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松村北斗という役者

母が最近、朝ドラにハマっている。
毎朝いそいそとTVに向かい、朝7時半のBSから、8時の地上波、そしてお昼の再放送まで、1日何回観てるんだってくらい観まくっているのだ。

珍しいなぁと思い、何がそんなにいいの?と聞くと、「全部いいのよ〜、学ランも、目も、英語も、岡山弁も〜」って、ドラマの内容を知らない人間には全く意味不明な単語を並べ、何かを思い出したように頬をぽっと染めている。
その表情はまるで恋する乙女のようで、娘としてはちょっとした衝撃を受けた。
父を早くに亡くしてから母はずっと独り身で、リアルでも2次元でも誰かを追いかけるなんてこともなく、こんなキュンキュンした顔を見たのは初めてだったから。
例えるなら、街角でふらっとピンクのパンダに遭遇したくらいの衝撃、と言えばご理解いただきやすいだろうか。

ドラマの内容は1ミリも伝わって来ずとも、母を見ていて明確に解ったこと。
それは、今期の朝ドラには、学ランで岡山弁で英語も話す誰かがいて、その「誰かさん」は、恋愛から遥か3億光年くらい離れた存在の母でさえ瞬殺するほど、史上類を見ないくらいの魅惑ビームを持ってるってこと。

これは気にならざるを得ない!!
朝ドラ、観るしかない!!!!

ということで、日曜夜に観ましたよ、カムカムエヴリバディ全話。(NHKプラスさん、全話公開ありがとう!)
途中までのつもりだったのに、先の展開が気になりすぎてついつい全て観てしまい、月曜寝不足がすぎたけど。

でも、観れてよかった!!
この作品を知れてよかった!!
(お母さん、ありがとう!!) 

悩殺ビームかます「誰かさん」の話は、後でたっぷりするとして。
まずは作品全体のよさについて語らせてほしい。
この作品ほんとよかったから。
「誰かさん」を見るのが当初の目的だったけど、それはそれとて作品自体もすこぶる素晴らしく、もしまだ観てない人がいたら、ぜひちゃんと観てほしいなって思う。

何がそんなに?と聞かれたら、私はまず脚本を推したい。
朝ドラ界隈には詳しくないので大きなことは言えないが、この作品はこのままいけばきっと不朽の名作として、朝ドラの歴史にその名を刻むことになるのではと思っている。(あれ?結局大きなこと言ってる?)
それくらい、脚本がとてもとてもいい。

カムカムエヴリバディは、3世代100年間の物語だ。
つまり、100年を半年の尺に収めることになる。
それはとてつもない至難の業だ。
どうしても展開は速くならざるを得ないし、登場人物も膨大になる分、下手したら物語はかえって薄っぺらいものになってしまう。
カムカムも、話の進む速さをみると、実は相当激しかったりする。
だが、この作品の凄いところは、厳選された主軸のエピソードをテンポよく鮮やかに繰り出す一方で、昭和の暮らしぶりや四季の移ろい、時代描写なども、折に触れて丁寧に見せているところだ。
だから、速さの割には視聴者に置いてけぼり感を感じさせない。
緩急の付け方、スポットの当て方が極めて秀逸なのだ。

また、登場人物それぞれに対し、バックボーンを窺わせるぴったりな台詞がハメられていて、各々の言葉が違和感なく腹落ちできる。
作り込まれた美術セット等との相乗効果も相まって、序盤から物語世界のリアリティや空気感をしっかり醸成できていて、ほんと素晴らしかった。(誰目線)

そして、演出もすごくかっこいいのだ。
特に、第8話で主題歌を後ろに回したところなんて、鳥肌が立った。
ここで歌か!朝ドラでこんな構成アリなんか!って日本中が思ったのではないだろうか。

しかも、このシーン、主題歌の入り方がめちゃ絶妙で、あの歌がこのタイミングで入ってくると、視聴者はもはや必然として主人公にシンクロして泣かずにはいられない。鳥肌はざわざわ増していく。
その余韻の中での、歌あけの残り1分!さらなる衝撃の展開!!
ざわざわざわざわざわざわ…(カイジか)

いやぁ、もう、観てない人はとにかく観てみていただきたい。
第8話はほんとに、神回と呼ぶに相応しい、全ての要素がぴたりと符号して美しく完成した1本の短編映画を観たかのような、カタルシスさえ感じさせる仕上がりだった。
ここ最近で一番の鳥肌量だったかも。

もちろん、他の回も同様に珠玉の演出が多々ある。
加えて、カメラワークや陰影・色彩の魔術等も重層的に絡み合い、作品を高みに押し上げている。
脚本家さん、演出家さんはじめ、現場の制作、技術、美術それぞれのスタッフ方もみな、きっと最高の熱量とパフォーマンスでこの作品に取り組んでいるであろうことが、画の端々から感じられるのだ。
素敵だなぁ。私もこんな熱量あふれる職場で仕事したいよ。(いや、私の職場もいい職場だけども。)

そんなわけで、私はこの作品がいろんな面でとても好きになったわけだが。
さぁ、ここで。ついに。
本作品の一番好きな面、つまりこのブログの本題である、悩殺ビームだだ漏れの「誰かさん」について語ろうじゃないか。(遅)

・・・と思ったが、なんか気づけばもう夜中すぎ。
ここから本題で、書きたいことは山ほどあるけど。
このままだとまたしても寝不足になりそうだし。
私も、カムカムスタッフに負けないよう、自分の仕事は最高のパフォーマンスで常に頑張りたいので。

ここはひとつ、本題は次回へということで!

つづく!!


(タイトル詐欺をかましたみたいで、なんだかすみません。)

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