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シリーズ:ノルウェー人に聞いてみた②~ノルウェーってジェンダー平等ですか?~Tonjeさんの場合

さて、シリーズ化予定だった「ノルウェー人に聞いてみた」、ついにシリーズ化いたします!

今回のお相手は・・・

ご近所の仲良しおばあちゃんの娘、Tonje(トーニャ)さんです。もちろん、ご本人に許可を得て掲載しております。Tonjeさんは機械エンジニアとして民間のノルウェー系オイルカンパニー、アメリカ系オイルカンパニーを経て、現在はリタイアしてご自身で女性起業家支援の会社を運営なさっている60代のとっても気さくでかっこいい女性です。

ノルウェーはジェンダー平等の国だと思いますか?

はい、他の国に比べればそうだと思います。でも、賃金格差の問題は今も残っています。その点では男女平等とはいえないと思います。男性と女性同じ仕事をしても男性のほうが給料が高い。それはおかしいと思います。

2022年OECD統計より 男女賃金格差

日本が21.3%の賃金格差があるのに対して、ノルウェーは4.5%のみではありますが、やはり賃金格差が生じているのです。たかが4.5%と思うかもしれませんが、本人からするとされど4.5%です。納得がいきませんよね。


他にどんな不平等があると感じますか?

職業の偏りはあります。私の時代は女性エンジニアは少なかったです。エンジニア=男性だったんです。なので、学校でもマイノリティ。会社でもマイノリティ。私は性格的にその環境があっていたので問題にはなりませんでしたが、職業選択の際に「女性だから」という理由だけで女性が多い産業(例 ケア産業など)に就くのはいいこととは思えません。最近は女性エンジニアもかなり増えてきています。女性IT人材を増やそうという動きから女性学生を対象とした就職イベントも開催されています。改善はしてきていると思います。

とはいえ、子供は親の影響を受けます。母親が看護師だから、先生だからといった理由で何となく私も「看護師に」「先生に」と思う女性も多いです。ケア産業は相対的に賃金が低く、パートタイムも多いという事実も知らずに、あまりよく考えずに就職するのは危険だと思います。


2位の国でも男女賃金格差、職業の偏りという課題がまだ残っていることがわかりました。さて、ここからは少し話の方向性を変えて・・・

何故ノルウェーは男女平等が進んだのだと思いますか?

バイキングの時代は男性は長期間航海に出かけ、家を留守にしていました。女性が家の主だったので女性がとても強かったのです。Lady of a keyという言葉もあるぐらいで、家の鍵を握っていたのは女性だったのです。女性が働き、女性が子供を育て、家の切り盛りをしていたのです。その名残もあり、男女平等の思想が根付いたのではないでしょうか。

また、人口が少なく、世帯ごとに拡散して居住していたため、女性の労働力も必要だったことも要因の一つだと思います。自然環境が厳しいので、生きていくためには家族全員で協力して生きていく必要があったのです。

そしてスウェーデンやデンマーク、イギリスのような上層階級というものが存在しない社会でした。とてもフラットな社会だったのです。デンマークやスウェーデンに支配されている期間も長く、上層階級が生まれず、みんな平等。それが普通の社会でした。今でも、国民と王族の距離はとても近いです。学校も一部の例外を除いて(インターナショナルやモンテッソーリなど)公立しかないのも、「平等」を第一に考えているからです。

それと、パパクオータ(パパ育休)の功績も大きかったと思います。パパ育休を取得しないと、その休暇と給付金が消失してしまうので、よっぽどの理由がない限りみんな取得します。今では母親と父親のどちらが育休を長くとるかで喧嘩になる夫婦もいるぐらいです。あとはせっかくの家族団らんの機会だからということで、海外に長期滞在する家庭も見かけます。男性も久しぶりの自分時間を楽しもうととても前向きな気持ちでいるみたいです。といっても赤ちゃんの面倒を見るのがこんなに大変だと思わなかった・・・という感想もよく聞かれますが!(笑)それも大事な勉強ですよね。

聞いてみて思ったこと

点と線がつながった感覚がありました。本や資料から得た情報が生情報に変わった瞬間でした。そしてパパクオータについては、父親が取得しないと家庭の損失となる仕組みがうまくいく秘訣だと改めて実感しました。ただ、取得しましょう!子育てに関わりましょう!といったイクメンアプローチでは限界があります。やはり、制度的に構造的に物事を考えていく必要がありますね、何でも。


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