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溶かすことが全て!?

ゲルの研究をやっていて何が一番大変かと言えば、原料を水に溶かすことです。
そして、綺麗に溶かすことが最も重要です。
これは化学全般に言えることだと思います。
「溶かすことが全て」と言う人も居るくらいです。
それくらい、物質を液体に溶かすことは大切で、研究の成否を大きく左右します
普段、研究開発や分析業務をされている方なら、この苦労を分かってもらえると思います(^^;)

僕のやっているハイドロゲルの研究なら、90%以上が溶かすことと言っても過言ではないです。
既製品のゲルを使うこともありますが、そういうことは殆どありません。
基本的に、作製条件の分からないものは研究には使えないんですよね。
どんなゲルでも自分で一から作ります。
原料まで作るのは勘弁してほしいですね (^^;)

綺麗に溶かして、均一な溶液を作るのは簡単ではありません。
砂糖や塩のように、すぐに水やお湯に溶けてくれると楽なんですけどね...
水などの溶媒に、物質を完全に溶かすと透明な溶液になります
僅かでも濁っていたら、それは溶けたとは言えないんです。

特に、何らかの反応を行う場合、原料をしっかり溶かしていないと、反応後に得られる目的物質の量が少なくなります。
最悪の場合、反応がスムーズに進みません。

ゲルの場合は
・一部しかゲル化しない
・原料の粉などが残ってしまう
・想定よりも柔らかいゲルになってしまった

こんな感じになります。
僕がメインでやっている温度応答性ゲルの場合、
綺麗に溶かすことが出来ないと温度応答性の無いゲルになります。
ただのハイドロゲルですねw
一体何を作っていたんだと頭を抱えてしまいます。

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特に困るのが、原料の粉末が吸水して膨らみ、溶けずに透明なゲル状になることです。
一見、全体が透明で均一な水溶液のため、溶けたと思い込んでしまいます。
よく観察すると分りますが、今でもやってしまうミスです。

完全に溶けないものを使うときもあります。
これはこれで大変です。
使用する溶媒に溶けないので、溶液は濁ります。
すると、塊や異物が混ざっていても分からないんですよね。
もちろん、そうならないように、溶ける物質から反応容器に入れて溶かし、最後に溶け難い or 溶けない物質を入れて混ぜます。

分析も同様です。
化学分析の大半は、分析したい物質を溶媒に溶かして行います。
綺麗に溶かして均一な溶液を調整しないと、正確な分析をすることが出来ません。
最悪の場合、溶け残った物質が分析機器を汚染してしまい、使えなくなることもあります

こんな感じで、化学においては物を溶かすことが重要なんです。
なかなか溶けない場合、最後は「必ず溶かすんだ」という気合で突っ走りますw
最初は論理的に考え、溶剤の変更や超音波などで工夫しますが、それでも溶けないときは力業になります。
とてつもなく溶け難いものを、一週間かけて根性で溶かしたことがあります(^^;)
そして、諦めることもありますw
諦めも肝心ですよね。


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