領事館閉鎖について
皆さんこんばんは。mostです。
かねてより米中の対立は貿易摩擦等で深刻なものと見られていましたが互いの外交の中心となる施設である領事館が閉鎖となりました。
これがどのような意味合いをなすのか考察していきたいと思います。
領事館とは?
国際関係が重要視される世において領事館の位置付けは非常に重要なものとなります。
領事館とはその国に滞在する自国民にとっての『海外役所』の役割を担っています。また、もう1つの役割として海外での諜報活動や自国に益をもたらす活動を担っています。
お分かりかと思いますが当然2つ目の役割を危険視しての今回の動きになります。
これからの時代の対立は情報戦となります。
武器を取り、航空機を飛ばし、戦艦や空母で海を支配し、爆撃を繰り返す。
そのような20世紀初頭の戦争は起こりません。
情報やハッキングなど内部から国家を崩す。
これが新しい戦争であると考えています。
ただこれだけが領事館退去の理由ではないと考えています。
中国国内には米国総領事館が5つあります。
上海、瀋陽(奉天)、広州、武漢、成都です。
ではなぜ成都を選んだのか?
まずは成都市を説明します。
成都市
中国中部に位置する四方を山地に囲まれた平野にある市で西にはチベットが位置しているためチベットやインド、はるかヨーロッパ側から見れば陸路での中国の入り口となる大都市となります。
この地は中国では蜀の地と呼ばれていますが、この情報で聞いたことのある人が増えたのではないでしょうか?
それは古代中国の三国志の3英傑の1人である劉備がこの地に蜀漢を建国したことからでしょう。僕もこの地を初めて知ったのは三国志がきっかけでした。
さて、本題に入ります。
なぜ成都が選ばれたのか?
それは地政学的に今最も中国が欲し、失いたくないものに1番近い距離にあるからです。
日本にいるときっと中国は尖閣諸島やシナ海を欲しているように思えてなりませんが、最もではないのです。
香港を実質手中に収めたことでアジアでの中国の重要性はますます高まり、アジアから撤退する国も出てきています。
意外にも中国は支配下に置く以上に支配下に置かれるを嫌うのでまずは米国の影響力を弱めることに力を入れています。
東アジアはこれから中国の影響力を拡大していきたい地域なので優先順位は2番目だと考えており、1番は中央アジア及びチベットであると考えています。
そのため、『中国はチベットを失いたくない』
これが答えになります。
チベットをよく知らないと、正直山間部で工業が発展しにくくインフラも整っていない地域を欲しがる意味がわからないかもしれません。
しかし、チベットには水源が存在します。
それも中国、インド、バングラデシュ、パキスタン、ミャンマー、タイ全体に行き渡るほどの規模です。
実際に中国によって上流部に大規模な水力発電施設が建設され、下流部の中央アジア、東南アジア地域では水不足の被害が発生しています。
チベットは中国にとって絶対に必要な地域なのです。
この中国の思惑と事実から導き出されるのは、中国はチベットに最も近い米国領事館である成都領事館を閉鎖し、チベット問題に干渉させないこと。
これが裏に隠された思惑であると考えています。