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MIYASHITA PARKに行ってみた【建築探訪no.03】

コロナウィルスもなかなか収束の目途が立ちませんね。。。なかなか遠出もできず、もどかしい日々です。

そんな中で先日、今年7月28日にオープン(リニューアル?)したMIYASHITA PARK(宮下公園)に立ち寄りました。with コロナ時代の都市空間のあり方についても色々と考えさせられましたので、簡単にレポートします。

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〇MIYASHITA PARKの概要

まずは基本情報から。

<MIYASHITA PARK>
住所:東京都渋谷区渋谷1丁目26-5
敷地面積:約10,740㎡
延床面積:約46,000㎡
用途:商業、ホテル(240室)、駐車場(合計約650台)
プロジェクトアーキテクト:株式会社日建設計
設計・施工:株式会社 竹中工務店

JR駅から北に数分、明治通り沿いに見えてくる全長300mの構造物で、元々は1階部分を立体駐車場として利用されていましたが、新宮下公園整備事業の一環で、都市の貴重なオアシスだった公園と、商業施設の導入によるコミュニティ形成等の相乗効果を図るためのリニューアルが行われました。
今年の7月28日に(入場制限付きで)オープンとなり、都心の新たな拠点として注目されています。

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〇たびたびリニューアルされた屋上庭園

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屋上では、もともと既存の人工地盤上にあった宮下公園を再整備しています。この公園は「立体都市公園制度」を活用され、建物の上にある公園を渋谷区が管理しています。1990年代ごろ、ホームレスの溜まり場になるなどの問題があり、2011年に一度再整備をしておりますが、今回のリニューアルでは緑化アーチや芝生広場など、緑化により力をいれていることがわかります。
私自身も数年前に訪れたことがありますが、その当時より親しみやすい空間になっていると感じました。

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建物(?)の中央・南側には広場への誘引性を高めるために、元々あったフットサルコート(現在はビーチバレーができる)やスターバックス、ボルタリング場などが設置されています。
ランドスケープも微地形を設けており、スタバの前で休みやすい設計となっていました。

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都心である渋谷エリアのど真ん中にも関わらずこれだけ開放的に感じるのは、まとまった面積を確保している、ということもありますが、人工地盤で周辺より高さが上がっていることも一つの要因です。
山手線・湘南新宿ライン等の線路も西側を通っており、電車の撮影スポットとしても非常に見ごたえがあります。(中からも見えるスポットあり)

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〇土木チックで「分岐」を意識したデザイン

商業施設については、大きく南・北のエリアに分かれており、分節化された屋内空間を、屋外・室内が混同した通路で回遊できます。
また、屋内も屋外と同じ仕上げで統一されておりナカとソトの境界を感じさせないデザインとなっています。(ゴミ箱も外装材と同じ素材を使用!)

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3~4階には通りに面して飲食店が並んでおり、屋外通路上でオープンカフェの形式で営業がされていました。通路も建物内なので、雨天時も使用できますし、道路占用許可等の必要がありません。屋上庭園だけでなく、アフターコロナにも対応できる空間計画が随所に見られます。
休憩スペースと混在して設置されているので、様々な目的の利用者が同じ空間を共有できるようになっており、個人的に非常に心地の良い空間でした!

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写真を見ていただくとわかるかと思いますが、MIYASHITA PARKは建物というより土木チックなデザインになっていることがわかります。
となると、動線計画が気になります。
私は設計者の「分岐」づくりへの意識が感じられました。
上がるのか下がるのか、どこから入るのか、入るのかでるのか、といったことについて、様々な角度、一から見える景色の楽しさがありました。
商業施設となるとどうしても収益性が最大となるような専有部分の計画がされがちですが、この建物では良い意味で「ムダ」な空間が設けられています。こうした空間のほうが、屋上の公園との親和性が高いのかもしれません。
収益モデルも回転率による売り上げというより、「長く滞在してもらう」ことによる収益化を狙っているのではないでしょうか。
低成長率時代においてはこうした商業施設のモデルが増えるとよいな~と思います。

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〇周辺・足元のつくりこみ

とはいえ、商業施設としてリニューアルしたわけなので、足元の賑わいづくりが重要ですが、1階の南側には歩行者用通路(歩専道?)に面して飲み屋街(渋谷横丁)が並んでおり、お買い物帰りの1杯が楽しめます(楽しみました)。
適度に人通りもあり、賑わいづくりとしては良いかと思います。

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最後に、課題を挙げるとするならば、この施設のネックは駅や周辺からの視認性がかなり悪いということです。
ただまあ、これは従前の宮下公園時代から同じなので今後は周辺の土地の取り込みなどを検討し、視点場をもっと増やしていただきたいと思います。(最近できたスクランブルスクエア等からは見えますが)
冒頭に掲載したイメージパースでは、「森」感が強いですが、こちらは植栽がまだ成熟していないので、また数年後、変化を見に行きたいと思います。
(下のプランターからアーチ状に蔦をはやすので結構時間はかかりそう)

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〇おわりに

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ということで、簡単ですがレポートでした。
公園を含めたパブリックスペースが非常にゆったりしているため、人との密集感もそれほど気にならないので、今のご時世には良い施設だと思います。(まだ、蔦の生育が不十分なので、公園はめちゃくちゃ暑いですが)
繁華街からも近いので、お時間があるかたはお買い物の休憩などで利用されるとよいかもしれません。

次回は博物館などのレポートがしたいと思いますが、またゆるやかに更新してまいります。

それではまた。

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