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難解な哲学書に素人がどう挑むか?

素人こそ読みたい哲学

最初に断っておきますが、僕は哲学については素人です。個人的に興味関心があり、浪人生の頃からぼちぼち読み継いできましたが、大学も教育の国語国文、隣接ジャンルとは言え、専門レベルでの読み方を習ったわけではありません。
でも、そんな僕なりの素人読みでも、哲学の本に目を通していたことにより、

あー、この事件、デカルトの世界観に由来するものとも言えるなぁ。

とか、

Twitterの相互フォローの人でも、clubhouseで声を聞くと、グッと存在感が増すなぁ。他者の認知は「顔」とともに「声」にも大きく拠るものなのかもしれない。

などと、現実の出来事を、いろいろな観点から認識することが可能になります。哲学を学ぶことは、何も専門家だけの特権ではなく、むしろ僕ら一般の人間たちにとっても、大変に意義のあることではないでしょうか。

何を読むべきか

とはいえ、哲学は、やはり難しい。

「よっしゃ『純粋理性批判』買ったぜ」➡︎3行で挫折

なんてことも、決して珍しくはありません…というか、むしろ通常運転です。振り返れば、このようなパターンで見事インテリアと化した哲学書の山…。

となるとじゃあ、僕たち素人はどう哲学に触れればよいのか(なお、ここでは、大学やカルチャーセンターなどに通うことができないことを前提としてお話します)。

まず、大前提があります。
それは、

カント、ヘーゲル、フッサール、およびポストモダン系思想家の大半は、素人が手を出してはいけない!!

ということです。無理です。難しすぎます。少なくとも僕は、カントもヘーゲルもフッサールも即挫折して、竹田青嗣の入門書を読んで"わかった"ことにしています。ポストモダン系の思想については、学部生、院生の頃にあれこれ勉強したので、まあ、なんとか1割くらいは…。
というわけで、素人の哲学読みについては、

がんばれば部分的には理解できるもの

にまずは限定するのが吉かと。具体的には、プラトン『クリトン』『パイドン』、そしてデカルト『方法序説』です。長い詩的な(異常にテンションの高い)文章を読めるなら、ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』も、勢いでイケるかもしれません。

入門書なる神アイテム

ただし…

必ず入門書を読んでからチャレンジしよう!

ということは、声を大にして強調しておきたいと思います。
新書でもムック本でも、高校倫理の参考書でもなんでもいい。事前にその哲学者のその著作について、ある程度の概略を知ってから読むのです。もっと具体的に言えば、

入門書で手に入れた情報を確認するために読む

ということです。例えば、倫理の教科書にデカルトの「我思うゆえに我あり」という文言が載っていたなら、その文言を探すために『方法序説』を読む。ニーチェの入門書に「超人は大地の意義である」と引用されていたなら、そのフレーズを見つけるために『ツァラトゥストラはこう言った』を読む。

ええ…なにそれ。そんなの全然、受け身じゃん…ウォー○ー探してるだけじゃん…

と思った方、いやいや、そんなことありません。なぜなら、そうやって"機械的な読み"をしていたって、必ず、

…ん…? あ、あれ? ここはなんだか読める…読めるゾ…!?

とムスカれる箇所は出てきますし、

…あれ? ここ、入門書には書かれていなかったけど、ちょっとおもしろいこと言っているな

なんてところや、あるいは、

…うーん、入門書には「〇〇」って書いてあったけど、ここの記述、あの解説とはちょっと矛盾する気がするなぁ…

などと思える箇所は、きっといくつか出会えるはずなんです。そしてそれだけでも、僕たちの世界観は、その本を読む以前とは違うものになっている。つまりは新しい世界を、すでに生きていることになるのです。なんとも素晴らしい…!

繰り返しますが、

入門書で理解したことを確認するために読む。

一つだけでもいいから、「おお!」とか「おや?」という記述を見つける。

これが、僕たち哲学の素人が"まずもって"現実的に実践しうる、「難解な哲学書」の読み方なんじゃないかな、と思います。そして、それは十分に実りある営みなのですよ…!😆

オススメ

以下にいくつか、僕が読んで「こりゃ良い!」と思った入門書を紹介しておきます。ぜひご参照くださいね😊

□田中美知太郎『ソクラテス』(岩波新書)

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b267125.html

□池田晶子『14歳からの哲学者 ー考えるための教科書』(トランスビュー)

□竹田青嗣『ニーチェ入門』(ちくま新書)

□今村仁司『近代性の構造』(講談社選書メチエ)

□金森修『動物に魂はあるのか』(中公新書)

□ディープ相澤(じゃなくて相澤理)『大学入試 マンガで倫理が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)

□小阪修平『新版 イラスト西洋哲学史』(宝島社)

なお、書籍ではなくYouTubeで学ぶなら、ネオ高等遊民さんのチャンネルを推薦します。


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