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ドイツパン修行録~ベル・エポック編~

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続・習うより慣れろ編/遂に念願の製パンマイスターとなりマイスターブリーフを手に入れた男が、ドイツの小さな町のパン屋で働きながら更なる次のステップを見据え腕を磨いていく物語。
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*25 クールベ

 パリから戻った私の鼻先をいつまでも擽っていた旅の余韻は、感動や興奮といった類の楽しげな…

*13 日と月と音と

 これほど終業を、週末を待ち侘びた一週間は久しぶりであった。今週は土曜に休みを指定されて…

*12 教うるは学ぶの半ば

 月の初日と月曜日が重なるのは気持ちがいい。新たな門出を迎えた様な、そんな真っ新な気分に…

*11 思いがけない打診

 ちょうど一年前の私を思い返した時、笑いの起こる半面に冷汗が垂れて身の震えるのが分かった…

*10 ジャーニー

 地区の子供会だの社会に出てからの同窓会だのといった集会において、既に集合時間よりも随分…

*4 発酵

 近頃、髭を剃る事に関して言えばすっかり生皮な私の顎を文字通り無精髭が覆っている。幸い此…

*3 ルーム・ツアー

 久し振りの六連勤を片付け週末を迎えた私の具合が思わしくないでいる。昨夜金曜の深夜二時に目を覚ました時は寝不足こそあったかもしれないが概ね健康な身体であった。それが出勤して働いている内に頭痛が始まり、その内胃の中で不快が蠢くように変わっていったのである。自業自得たる心当たりは一昨日の深酒にあった。この日こそは早めに床に着こうと心に決めて、直ぐに眠れるようにと酒を飲み始めたのであるが、何時の間にかかえって普段よりも遅くまで起きてしまっていた。慌てて眠ったのが夜の二十一時で、それ

*2 フラヌール

 幼い頃から変わり者であった。当時の私に変わり者であるという自負は毫も無かったが、今にな…

*1 ベルエポック

 突き抜ける様な晴天の下、懐かしい音楽を耳から体に注入しながらぷらぷらと歩いたのが日曜の…