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マレーシアの名門私立大 Sunway University 訪問:英語教育の先生方に聞く、現地の言語変化の状況

ジェンダーxニュートラルxランゲージxワークショップを企画・開催している株式会社セイルです。当ワークショップは、アメリカカリフォルニア州のサンフランシスコ州立大学で英語教授法の修士課程を修了した二人の現役大学英語講師が、日本人ビジネスパーソンズのために開発しました。
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Sunway University 訪問

2023年2月にマレーシアの Sunway University を訪問し、英語教育ご専門の先生方と Gender Nentral language の使用と教育に関して意見交換させていただきました。

Sunway University は、クアラルンプールにあり、マレーシアでNo.1にランクされるトップ私立大学。世界の大学のランキング上位 2.5% にランクインしている。


マレーシアの言語環境

マレーシアは多国籍・多言語の環境下、英語を国際共通語として使用する人々も多く、小学校から大学まで私立校は英語で授業を行うのが慣例です。

様々な文化背景をもった人々が集まるが故に、マレー語を国語としながらも、英語が共通言語となっています。

ノンバイナリーな言語の使用について

Prof. Stephan Hallのご尽力で英語教育ご専門の先生方につないでいただき、
2010年代以降、米英の英語圏を中心に顕著になっているノンバイナリーな言語の使用についてはどのような影響がでているか、を伺ってきました。

予想していたこと

私たちの予想では、英語への接触が多い分my pronounsを使った自己表現や新しい三人称単数のTheyの使用方法についても活発な使用が始まっているのではないか、その一方で宗教的な背景から、LGBTQ+に関する内容には特別な配慮があるだろう、と考えていました。



わかったこと

7名の教職員の方々が参加してくださった2時間の座談会の中でわかったことは、まず、言語の新様式に関しては、日本とはさほど状況は変わらない、ということでした。Singular theyの新用法は2010年代後半から辞書やライティングマニュアルでアップデートされているものの、それに気づいている方とそうでない方がいらっしゃいましたし、Singular theyの使用と英語教育の中における取り扱いについて、欧米で議論されているような熱量よりも、日本の教育界で議論の熱量に近い、新しいコミュニケーションスタイルをこれから知り・理解していこうという姿勢が感じられました。

その土地特有の文化

マレーシアで特徴的なことは、宗教の存在です。言語の様式としての捉え方とは別に宗教に関わる人々の信念や法律についても考える必要があります。イスラム教徒のムスリムが60%以上を占めるマレーシアでは、同性愛行為はコーランの教えに反するという解釈が一般的で、通称ソドミー法により罰せられます。セクシャルオリエンテーションとジェンダーアイデンティティーはそれぞれ別の分野の事柄ですが、大きくLGBTQ+の事柄として、この二つが一緒に論じられることは多く、タブー視されているます。

高等教育においては、ジェンダーに関する事柄は、広くオープンに発言できる環境を整備していても、学生たちが自らこれらのトピックを避けたり、ピアプレッシャーによって、表現・発言することを避ける傾向があるという事例を伺いました。例えば、自分のジェンダー代名詞を they とノンバイナリーで表していた学生が、急にその表示を消したり、発表の内容にジェンダー関連のトピックを選んで取り組んでいたにもかかわらず、途中で内容を変更したりしたことがあったそうです。

教員は中性的でオープンな立場をとっていて、課題の発表の内容としてLGBTQ+を扱うことや、学生が自身のジェンダーを生まれた時のジェンダーとは逆に表明したり、ノンバイナリーとして表明することにも理解を持っていたとしても、学生たちは、ヒジャブを着て授業をしている教員がムスリムだということを考慮し、タブー視されたトピックを避ける、ということです。

結び

今回のSunway University訪問時の意見交換の機会をいただき、改めて英語教育の国ごと、文化ごとローカリゼーションは丁寧に進められるべきだと感じました。

文責:小塚


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