五百淵にカッコウが戻ってきた…五百淵公園と郡山市野鳥の森(福島県郡山市)
日本野鳥の会郡山支部の探鳥会で五百淵公園へ
6月17日(土)の高篠山森林公園に続き、18日(日)は郡山市の「郡山市野鳥の森」での探鳥会に参加しました。
今回の案内人さんも「日本野鳥の会郡山支部」の皆さんです。
隣接する南川渓谷の紹介記事です↓読んでいただけるとうれしいです。
前日の高篠山森林公園の探鳥会レポートはコチラ↓
この日↑の写真の出来を見て、「今回は重くても絶対ミラーレスを持っていく!」と固く決意し、望遠レンズを装着。
私の望遠では、野鳥は狙えっこないのですが、とにかくスマホではお花や実がきれいに撮れてなくてショックでした(私のテクニックがないだけですm(_ _)m)
さて、今回は五百淵公園に集合して、案内人さんの先導で隣接する「野鳥の森」を散策。野鳥はもちろん、里山の再生や外来種であるハリエンジュ(ニセアカシア)の駆除など生態系についても学ぶことができました。
五百淵公園と野鳥の森学習館の公式サイト様↓
この2日間で、野鳥を知ることは、森の生態系全体を知ることにつながっていくんだなあと実感しました。
いろいろ事情があって、今は難しいけれども、いつか私も保全活動に参加したい。そして、ハリエンジュを伐り倒す!……というのは無理でも里山の再生や環境保全に役立ちたいと、思いを新たにしました。
わたしは「環境破壊反対!」と声をあげるタイプではありませんが、なにかしらの活動に参加し、同じ思いを抱く人たちと一緒に生態系を守っていきたい。前回も書きましたが、それが少々疲れていたわたしを癒してくれた水辺と緑、光の恵みへの感謝のような気がしています。
といいますか、そう思っているわたし自身も生態系を構成する一つのピースなんですよね。
バンやオオヨシキリ、カイツブリ…この時期五百淵で見られる野鳥たち
まずは「日本野鳥の会郡山支部」の方(以下案内人さんとお呼びします)がこの時期に見られる(声が聴かれる)野鳥を教えてくださいました。
五百淵の葦原は、バンやオオヨシキリの棲み家になっているそう。
「今、バンがいますよ」と日本野鳥の会 郡山支部の方が、双眼鏡でヒナを見せてくださいました。
クチバシが赤くてかわいらしい! 開成山公園には、オオバンも棲んでいるそう。こちらはクチバシが白いのが特徴だとか。
オオヨシキリの鳴き声は「ギョギョシギョギョシ」(結構うるさいです)
ササゴイという野鳥も生息しているそうですが、夜に活動することが多く、昼間は会えないかもしれないとのことでした。
1年中見られるのは、ご存じカルガモ。だけど、残念ながらお昼寝の可能性が高いとか。
そして、カイツブリ。
なんと、水上を走るカイツブリ、見られました!
ジェットスキーのような速さでスーッと海上を移動する姿。感動! だけど、撮影はかなり難しそう……テクが必要そう。
それからカワセミ。
案内人さんによれば、カワセミの鳴き声は「ギギッ!と自転車のブレーキ音のような声」だそう。確かにカワセミの鳴き声って、イメージとはちょっと違っていました(もう少しかわいらしい声だと思ってた)。
それから、ヒヨドリ、シジュウカラ、コゲラ、カラス。
この時期に飛ぶツバメ。5月には福島県の鳥であるキビタキの鳴き声も聞こえたそうです。
子育て中のカラスは“近づくなキケン!“
野鳥ではありませんが、カメにも会いました。このカメはミドリガメという外来種。6月に特定外来生物に指定され、自治体が防除できるようになったとのこと。
案内人さんによると「10年前は在来種のイシガメもいた」そうですが、どんどん減少し、現在はミドリガメとアメリカザリガニが自然繁殖で増加しているそう。
外来種って、やっぱり悪いんだろうか? 在来種に影響するから? 生態系を壊すから?
自然を守りたいけど、自然が変化していくのは当たり前……私はそう考えているので、「外来種って、そんなに悪いものなのかなあ?」と思うこともあります。しかし、今回ハリエンジュの話をうかがって、考えを少し改めたのでした。
その話は後から書くとして……五百淵の周遊コースには、ハシブトガラスのヒナの姿が……!
「あれはヒナです。近くに親ガラスがいて、攻撃してくるかもしれないので、そっと移動しましょう」
案内人さんの指示で、親ガラスを刺激しないよう静かに移動。
ヒナは歩き方や鳴き方が幼くて、羽根もふわふわしていて、かわいらしい。だけど、親ガラスはかなり危険らしい。案内人さんによると、「クチバシで攻撃してきます!」とのこと。
身近にいるカラスがそんなに危険な鳥だったなんて。そういえば、随分前に実家で飼っていた犬がカラスに頭を突かれて怪我をしたことがあったっけ。カラス、怖い…。
要注意外来生物!恐るべきハリエンジュの生命力!
五百淵公園の周遊コースを歩いて、水鳥やカラスを観察した後は、いよいよ「野鳥の森」の中へ。途中、以前わたしが歩いた南川渓谷にも入り、再度野鳥の姿を求めて「野鳥の森」へ。
以前南川渓谷を歩いたとき、なんとなく「『野鳥の森』って、やっぱり鬱蒼としてるんだろうなあ」と想像していたのですが、実際はそうでもありませんでした。木々が伐採され、広々とした空間が広がり、足元には木のチップが敷かれ、とても歩きやすい道でした。樹木がないため、頭上から日の光がさんさんと降り注ぎます。
案内人さんによると、ハリエンジュ(ニセアカシア)が大きくなり過ぎて、日当たりが悪くなってきたので、「里山再生計画」の一環として伐採したとのこと。それで、樹木で鬱蒼としていた森に日差しが差し込み、明るくなったのだそうです。
「伐採した木のほとんどがハリエンジュでした」と案内人さん。
根っこもとても強くって、地面にしっかりしがみついています。しかも、切り株から新しい芽が続々と出てくるのだとか。ハリエンジュにはトゲがあり、秋になると硬くなり、これがまた大変なのだそう。
一部の切り株は腐らせるため、分解者としてカワラタケなるキノコを作ってもらい、植菌したそうですが、ハリエンジュの幹はとても硬いのだそう。
「おがこをまぶしたので、(中に)入っていくとは思いますが…ニセアカシア(ハリエンジュの別名)の駆除は本当に難しいです」と案内人さんが顔を曇らせます。
と、ここで疑問。
わたしたちが初夏によく見かける、白くて甘い香りのするお花はアカシアなの? ニセアカシアなの?
…調べてみたら、初夏に咲く白い花は「ニセアカシア(ハリエンジュ)」でした! アカシアは3月頃に黄色い花を咲かせるのだそう。共通点はどちらも「甘い香り」がすることのようです。
上記サイトの説明にもありましたが、条件のよくない土地でも自生できて、成長スピードが早いようです。ハリエンジュもパイオニア植物なのでしょうか?
なんと、要注意外来生物に指定されていた!
なんか、ショックです。5月の詩でアカシアについて書いてたのに。でも、一つお勉強になりました。
市内でカッコウの声が聴こえるようになった理由
案内人さんによると、最近「野鳥の森」にカッコウが戻ってきたそうです。
実はカッコウは郡山市の鳥。10年ほど前は、住宅地の赤木町でも普通に鳴いていたそうですが、ここ数年はあまり聴かれなくなっていたとのこと。
「今年はカッコウの声が聞こえるでしょう」と案内人さん。そういえば、その日も朝からカッコウの声を聴いたような…?
案内人さんがその理由を教えてくれました。
「数年前思い切って、五百淵の葦原を伐採しました。再生を願ってのことです。最初は不安でしたが、見事に葦が成長し、オオヨシキリが巣をつくるようになりました」
オオヨシキリは、モズと並ぶカッコウの托卵先。オオヨシキリが五百淵の葦原に巣をつくり、そこにカッコウが托卵するようになったことで、カッコウが繁殖するようになり、鳴き声が頻繁に聞かれるようになったのだそう(オオヨシキリにとっては迷惑な話かもしれません)。
そして、案内人さんはこう続けました。
「葦原は次の世代には再生するかもしれないですね。私たちの世代では、難しくても」
それを聞いて、前日高篠山森林公園で、パイオニア植物やオニグルミのお話をうかがったときもそうでしたが、なぜか胸がいっぱいになりました。胸が苦しいというか、納得したというか……わたしもそのリレーションの中に入りたい、いや、リレーションのお手伝いをしたいと言いますか。
先日、山奥から流れ出る水の循環について「詩のようなもの」を書いたときも感じましたが、わたしも自然を構成する要素の一つとして、自然を守っていきたいというか、大きなサークルの中で生きていることを感じたいといいますか。
今、知り合いに「草刈機の使い方を教えてください!」と話しています。まずは森林の下草刈りからかな。情報を得ることも大事だけど、作業を通して、「自分が自然を構成する要素の一つ」だと実感したい。その上で、文章を書いていきたい。
……と個人的な思いになってしまいました。
「野鳥の森」にヒヨドリとアオキが多い理由とは?
前述した「カッコウとオオヨシキリと葦原の関係」同様、ヒヨドリとアオキの関係にも、不思議な感動を覚えました。
案内人さんによると、「野鳥の森」はヒヨドリが多いそう。それには、ちゃんと理由があって、「ヒヨドリの餌となるアオキが豊富だから」なのだとか。
アオキは日陰でも問題なく成長するため(耐陰性が高い)、南川渓谷のように直射日光が当たらない場所でも生育し、赤い実をつけるのだそうです。
そのアオキの実はヒヨドリの大好物。たくさん食べて、たくさん糞をして、アオキを繁殖させ、そこで成長したアオキがヒヨドリの餌となり……という感じで、まさに「持ちつ持たれつ」の関係。
下がそのアオキの写真です。そういえば、前回南川渓谷を歩いたとき、このツヤツヤの葉をよく見かけたような気がします。
ちなみにヒヨドリには、渡る性質があるらしい。あとから調べたところによると、9月下旬から10月にかけて西や南に渡る群れが全国的に見られるそうです。
案内人さんによると、秋には渡りのヒヨドリが北海道から飛んでくるとのこと。ただし、「野鳥の森」にいついているヒヨドリもいるのではないかとのことでした。
これまでの渡り鳥のイメージといえば、白鳥とか? アジサシとか? ヒヨドリに渡る性質があるとは思わず。植物もそうですが、野鳥の生態も奥が深い…。
「野鳥の森」の散策路の片隅に、ひっそりと祀られていた水神様。川(だけでなく自然)は、わたしたちに恵みをもたらす一方、災害ももたらします。
その恵みに感謝するとともに、大いなる力を鎮めるため、太古の昔から、わたしたちは神に祈りを捧げてきました。
この水神様は、近くの小原田の人たちが祀ったのでしょうか。案内人さんによると、花見の時期にはだんごが供えられているそうです。
“飛ぶ宝石“カワセミは、意外と身近にいる!?
探鳥の途中、案内人さんから「カワセミが現れるスポット」を教えていただきました。この写真の小川にかかる倒木の上に、カワセミがいることがあるそう。だけど「近づいたら逃げてしまう」とのこと。
なんとなく、カワセミには「滅多に出会えない」というイメージを勝手に抱いていましたが、案内人さんによると、郡山市内の池には、結構いるらしい。ただ森の中で繁殖しているため、なかなか出てはこないそうです。
そういえば、この前、南川渓谷を散策していたときに出会った方も「今日は2回、カワセミに会いましたよ」とおっしゃっていたし、気長に、そして、驚かせないように観察すれば、意外と出会える鳥なのかもしれません。
案内人さんと野鳥に詳しそうな皆さんは「昔はサンコウチョウもいたんですよね」「今も渡りのルートになってるかも?」と盛り上がっていましたが、わたしは「サンコウチョウって何?」状態です。
そんなワケで検索。青が印象的。きれいな鳥です。
この世には、まだまだわたしが知らない鳥や花や昆虫や、知らない事象がたくさんあるんだなあ。
わたしの願いは、魂が肉体を離れるときに「見るべきほどのことは見つ」(by平知盛)と言って、あちらへ帰ることなのですが、果たして見たいものをすべて見ることができるでしょうか。
森の巣箱にいる者たち
「野鳥の森」のあちこちに巣箱が設置されていました。
ずっとみていると営巣放棄してしまうので、注意が必要だそうです。
案内人さんたちが作った巣箱でよく繁殖しているのが、シジュウカラ。案内人さんいわく「お父さん(オス)がよく働く」そう。「野鳥の森」には、シジュウカラが好きな葉っぱが多いのだとか。
5月中旬は子育てまっさいちゅう。巣を発見したら、木立などに隠れて10分くらい静かに見守ると、あらわれるそうです。
野鳥に注目するようになってから、初春のイメージのあるウグイス(たぶん歌のせい)が意外にも長い期間鳴くことを知りました。
それから、わたしたちがウグイスの鳴き声と認識している「ホーホケキョ」は、オスが繁殖期に出す、いわゆる「さえずり」と呼ばれるものであることも。それ以外の日常的な鳴き声を「地鳴き」といい、ウグイスのメスの場合は「ジッジッジッ」と鳴くのだそう。
案内人さんによると、地域によって野鳥の鳴き声が違うという説もあるとか。「方言があるという人もいますよ」とおっしゃっていました。
ここからは「野鳥の森」に設置された巣箱の写真をご紹介。
途中で、参加された方のお一人がコゲラの巣を発見!
かなり細い幹ですが、「コゲラには充分かも?」と案内人さん。ちなみに生木は硬いため、枯れた木のほうが穴を開けやすいのだそうです。
コゲラは日本で一番小さいキツツキで、「ギィーギィー」と鳴くらしい。
「野鳥の森」には、5年前までオオタカも生息していたそうですが、「カラスにやられて移動しちゃいました」と案内人さん。
「野鳥の森」すごい。国道沿いなのに、街中なのに、とてもそうは思えないほど自然豊か。それにしても、オオタカを追い出しちゃうカラスって……やっぱり史上最強の鳥類かも。
野鳥だけでなく、昆虫や植物についてのお話もありました。
五百淵や「野鳥の森」にも、そこに自生する植物を餌とするさまざまな昆虫が生息しているそうです。
サンショウの葉を餌とするアゲハチョウの仲間は、五百淵にも多いとのこと。
前日わたしが高篠山森林公園で出会った“旅するチョウ“アサギマダラも来たことがあるらしい(アサギマダラはマダラチョウ科です)
そのほか、オニヤンマなどトンボ類も多いそう。これは水辺があるから?
ツユクサやユキノシタなど野草も咲いていました。ツユクサはきれいに撮れなかったため、アップを断念!
最後は野鳥の会でおこなっている「鳥合わせ」をして解散しました。
「鳥合わせ」は、参加者が探鳥会で見た鳥の名前を上げていくもの。案内人さんによると「日記みたいなもの。後からページをめくって『ああ、昨年はこのくらいの時期にあの鳥が見られたなあとか、そろそろあの鳥が鳴き始めるかな』とか振り返ったり、時期を予想したりするそう。
今回は……
カイツブリ
カルガモ
オオバン
ガン
ツバメ
ウグイス
カッコウ
コゲラ
オオヨシキリ
ヒヨドリ
シジュウカラ
スズメ
ハシブトガラス
ハシボソガラス
カワラバト
キジバト
メジロ
カワラヒワ
ヨシゴイ
ガビチョウ
ヤマガラ
などが見られたようです。結構種類が多い!
わたしはウグイスとカッコウくらいしか分かりませんでした!
野鳥と生態系の関わりに興味が出てきたし、もう少し頑張って名前と鳴き声と姿を一致させたいと思います。
帰り際、五百淵の葦のしげみで、こんな鳥を発見!
オオヨシキリ……かなあ? この鳥のおかげでカッコウが増えた。だけど、托卵されるオオヨシキリは迷惑千万かもしれません。
そして、散策でおなかが空いたわたしは、おやつタイム♪
次回の探鳥会は9月とのこと。ぜひ参加したいと考えております!
いただいたサポートの半額は、跋扈するニセアカシアの伐採をはじめ里山保全に取り組む日本野鳥の会郡山支部に寄付いたします。残りの半額は、生態系に関する活動をされている方の取材費(おもに交通費)に使わせていただきますので、サポートよろしくお願いいたしますm(_ _)m