脳の記憶の謎とゲル
*前半無料です
人の身体のほとんどはハイドロゲルで出来ています。
その中でも特に不思議だと思うのが脳と生体筋肉です。
今回は脳と記憶にスポットをあててみます。
脳はどうやって情報を記憶しているのか?
どうやって情報を消去(忘れる)しているのか?
記憶には短期記憶と長期記憶があります。
さらに、一部の記憶は思い出すたびに強化されます。
そもそも、記憶に関わる細胞は脳にどのくらいあるのか?
様々な角度で研究が行われていますが、まだ分からない事が多いのが現状です。
脳はどのような細胞で出来ているのでしょうか。
脳細胞の1割は神経細胞(ニューロン)、9割はグリア細胞で出来ています。情報伝達と情報処理を行うのがニューロンですね。
神経細胞が他の細胞と違うのは、樹状突起というものが付いている点です。
この突起は電気信号をキャッチするアンテナの役割を果たしています。
神経細胞(ニューロン)の構造図:赤色の枝分かれしている部分が樹状突起(Wikipedia)
脳の神経細胞(Wikipedia)
グリア細胞はニューロンに栄養を運び、電気信号の伝達を手助けしています。かつてはグリア細胞の役割が分からなったため、人は脳の9割以上を使っていないと言う誤解が広まりました。
また近年、グリア細胞はニューロンのシナプス形成をコントロールしているということが分かってきました。シナプスはニューロンどうしの結合部位のことです。
つまり、グリア細胞は記憶や学習に大きく関与していると考えられます。
脳は得た情報を大脳皮質で整理し、海馬に一時保存します(短期記憶)。そして、その中から長期保存する情報を大脳皮質に送り返します(長期記憶)。
どのようにして情報を取捨選択し、記憶しているのか、とても興味深いですね。繰り返し学習したものや、感情を大きく動かすような情報が長期記憶されると言われています。多くの人の経験からも、それは確かだと考えられます。
磁気テープやハードディスク、フラッシュメモリは情報を正確に長期保存出来ます。しかし、自ら情報を取捨選択し、重要だと判断した情報以外を消去する機能はありません。
実は、刺激応答性ゲルを使い、脳と同じように情報を記録・消去させる研究があります。
この研究はとても面白く
「脳とは何か?」
「どんな機能を持つゲルなのか?」
という事を考えさせられるものです。
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