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1097_未来の世代

「この時代、いったい何を信じたらいいんですすかね」

最近、2人目の子供が生まれたばかりの後輩が戦争の状況を伝えるテレビのニュースを見ながら、こうため息を漏らす。

「なに?家族が増えて、急に不安になった感じ?」
「そうかもしれないっすね」
「子供さんの関係?」
「そうなんです、期待より不安の方が大きいですよね、正直」

人生の節目節目で、僕たちは今後の人生の目処をつけるために、これからの世界を予想するものだ。

そうなった時に果たして、今後、この不透明で混乱した世界が、これから生きていく子供たちにとって、必ずしも良いものであるかどうかなんて言い切れない。彼の表情はそんな不安定な感情を如実に表していた。

「不安で言えば、お金もありますし。家とかいつどこに建てたらいいんだろうとか」
「色々、住宅ローンとか金利とか、わかんないよな」
「でも、何より子供にどうやってこの世界の複雑さを説明すればいいのか、正直わかんないんです」
「ああ」

「僕自身もわかっていない。どうやって今後の世界を生きていけばいいのか、どう教えてあげればいいんだろうって、生まれた子の顔を見ながら、正直思うんです」

これから、子育てをする世代にはより考えなければいけないこと、ますます増えていく負担としてのしかかること、我が子を守るために最低限気をつけなければいけないことなどが山積みなんだろう。

これまで昔は考えたり心配する必要などなかったような、降って湧いたように真偽のわからない情報の波が若い夫婦を襲う。

正直、子育て世代を搾り取るようなこの世の中の趨勢は正視しづらいような状況にある気がする。

「しょうがないよ、子どもどころか、我々大人でさえも、毎日迷ってるんだからさ」
「そうなんでしょうけど」
「でもさ、正直にわかんないでも、いいと思うんだよ。一緒に見つけてあげればいいんじゃない。子どもと一緒にさ」
「そっか、そうですね。わかんないんすもん、しょうがいないっすね、やっぱり」

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