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磐梯熱海さんぽ②天空のケヤキに出会って

秋のひとり歩きは危険かも…熊にご注意!

「ケヤキの森」は、磐梯熱海の温泉街を流れる五百川の裏山にあたる蓬山(よもぎやま)にある大ケヤキの群生地。
まだ訪れたことはありませんが、なんでも樹齢300年といわれる直径80センチ以上の巨木が約30本群生しており、(新緑のシーズンは)マイナスイオン出まくりで森林浴にぴったりな場所らしいのです。

蓬山の裾野には遊歩道があり、そこから「ケヤキの森」へ至る散策路や展望台も整備されています。散策路の全長は400mと、ちょっとしたウォーキングにぴったりな場所なのでした。
……熊さえ出なければですが。

磐梯熱海駅の観光案内所の職員さんには、「ご迷惑をおかけしては申し訳ないので、手前の蓬山遊歩道を歩いてきます」と伝えたわたしですが、途中でムクムクと好奇心といいますか、無謀な冒険心がわきあがり、「ほんの少しだけ」と言い訳しながら禁断のケヤキの森散策路へと、足を踏み入れてしまったのでした。

「おまえが言うな!」を承知で書きますと、今回は熊と遭遇せず、無事に戻りましたが、熊が空腹の時期のひとり歩きは自粛したほうがよさそうです! 

磐梯熱海さんぽ①五百川と蓬山遊歩道の記事はコチラ↓

●靴について 
〈蓬山遊歩道〉
歩きやすいよう整備が行き届いているので、四阿(あずまや)に上がらないのならフラットなシューズでもOKかと。サンダルでも行けなくはないけど、歩きづらそう。あと、多分ですが、雨の翌日に落ち葉の上を歩くと、滑りそうな気がします。

四阿まで行きたい方は、段数こそ多くはありませんが、そこそこ急な階段を登らなくてはならないので、スニーカーがおすすめ。
時期にもよると思いますが、残念ながら今回は「絶景が広がっている」という感じではありませんでした。

〈ケヤキの森散策路〉
今回は「天空のケヤキ」周辺までしか歩いていませんが、こちらも散策路が整備され、歩きやすかったです。フラットシューズなら大丈夫だと思いますが、やっぱりスニーカーがおすすめです。

※靴はあくまでわたしの感覚ですので、気になる方は観光案内所などにご確認ください。

それから、ケヤキの森には熊だけでなく、これも出るらしい↓ ほかの長いものも出るようです。それからミツバチも生息しています。案内板にあるよう「散策路以外は歩かない」のはもちろん、露出も避けたほうがよさそうです。

怖っ

●アクセスと駐車場
〈アクセス〉
JR磐梯熱海駅から徒歩20分
磐越自動車道磐梯熱海ICから車で10分
磐梯熱海温泉の旅館は、大きく分けて「磐梯熱海駅周辺」と「旧49号沿い」「さらにその奥」に点在しています。ケヤキの森は、「さらにその奥」のほうです。

※鉄道利用の方で、手荷物を預けたい方へ
磐梯熱海駅にはコインロッカーがありません。観光案内所で手荷物を預かってもらえます(有料200円)。熊鈴の貸し出しもしていました。

〈駐車場〉
温泉街にある「ケヤキの森足湯」や磐梯熱海町の多目的交流施設「ほっとあたみ」、温泉事業所の駐車場が利用できるようです。

宮崎駿アニメのような世界が広がる、異形のケヤキの群生地

今回はケヤキの森の魅力を語れるほど満喫はしていませんが、それでも素晴らしい眺めが広がっていました。

蓬山遊歩道から「ケヤキの森」へ至る階段
ケヤキの森散策路

「ケヤキの森」のケヤキは、通常のケヤキとは異なる樹形をしています。

通常のケヤキは、枝を扇型に広げながら成長しますが、「ケヤキの森」のケヤキは、2メートルほどの高さで幹が大きく分かれており、その付け根あたりにコブ状の盛り上がりが見られます。

大きなコブ状の盛り上がり

通常のケヤキの画像はコチラ↓

これは昔、村人が炭の材料とするため、高い位置で幹を伐り、そこから芽生えて成長した幹をまた伐って……を繰り返すうち、伐り口がコブ状に盛り上がってできたと考えられるそうです。

ブナでは、雪の重みなどで枝が折れたり、人が薪や炭の材料にするために伐ったりするなどして、枝の痕がコブ状に盛り上がることを「アガリコ」と呼ぶそう。
アガリコのあるブナ林は全国各地で見られるそうですが、ケヤキでは珍しいのだとか。特に群生したアガリコの巨木は全国的にみても、極めて稀で貴重なのだそうです。

今回は落葉シーズンの森を散策したので(ちょこっとだけですが(;^_^)、葉を削ぎ落とした剥き出しの樹形を見ることができました。そのぶん、アガリコが印象的に映りました。
この独特な樹形が醸し出す雰囲気が魅力。異空間といいますか、コブがあることで樹木の生命を感じるといいますか、宮崎駿監督作品の中に迷い込んだような不思議な感覚を感じました。

なんだか人の姿にも見えてきます

人の手がつくりだした異形の樹形“アガリコ“

磐梯熱海のケヤキは、昔の人が炭の材料にするために伐っていたとのこと。だからアガリコは完全に人の手によるもの。

そうした背景を知ると、木が体をくねらせ、苦しみから逃れようと悶えているようにも見えてきて、複雑な気持ちになったりするのは、わたしの勝手な解釈であり、ケヤキからしたら「勝手に想像すんな」かもしれませんが。

昔の人は森との共生を知っていたような気がするので、恵みに感謝して、なにかしら山に還していたような気もします(あくまで気がするだけ(;^_^)

少々余談。

わたしは若葉のころ、新緑、紅葉と、どの時期の森林も好きですが、落葉し、枝や幹が剥き出しになった樹木の姿にも心惹かれます。
その樹木の本来の姿が見られるといいますか、葉(や花、実も)という装飾がなくなり、本来の美しさ、生命力が剥き出しになった姿がそこにあるといいますか。しかし、それを写真におさめるのは、本当に難しい。文章で伝えるのも、難しい…。

冬空を背景に裸の枝を伸ばす木々

ところで、この記事を書くにあたって、「アガリコ」について調べていたところ、「アガリコ大王」なるブナの存在を発見!

秋田県の鳥海山の麓にある「アガリコの森」と呼ばれるアガリコを持つブナの群生地に生息するブナの巨木とのこと。
こちらも、雪の重みなどで枝が折れたり、人が薪や炭の材料にするために伐ったりして、アガリコができあがったようです。

いつかこちらの大王にもお会いしたいものです。また、行きたいところが増えてしまった(;^_^)


御神木の「天空のケヤキ」に出会って

それでは、ここからは「ケヤキの森」の御神木とされる「天空のケヤキ」を中心に、写真でご紹介……といっても、本当に数10メートルしか歩いていないので、ほんのさわり程度の内容ですが…。

散策路に整備された階段を数10メートル上がると、「ケヤキの森」の御神木とされ、「天空のケヤキ」と名付けられた巨木が待っています。
樹齢はどのくらいなのでしょうか、太い幹から隆起する大小のアガリコからは、人間とともに生きてきた年月の長さがうかがえます。

今回は残念ながらすっかり落葉していました。新緑の時期に訪れて、木の息吹を感じてみたいです。

途中で幹が大きく分かれ、大きなアガリコが隆起しています。

荒々しい樹皮を覆うツタたち。これも共生。

通常のケヤキにくらべると、やはり独特の形、独特の幹。葉が生い茂る新緑の季節の雰囲気が気になります。

ニホンミツバチも生息するようです。

ミツバチの巣があるらしいケヤキの木。
観光案内所の方に「蓬山遊歩道だけ歩いてきます〜」と伝えた手前もあり、ここで引き返しました。
この先には、どんな光景が広がっているのでしょうか。来年の新緑シーズン、紅葉シーズンが楽しみです。

今回は紅葉のさかりは過ぎていて、「ケヤキの森の紅葉満喫!」とならなかったのが残念! だけど、幹と枝だけになった「ケヤキの森」を少しだけ体験でき、アガリコの存在も知り、収穫の多いウォーキングとなりました。

だけど、熊やマムシの出没を考えると、やはりひとり歩きはやめておいたほうがよさそう。新緑シーズンにイベントがおこなわれるようなので、そこに合わせて再訪する予定です。

「磐梯熱海さんぽ③源泉神社のご神使さん」に続きます

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