鏡の中のもう一つの世界〜空気神社（山形県朝日町）2019年撮影
ご神体は空気！ブナの林の中に鎮座する空気神社
今回ご紹介するのは、山形県朝日町に鎮座する空気神社です。前回の更新後、「次回は空気神社を紹介するぞー！」と鼻息を荒くしていたのですが、勢い虚しく、時が経ってしまいました。
そんなことはともかく！
空気神社って、どんな神社なの？ 何を祀っているの？
空気神社は平成2年7月、空気の恩恵に感謝し、敬愛の心を育むために建立された「空気」をご神体とする神社です。
山形県の山間に広がる朝日町のブナ林の中、坂道の参道をのぼっていくと、そこには約5メートル四方の巨大なステンレス板が…！
それを鏡に見立て、四季折々の風景を鏡に映し込むことによって、空気を再現しているのだとか。
空気神社には、わたしたちが住む美しい地球を守り、次世代へと引き継いでほしいとの願いが込められているそう。
本殿は、（たぶん）ステンレス板の下、地中3メートルにあり、四季を表す4本の支柱からなる鳥居に囲まれた地下空間が広がっているとのこと。1年を表す12個の素焼きの瓶に、空気を祀っているそう。
公式サイトによると、朝日町では、世界環境デーの6月5日を「朝日町空気の日」に制定し、その日と最寄りの土・日に「空気まつり」を開催。地下にある神社本殿の御開帳が行われるのだとか！ それは激しく見てみたい！
なお、空気神社は2023年11月22日に雪囲いを終え、参道は通行できますが、雪解けまでステンレスの鏡面は見られないとのことです。
公式サイトはコチラ↓
コチラもオススメ！山形県の公式観光・旅行情報サイト↓
美しくて、不思議な写真が多数掲載されています！
鏡の中に広がるもう一つの世界
空気神社。はじめて、その名前を知ったのは、今から3年前、4年前でしょうか。仕事で山形県を訪れた際、取材先の方が教えてくれたのでした。
「朝日町の観光スポットといえば、空気神社ですよ」
そう聞いて、正直「空気神社（なんだかあやしい…）」と思いましたが、とにかく一度見てみようと思い、観光パンフも公式サイトもチェックせず、カーナビを空気神社に合わせて、山の中へ。
駐車場に車を停め、緩やかな勾配が続く参道を登ると、こんな風景が待っていました。
丘の上には、社殿はなく、「住宅の基礎工事完了！」的な建築物がありました。
近寄ってみると、地面に青空とブナ林が……？
そう、そこには、ステンレス板の巨大な鏡が映し出す不思議な世界が広がっていたのでした。
鏡だけを撮影。こうやって見ると、水鏡のようななんとも不思議なリフレクション。
こちらは縦バージョン
すっくと立ったブナが美しい
落葉し、枝だけになったブナたちの美しさ
この神社のもう一つの魅力は、周囲のブナ林です。
以前投稿した郡山市の磐梯熱海温泉の「ケヤキの森」の紹介記事にも書きましたが、わたしは落葉し、枝や幹が剥き出しになった樹木の姿が好きです。
早緑の萌芽のころ、青々とした新緑のころ、紅葉、落葉と、どの季節の樹木も好きですが、花や実はもちろん、栄養を吸収する葉さえ失った樹木には、無駄なものを削ぎ落としたその個体特有の美しさがあるといいますか、生命力を感じるのでした。
そして、落葉したブナが青空に美しい亀裂を入れる冬ならではの光景を見て、ふと思ったのでした。
……私は、自分のすべてを削ぎ落とし、土に還るころ、こんなふうに美しくいられるのだろうか？
わかりません。だけど、そうなれたらいいなあ……と思ったのでした。
磐梯熱海の「ケヤキの森」に関する記事↓
ここからは写真でご紹介♪
鏡の中のブナ林に日差しが差します。
もしかしたら、“あちら”のほうが、本当の世界なのかも？
傘と時計を持ち、鼻眼鏡をしたウサギが現れたりして…？
冬空を切り裂く美しい亀裂
一つのサイクルの終わり。葉は土に還り、日差しは日々弱くなり、空気は冷たくなり、鏡の上に雪が降り積り……やがて春がくる。
参道を覆う落葉
木立越しの午後の日差し。背後に見える山の稜線も美しい、初冬の光景。
先ほど、「栄養を吸収する葉さえ失った樹木には、無駄なものを削ぎ落としたその個体特有の美しさがあるといいますか、生命力を感じる」などと書きましたが、やはり生命力にあふれた新緑の空気神社にも参拝したくなり、翌2020年初夏、再度参拝（でいいのだろうか？）することに…。こちらも後日レポートをアップいたします。
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