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雑草の備忘録

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記事一覧

光る海で世界は滅ぶ

補色の組み合わせが一番綺麗だと信じていた
はっきり境目が分かる力強さはわたしになかったから
パステルカラーが流行った時代
わたしは補色を愛していた

暖色より寒色の方が好きだった
クールで冷たいそれは子供っぽさを消してくれるような気がして
パーソナルカラーが流行った時代
わたしに似合わない寒色は許されない色だった

ぼんやりと灯る間接照明
シンプルでくすんだクリーム色
全部わたしの好みではないのに

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愛に飢えていたわたしが夢で出会った人のことを好きになる話

スーパーで野菜を一緒に買うって
そこそこ深い関係じゃないと出来ないと思うんだ
だからわたしは1人で買っている
後ろを誰かが通りかかる

「チャーハンに玉ねぎは絶対入れなきゃだめだよ」

知らない声が聞こえてきて
なんの抵抗もなくカゴにひとつ玉ねぎを入れる
季節なんて関係なくスーパーの中は寒くて
とても冷凍食品のコーナーには近づけなかった

その日の夜はやけに暑かったのに
ちゃんとパジャマを着るわた

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桃娘と突風

あれから毎日夢に出てくる
時空が変わっても好きになることは決定事項で
わたしは今日もあなたに会うために眠る

枯れ切った砂漠に到達する熱風は
更に体温を上昇させる
冷えたスポドリが飲みたいのに
もらえるのは胸が焼けそうな光線銃の流れ弾だけ

与えられるものの密度が高すぎて
わたしにはもったいないと何回も言っているのに
それでもやめないあなたは神様なのかもしれない
ああ、でもみんなのものにはならない

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