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共通テスト現代文【第1問】対策のヒント

共通テスト現代文【第1問】の概要

 共通テスト現代文は、当初予定されていた記述問題が中止となった結果、第1問、第2問の大問2題構成になることが決定しています。その内訳については、プレテストやこれまでの大学入試センターからの発表に鑑みるに、

第1問:論理的な文章
第2問:文学的な文章

となることは、ほぼ間違いないと言えるでしょう。
 ここでいう「論理的な文章」とは、いわゆる「評論文」「論説文」「説明文」と呼ばれるような文章のことですね。第1問にこうした文章が出題される点は、つまり、旧センター試験の出題と変わらないわけです。
 問題は、この「論理的な文章」が、一般的な試験とは大幅に異なる形式で出題される可能性があること。おそらく皆さんもご存じかと思いますが、

一本の文章を単体で問う形式ではなく、複数の文章や図表等を併記する〈非連続テキスト〉と呼ばれる形式

での出題となる可能性が高い。そしてその際、

評論文Ⅰ+評論文Ⅱ

というパターンも想定されるのですが、より可能性が高いと思われるのが、

評論文+資料【実用文・写真・図・表・グラフ等】

という形式であるわけです。
 ここでいう「実用文」とは、いわゆる「法律文」や「契約書」、「ポスターの文言」等を指すとお考えください。

共通テスト型〈非連続テキスト〉形式問題の実際

 まずは、2回実施されたプレテスト(試行調査問題)の「論理的な文章」の大問をざっと確認してみてください。なお、プレテストでは、第1問が中止となった記述式問題なので、今回は、第2問のみ見ていただければ大丈夫です。

 第1回、および第2回の第2問の設問内容を確認してみましょう。

~第1回~
問1 表と文章の関連づけ
問2 図と文章の関連づけ
問3 図と文章の関連づけ
問4 文章内容の理解
問5 文章内容の理解

~第2回~
問1 漢字
問2 文章と資料の関連づけ*
問3 文章内容の理解
問4 表と文章の関連づけ
問5 文章の表現についての理解
問6 資料と資料の関連づけ

 太字にした設問が、複数の文章や資料を関連づけながら解釈する〈非連続テキスト〉タイプの出題となっています。つまり、この手の設問の存在が、これまでのセンター試験には見られなかった、共通テスト現代文特有のものということになるわけですね。

共通テスト現代文【第1問】をどう攻略するか

 上記の設問内容をご覧になった皆さんは、「やはり〈非連続テキスト〉タイプの設問が多いなぁ…」と思われたかもしれません。確かに、トータル11問のうち、6問が〈非連続テキスト〉型の設問となっていますからね。
 ただ、実はそのほとんど(第2回問2以外)は、〈非連続テキスト〉型問題とは言っても、例えば、

傍線部は資料に引かれているが、解答するための根拠はすべて本文に書かれてある

というような作りになっています。つまり、複数の文章や資料を融合し、解釈するという高度な解き方は求められていないのですから、

単に資料と対応する本文箇所を見つければよいだけで、あとは一般的な読解問題と何ら変わらない

ということになるわけです。
 第2回の問2だけは、文章と資料の内容を融合し、自分なりに解釈するという思考が求められているのですが、実はこの問題はかなり評判が悪く、「正答は存在しない!」と指摘される方もいらっしゃいました。確かにこうしたパターンの作問には、問題作成者独自の解釈――つまり恣意や主観が入り込んでくる可能性が高いので、客観系のマーク式問題ではとても問いにくい。ということは、これは僕の勝手な予想に過ぎませんが、共通テストの本番では、こうした問題が出題される可能性は低いのではないかとも考えられます。
 いずれにせよ、〈非連続テキスト〉とはいっても、資料から文章への視点移動さえ的確に行えば、あとは一般的な読解問題と変わらない、という形式がメインとなることはほぼ間違いありません。そしてさらにそこに、第1回の問4・問5、第2回の問1・問3・問5あたりの純粋に単体の文章の理解を問う問題、つまりはごく普通の読解問題が加わるわけですから、実は、共通テスト【第1問】については、

一般的な読解問題と同様に、文章の読み取りを正確に行うことができれば、〈非連続テキスト〉という形式についてあまり神経質になる必要はない!

と結論することができるわけですね。

最後に

 要するに、結局はこれまでのセンター試験同様、文章の正確な読解が高得点を奪取するうえでの鍵となるということです。
 となると、皆さんの中には、「であるなら、これまでのセンター試験の過去問を演習することも、共通テスト対策になるということ?」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。それに対する答えは、もちろん、YES、です。

センター試験の現代文【第1問】は、十分に共通テスト現代文【第1問】対策になる!

ということは、ぜひご理解いただければと思います。

 ただし、〈非連続テキスト〉において、「実用文」、とくに法律文契約書などが併記される場合、メインとなる文章「実用文」との両方を丁寧に読み取るだけの時間的余裕は、おそらくありません。初読の段階では、

・メインとなる文章は時間をかけ、丁寧に読解する。
・逆に「実用文」に関してはざっと目を通すだけにする。
  ⇒タイトルや各段の小見出し等を確認するだけでもよい。
  ⇒設問を解く段階で、必要な個所のみ丁寧に読む。

という作業はある程度訓練しておく必要があります。予想問題等を解く際には、この点も意識して演習に臨むことが大切になるでしょう。僕もKADOKAWAで『大学入学共通テスト 国語[現代文]予想問題集を執筆しております。宣伝になって申し訳ありませんが、ご活用いただければ幸いです。


 では、今回は以上になります。いろいろ不安もあるでしょうが、ここまで述べたことを意識して演習を重ねていけば、少なくとも共通テスト現代文【第1問】について、皆さんが過剰な心配をする必要はまったくありません。ぜひ、頑張ってくださいね。健闘を祈ります(o^―^o)
 

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