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制作に関わるスタッフは?

●本はチームプレーで作り上げるもの

 みなさん、こんにちは。
 私は出版社・現代書林で企画と編集の仕事をしているTです。
 よろしくお願いします。
 さて、今回は本の制作に携わるスタッフについてお伝えします。
 
 著者の想いやノウハウを200ページの単行本としてまとめるためには、著者や出版社だけの力では足りません。
 多くの外部スタッフの力を借りて良い本に仕上げていくのです。
 簡単ではありますが、制作の流れに沿ってスタッフの紹介をしていきます。 

●チームの中心になるのは編集者とライター

 ・編集者
 書籍を制作するとなった際にはまず「編集者」が必要です。
 私の仕事でもありますね。ですので、この文章は編集者の目線で書きます。
 編集者は社内にもいますが、外部の方にお願いすることもあります。
 著者と一緒に書籍の企画を練り、アイデアを出し、構成を作ります。
 取材日程を調整するといったことも編集者の業務になります。
 制作の前半部分だけでも多岐にわたる仕事です。
 
 この後お話しする「外部スタッフ」の選定も編集者の役目です。
 書籍内容、各スタッフの得意ジャンルなどを勘案して選びます。
 
・ライター
 編集者が最初に選定するのがライターです。
 弊社の著者は医師や経営者、コンサルタント、士業の先生、占い師など様々です。皆さん本業が多忙で執筆に時間を取れません。
 ブログレベルの文章量ならともかく、単行本200ページに相当する7~8万字の文章を書くのは至難の業です。
 そこで登場するのがライター(いわゆるゴーストライター)です。
 対面やオンラインでの幾度かの取材を経て、著者に代わり、文章を書き上げるのが仕事です。いわゆる口述筆記ですね。
 もちろん国家資格ではないので、名乗れば誰でもライターにはなれます。  
 しかし、売れっ子のライターになるには、言うまでもなく多くの経験が必要です。
 フリーのライターは元々出版社の社員で、独立した人が多いですね。 

●取材開始

 構成が固まれば取材がスタートします。
 ちなみに、コロナ前は対面の取材が普通でした。
 今はZOOMやSkype、Google meetなどのオンラインが当たり前になっています。著者と1度も直接会うことなく完成する本も珍しくありません。
 
 取材では目次案はすでに固まっていますが、より良い本にするため、改善・改良できるところはないか、取材中はいろいろなことを考えています。
 深掘りできる質問はないか、聞き漏らしはないか、読者がもっと知りたい情報はないか。
 編集者とライターで役割分担をして、円滑に取材を進めていきます。
 取材の平均回数は数時間を3~4回が標準です。
 
・文字起こし会社
 取材を行うときはICレコーダーやオンラインの録画録音システムを使います。
 取材が完了したら、音源データをいったん文字に起こします。
 ライターが実際に執筆する際の参考にします。
 この文字起こし、簡単そうに見えて実際にやってみると実はとても難しく、専門のテクニックが必要です。
 文字起こし会社は普通の人の数倍のスピードで文字起こし原稿を完成させます。

●ライターによる原稿アップ

 取材完了後、1ヵ月半~2ヵ月でライターが原稿をアップします。
 編集者が読み、大きな問題がなければ著者に送ります。
 著者から大きな修正の赤字が入らなければ、ベースの原稿は完成です。  
 もちろん、この段階で内容として足りないところ、修正箇所があった際は、追加取材などを行い、ライターが加筆を行います。
 
・校正者(校閲)
 文章が日本語としておかしなところはないか、誤字脱字はないか、意味を間違って使っていないか、などをチェックするのが校正者です。
 どの段階で校正者が入るのか、何度入るのかは書籍によりますね。
 いろいろな資料や書籍、インターネットの検索結果などを参考にします。
 もちろん、元々持っている専門的な校正知識が重要なことは言うまでもありません。
 
・ブックデザイナー
 著者、編集者、校正者のチェックが終わり、原稿が固まった後には、その原稿を「ゲラ」にします。
 書籍内の大見出しや小見出し、目次、コラムページなどをデザインするのがブックデザイナーです。
 カバーやオビ、表紙のデザインも行います。
 タイトルを決めて依頼をすると、カバー・オビデザイン候補を数パターン提案してくれます。
 
・イラストレーター
 文字ばかりの本だと味気ないですし、イラストや図表があったほうが読者にとってもわかりやすいでしょう。
 そこでイラストレーターの出番です。イラストだけではなく時には図版も作ってくれます。
 イラストレーターは本の雰囲気や編集者の依頼によってタッチを描き分けられます。
 細かい作業が多い、職人的な編集者と違い、ブックデザイナーとイラストレーターは芸術家に近いイメージですね。
 

●最終校正⇒印刷製本

 原稿とカバーデザインが決まれば、制作の最終段階です。
 編集者が最終校正を行い、ゲラを確定させます。
 その後はデータを印刷所に入れて終了です。
 
・印刷所
 最終的に本にするためには、印刷所の力が不可欠です。
 ブックデザイナーが考えたレイアウトや配色を損なうことなく本として仕上げるのは、熟練の職人の技と最先端の印刷機械の両輪が必須なのです。
 編集者からは細かな要望やギリギリのスケジュール進行をお願いすることも多く、担当者さんには感謝しかありません。
 
 
 出版の制作の流れに沿って、スタッフの仕事内容を紹介してきました。
書籍はつくっただけでは、読者の手には届きません。
 弊社の営業担当はもちろん、流通を担う取次(とりつぎ)、書店があってこそです。多くの人の力に支えられ本は作られ、読者のもとに届けられます。
いろいろな方の力を借りて、これからも良い本を作っていきたいです!

 現代書林企画部 T