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自由の槍

今や、学歴や新卒という単語はエンジニア達には必要なく、この界隈ではオワコンだと感じている。

実力主義などと呼んだりするが、とてもシンプルなものなのだ。

良い大学を出たか、と生産性の高いエンジニアであるかは関係ない。

新卒だから何になるという?
新卒とはまだ何も出来ない、空気に触れただけで痛みに耐えきれず泣き出す出産直後の赤子同然。
したがって、雇用主にしてみれば彼らをこれからコストをかけて教育しなければならないだけでなく、コロナのような流行病で経営が悪化しても派遣や業務委託のように簡単に契約を切ることも出来ない。

そんな人材のどこに魅力があるというのだろう?

シェアエコノミーがトレンディな時代で、所有することは一種の負債なのだ。
人材に関しても例に漏れない。

一方、フリーランスのエンジニアは最強の職業の一つであるといえる。

持つべきものは力であり、即戦力。
ひとたび派遣や業務委託として企業に参画すれば、正社員達も恐れる外来種。
圧倒的技術力で他を圧倒する。

圧倒できる理由も至ってシンプル。

社内でのみ通用する業務をルーチンとしてこなすことで安定的雇用を信じる者と、力なくして成長も収入も得られない修羅道をいく一匹狼では、力に対する渇望具合がまったくもって違う。

フリーランスエンジニアは技術力を自分というポートフォリオのコアとしている。
その力が既に攻防一体。
なぜなら、力があるから仕事がいくらでもある。
仕事がいくらでもあるから、安心して新しい力を付けられる。

おまけにフリーランスエンジニアに業務委託をすることは企業側にとっても良いことだらけなのだ。

契約した瞬間に教育期間なしに即戦力とすることができる。
必要なくなったり財政が苦しければ契約を解除できる。
これはもう、敷金礼金、期間縛り無しの優良物件そのものなのだ。

先ほどのシェアエコノミーの考え方を持ち出して例えると、フリーランスエンジニアという人材は最強のレンタル人材だ。

正社員として企業に依存すると、生き方を変えるのはドラッグをやめるようなハードルがあるだろう。

将来的に続く雇用を信じ、企業外で活躍することへのビジョンを持たず、孤立してもなお通用する力がなければ、クビになることは何よりも恐ろしいことだろう。

だから解雇されないように会社のやり方に殉じ自分を費やすため、いつまで経ってもオタマジャクシのままなのだ。

蛙には足があるので池を追い出されても、他の池まで歩けるし、水辺を探し続ける必要すら無い。

リスキーな生き方を避けるため正規雇用を求めた人に訪ねたい。
これらの理由から、正社員というのは本当に安パイなのか?

ここまで言っておきながら、オタマジャクシや雇用者を批判しているわけではない。
フリーランサーとして自分の舵取りをするということは、その生涯、絶え間なく自分の行く道の選択を迫られることになるのだ。

何かを既に始めた後でもそれは続く。
まだ続けるのか。いつまで続けるのか。
儲かることをつづけるか。やりたいことをやるのか。いつやめるか。

思考停止をしたくなるほど、明くる日も次から次へと選択するべきことはやってくる。
その選択を迫るのもいつも自分自身だ。

だから思考停止して他人に自分の舵取りを押し付けたくなる気持ちは、お察しする。
だから思考を停止して雇用者として生きるのも一興である。とてもクレバーではないか。

それに自問もしなければ自答もできない人もフリーランスは向かない。
フリーランサーは世の中の需要を自分自身で満たさなければならない。その需要に強く応えることができれば、その分の見返りが手に入る。

これは自身でサービスや事業を興すにしても、業務委託や派遣として働くにしても同じことが言える。
世の中の需要を掴むことがまず求められ、その需要を強く満たす人材になるために自分自身を進化させ続ける必要がある。
だから毎日、自分に問い、考え、答えを出し、実践や努力をする。

よく小回りのきくプロジェクトでPDCAサイクルだとか言うけれど、個人はQ&Aのたった2ステップでサイクルを回し、自問と自答で爆速で進化を続けよう。

それに、フリーランスエンジニアとしての立場から、実際に企業に業務委託として参画して正社員の方を見ていて思ったのは、彼らは本当にリスキーな生き方をしているなということだ。

誰かに首根っこを掴まれ、そいつの一声で運命が左右される。そんな状態に置かれていてリスキーでないというのならきかせて欲しい。

また、そこから派生するストレスはないか?
毎日誰かの顔色を伺う必要があったり、ハラスメントでも受けることがあれば誰かに相談する前に、相談した後の結果や報復を恐れ躊躇したりといった、自分にとっては遠い国のお話のようにも聞こえるが、そういったことも実際はあるのだろう。

リスク以外にも付随する負の要素はいくらでも想像に容易い。

でもフリーランスエンジニアは、例えば業務委託や派遣先から契約を解除されることをちっともリスクだとは思っていない。
正規雇用されている方から見るとこれは俗にいう「クビ」というやつであるが、少し長期の休みが欲しい時などにちょうど仕事を辞めることになると、小躍りしたくなるほどだ。

また、職場を変えて身の回りの環境を定期的に入れ替えることは、さらに新しいスキルを身につけ、さらなるパワーアップをすることに繋がるので、寧ろ歓迎すべき事なのだ。

就職活動やハローワークなどでエネルギーを消費せずとも、現在ではレバテックのような業務委託先紹介サービスも充実しているし、仕事先は待っていても紹介してくれる。

その中から更にえり好み出来るわけだ。

右も左も分からない大学生が卒業前から、生涯を捧げる会社を材料もなしに選定し、「御社、御社、御社」と言っているのが、先進的と言えるだろうか?

フリーランスエンジニアは生涯を同じ場所で終えないし、職場は一期一会であるため、そこまでシリアスにならない。

やるときは全力投球だが、どこでやるかは長い人生のうちの一時のことなのでその都度気分で選べば良い。

人生とはランダムの連続だ。

もし会社を一つ決めてそこに生涯を捧げるとしたらどうだろうか?

一発で自分にとって満足な環境が見つかればラッキーだ。

でも実際は蓋を開けてみないと分からない。

フリーランスエンジニアはもし環境が合わなかったら変えればよい。

ダイスを振りなおせる。
強い手札さえ持っているのだから、場が悪いなら何度でも仕切り直せば良い。

大数の法則が機能するまで試行すれば、良い手札を持っている者は自然と広い意味で豊かになれる。

メリットを挙げ出すときりが無いが、給与面ではどうか?

実際のところ、正社員はボーナスを受け取っていたりもするが、これを計算に入れてもフリーランスエンジニアが業務委託で受け取る報酬のほうが圧倒的に高い。

正直、ここまで大きな差があると、例えば酒の席でも正社員の方とお金の話をするのが気が進まなくなるくらいだ。

これは正社員の場合、手取りは源泉徴収、福利厚生も引いたものを貰っているので比較は難しいが、フリーランスエンジニアは確定申告などを上手にやれば、この部分を大幅に節約することが出来る。(もちろんそれを引いて考えてもフリーランサーが受け取る報酬は圧倒的だ。)

一般にこの部分(経理)を学んだり、実際に作業するのは大変だと嫌煙されがちであるが、ぜひ自分でやってみて欲しい。

お金に関する知識をより多く、より詳しく持っているかどうかは大きい。

もしこういったことを人任せにするというのなら、お金とは一生無縁だろう。

そこから節税以外にもいろいろなヒントを得るだろうし、自分にとって何がプラスになるのかは各々やってみて見つけて欲しい。

お金の知識も一つの非常に強い武器であり、いつかは働くことから我々を解放することだってありうるのだ。

˙技術、知識、発想力、準軟性、専門知識、うんちく。
余計なものなんてない。知の総合格闘技だ。なんだって柔軟に取り入れろ。

個人の力で戦っていける自分だけの槍で自由を守り貫く。

それ故にこう呼ばれている。

「フリーランサー」と。

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