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#2 人を愛するということ

よく恋バナをしている最中に

「片思いの時が一番楽しいよね。」

と、嬉々とした表情で言ってくる人がいるが、僕はそれに微塵も共感しない。

なぜなら僕の片思いは、絶対に成功しない。僕は同性愛者であるから。


片思いというのは、恋愛が成就するかもしれないという希望が前提にあるから楽しく、そして甘酸っぱい体験ができるのだろう。

僕の片思いはそうはいかない。

どれだけ距離を縮めても、二人の関係は変わらない。

相手からしたら「仲がいい友人」でしか成りえないのだ。


僕は過去に3人に恋愛感情を抱いたことがある。もちろん同性だ。

その人のことで頭がいっぱいになり、夜も眠れない日もあった。

その人に会うために学校に行き、その人がいるから出来もしないスキー旅行にも行った。

その人と距離を近づけば近づくほど、僕の心の中には「好き」という感情が強くなっていく。そしてそれはやがて強欲なものへと変わっていく。

その人を自分のものにしたい。いっそのこと襲ってしまおうか。

そんなバカなことを本気で考えてしまうのだ。恋は盲目どころの話じゃない。そんなことを考えてしまう自分に嫌悪感しかわいてこない。


そしていずれその人達にも、パートナーができるのだ。

「”親友”には一番初めに報告しようと思ってさ!!」

そうか、僕は”親友”だったのか。

そうだよね、

目の前が真っ白になる。

親友で十分なはずなのに。最高の誉め言葉じゃないか。

それでも涙は止まらない。必死でLINEのフリック入力を打ち込む。

「よかったじゃん!!!お幸せにな!!

いいなぁ~、俺も彼女ほしいよ笑」

なんて健気で優しく、そして醜く薄汚いんだろう。

嫌だ、やめてくれ、その彼女との話はしないでくれ。俺にみせた笑顔より、いい顔をしないでくれ。

君の「好き」は全部好きだった。映画も音楽も色も味も服も。だけどその彼女だけは好きになれないんだ。


僕の「好き」を返してくれよ。


悲劇のヒロインみたいだ。いや僕は男だからヒーローか。

そんなことを気にしなくてもいいくらい、男とか女とか関係ない世の中になってほしい。

男は女を好きになる、女は男を好きになる。そんな決まり、誰が決めたんだろう。「人」が「人」を好きになる。これじゃダメなのだろうか。

男女でないと子供が作らないからダメなのだろうか?



同性愛者は、人を愛するということの残酷さをだれよりも知っていると思う。だからこそ、「好き」を大切にする。「恋愛」に慎重になる。

「恋愛」という沼の恐ろしさを知っているからこそ、本当に好きになってしまったらもうどうしようもないのだ。そこに足を付けたら、あとは沈んでいくだけ。


いつかディズニーのプリンセスがプリンスになる日が来ることを僕は願っている。


#エッセイ #恋愛 #同性愛 #LGBT

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