるし、いつか、この選択を後悔する
時が来るかもしれない。
でも、今現在この選択は正しかったと
心から言い切れる。
その時その時によって人が大切に
するものは変わる。あの時こう言ったけど
選択したけど、実際変わるのだ。
変わることは間違いじゃない。

いつか、は結局自分から掴みに行かなきゃ
掴めない。もうそのことを何度も実感した。
ただ待ち続けたって自分が思い描いた
いつかは来るわけがない。
ラッキーの自然発生に頼るのはもうやめだ。

自分磨きにお部屋DIY、アニメ鑑賞に読書
買い物に旅行、些細なことから大きな夢まで
やりたいことは尽きない。
いつかのいつか、に後回しにしてる暇はない。
後回しにするのは楽天ポイントアップデー
くらいがちょうどいい(大体買い忘れる)



おら、ワクワクっすぞ!!
私の中の孫悟空が顔を出す。
私が選んだ道。
あとは前にズンズン進んでいくだけ。
時々立ち止まって振り向くかもね、
その時はその時になって考えよう。

新たな0スタート 期待を胸に
笑顔でみんなに手を振って一歩を踏み出すよ。















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