松村北斗という役者(その2)
(前回のつづきです)
さて、今回こそ本題!
松村北斗という稀有な役者について語ろう!
といっても、実は私、先週まで彼の顔も名前も所属もほとんど認識していなかった。(ファンの皆様、ごめんなさい。)
ジャニーズって、数が多すぎるからなぁ。覚えられないんだよなぁ。(ジャニーズ界隈の皆様、ごめんなさい。)
でも、逆に、知らなかったおかげで、今回、まっさらの状態で、アイドルとしてではなく、役者としての松村北斗に出逢えたわけで。
これは何よりの僥倖だと言える。
私は松村北斗の芝居のみで、いい役者さんだなと純粋に思えたから。
先にアイドルの松村北斗を知っていたら、あるいはもともと応援していたら、きっと違う視点から異なる感想を持っていただろう。
一般的に、アイドルが硬派のドラマや映画に出ると、どうしても色眼鏡で見られてしまいがちだ。
そして、いい芝居をしても、「アイドルなのに演技上手いね」なんて言葉で片付けられてしまうことが多いように思う。
この言葉は一見褒めているようで、実は毒を含んでいる。
「アイドルなのに」の言葉の奥底には、アイドル界に対して長い時をかけて溜まった澱のような諦観の念を感じるし、さらに聞きようによっては、役者として飛躍しようとする1人の人間をアイドルの枠に押し込める呪いの言葉のようにさえ感じられてしまう。(怖)
では、何故アイドルの芝居は色眼鏡で見られてしまうのか。
これ、私、ちょっとだけ思いあたる節があって。
たぶん観る側の過去の経験によるところが大きいのではないかと思うのだ。
例えば、私はNHKの時代劇を観るのが好きだ。
技術・美術スタッフ方の、芸術の域に達した匠の技を観るのがたまらない。
照明部などまさに匠の極みで、見えない風の動きを感じさせる光影の揺らぎ、闇い夜に射す一条の月明かり、白霧を淡く浮かび上がらせる幻想的な夜明け等、ほんと凄すぎる。
画面のほんの一部、ほんの一瞬であっても、匠たちは決して手を抜かず、こだわりの仕事ぶりは端々にまで行き渡り、一分の隙も妥協もない。
その粋な心意気は、画面を通り越してちゃんと観る者の心まで届く。
そうして視聴者は、画に魅せられ、酔いしれ、おのずとその中へ入り込んでいくのだ。
なのに、匠たちが時間をかけて仕込んでくれたその最高のお膳立てを、演者が一瞬でぶち壊してしまうことが、たまにではあるが、なくはない。
時代劇では、演者が「今」や「自分」を持ち込んでしまうと、物語世界はあっけなく崩壊してしまう。
姿勢、目線、所作、言葉の発し方、その抑揚。ほんの些細な違和感から、視聴者は一瞬で現実へ引き戻されてしまうのだ。
そして、「ぅおぃ、勘弁してよー、台無しだよー、誰だよこの人ー」と失望感のままに調べてみたら実はアイドルだったということが、間々あるような気が、しないことも、ない。(アイドルの皆様、ごめんなさい。)
そんながっかり経験を何度か重ねてしまうと、アイドルがキャスティングされる度、あぁもしかしてまた... と構えてしてしまうようになる。
アイドルへの期待値が、だだ下がりになってしまうのだ。
もちろん、アイドルを一括りにして先入観を持つことは、本当は無意味でしかないし、個々のアイドルは何も悪くない。
アイドルというだけでフィルターをかけられ、正当に評価されないなんて、気の毒な話だ。
ただ、アイドルにはアイドル特有の不利な点があることも否めないだろう。
例えば、アイドルは知名度や人気がもともと高いことが多い。すると、オーディションで役を勝ち取らなくとも、重要な役どころが回ってきたりすることがある。
そうなると、アイドル本人はまだ若く、演技経験も人生経験も十分とはいえない身でありながら、難しい役と相対してその人間を理解し咀嚼し自分の中に入れて演じるという、きわめて高難度の作業が求められてしまう。
そしてもしも少しでも失敗したら、やっぱりアイドルは… と言われてしまうのだ。気の毒すぎないか。
また、アイドル業との併行も、芝居を極める上では不利に働く要素だろう。
俳優であれば、役作りに集中したければ他の仕事を断ればいい。
でもアイドルは、びっしり仕事のスケジュールが組まれているであろうし、個人活動はまだしも、所属グループの仕事においては、まず間違いなく融通は利かないはずだ。
多忙すぎて心身とも疲弊している中、ゆっくり心を落ち着けて役に向き合う時間も所作の訓練等に当てる時間も十分取れず、結果として、満足な演技や動きができず、本人も悔しい思いをした… なんてこともあるのかもしれない。
想像するとほんと気の毒がすぎる。
さらに、世間の注目度の問題もある。
役者の卵であれば、知名度もまださほどなく、役も端役から始まるであろうから、画面の端の方でちょっと失敗したとしても、そんなに目立つことはない。
そして、身軽な立場のうちに多くの作品に出ることで、名が売れる頃には経験も実力も伴った立派な役者へと成長できている。
だが、アイドルは、作品1本目から大きな役で大きな注目を浴びることが多いだろう。
少しのミスも許されない、ある意味、崖っぷちからの緊張のスタートなのだ。
そう考えると、アイドルってほんと凄いなぁ。
ハードルが高いことは本人たちも重々承知してるだろうに、果敢に芝居に挑戦するその熱い気持ちが、凄くかっこいい。
そういえば私、アイドルに感嘆するところがもう一つある。
それは、セルフプロデュース力。
アイドルって、本質は歌と踊りなんだろうが、じゃあ歌唱力とダンススキルを極めれば天下が取れるかというと、そんな単純なわけもなくて。
天下に手をかける権利を得るためには、まず絶対的な推しとして、高みに君臨し続ける必要がある。
そのためには、容姿、声、笑顔、目力などの外見から、色気、可愛さ、華やかさ、憂いといった、その身に纏うオーラに至るまで、己に必要な要素を常に考え計算ずくで出し入れしながら、完璧なセルフプロデュースを行わなければならないはず。
もちろん周りのスタッフたちの助力もあってのことだろうけど、一流のアイドルは皆、セルフプロデュースに非常に長けているイメージがある。
尊敬しかない。
SixTONESもきっと、魅せ方上手いんだろうな。(まだ知らないけど)
松村北斗も、アイドルとしてステージに立ったら、全力でアイドルするんだろうな。あの役作りと芝居をなし得た頭脳と実践力でもって。
って!!うわ!!
松村北斗と書いて、いま、気づいたけども!!!!
私もう2000字も書いてるのに、また本題に入ってないやん!!!!!!!
うわー…
でももう3時だよ… 明日(今日?)も会社だよ…
もうさすがに寝なきゃ…
あの、申し上げにくいのですが、もう1回だけ、ほんとにもう1回だけ、タイトル詐欺して次回へ引き延ばしてもいいですか?
ほんと、すみませんが、
つづく!!
※でも、明日って、もしかして、稔さんの安否に新たな展開あったりしないだろうか…
金曜の朝ドラは不幸が多いと母が言っていたしなぁ…
辛い話は辛いなぁ…(そりゃそうだ)
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