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カラオケで誰も知らない曲を歌う人にめっちゃ痺れる

表題、もちろん"良い意味で"です。
花椒が効いた担々麺くらい、良い意味で痺れる。

つい先日、私は一人きりでカラオケに行ってきた。いわゆるヒトカラ?ひとから?ひとカラ?というやつだ。(どれが正しいのか分からない)

常日頃、カラオケに行きたいと思いながら暮らしている人間ではないけれど、ちょっと普段の生活では出せないくらいの大きな声を出したくなった。思い返せば、半年に一度くらいは何かの折にカラオケへ行き、中々の大声で歌っていた。単純にそれが必要な時がきたのだろう。

満を辞してのひとりカラオケ!
何処かがおかしくなったわけじゃない。

さて、私はひとりカラオケを余興の練習で一度経験済みだったけど、永遠に同じ曲を30分間ループしていたので(ガチな闇練)、本格的にフリーダムなものは初めてだった。

「いざ入店」って時に突然の気恥ずかしさを感じたけれど、始まったら恥ずかしさは何処へやら、めちゃくちゃ楽しい!
3時間あの個室に一人、好きな曲を好きなだけ、自分のペースで歌えるの♪当然だけど。

誰かと一緒だったら絶対歌わないであろう宝塚歌劇の曲とか、マイナーなアニメのキャラクターソングとか。一人楽しさに狂いながら、3時間歌い続けた。

これまで私は、カラオケでその場の誰も知らないであろう曲を歌ったことがない。職場の人と行く時はもちろん、趣味の合う仲間同士で行く時もそうだ。

とりわけ、全員が知っているであろうメジャー過ぎる曲を歌うのが好きだ。というか、知っていてくれと願いながら選曲している。選曲が上手くハマれば、フェスに「ORANGE RANGE」が登場し『上海ハニー』を歌った時くらい盛り上がる(かもしれない)。

しかし、私がそうやってお茶を濁すようにドリカムを歌っていたある夜。2年ほど前、職場のメンバー10人ほどでカラオケに行った時のことだ。

当時入社したばかりだったある男性が「在日ファンク」の『ぬるまゆファンク』を歌った。ファンの方の目に触れたらちょっと申し訳ないけど、私も含め、その場にいる誰もが初めて聞く曲だった。20〜40代のバラエティに富んだメンバーだったが、誰も知らない。

彼が「ぬるま ぬるま ぬるま ・・・」と歌い出した瞬間、決して狭くはない個室が大きくどよめいた。一体何が起きているのか分からない混沌の渦に包まれ、その数秒後には笑いが込み上げた。

「さすがに面白すぎる」
その一言に尽きた。

曲調もさることながら、「ぬるま ぬるま ぬるま」の連発といい、彼の上手いのか下手なのかよく分からない歌い方も絶妙だし、何よりも“誰一人として本家を知らない”という状況が一周回って心地よかった。

それからしばらくの間、私たちの中で『ぬるまゆファンク』が大流行(曲名だけで笑えるレベル)したのは言うまでもなく、大人しいと思われていた彼の評判までも一気に塗り替えることになった。もちろん良い意味で。

大げさかもしれないけれど、彼はそのたった一曲で、彼自身の人となりを表現してしまった。

(その場にJ.Y.Parkさんがいたら、彼はスター性キューブを獲得したに違いない)

彼の偏愛は大衆に届いた



私は何を歌えば自分を表現できるだろうか?

なぜ私は趣味を隠しているわけじゃないのに、好きな曲を歌わないのだろうか?


一人きりのカラオケで、そんなことをチラッと思いながら、ひたすら歌った。またいつか大人数でカラオケに行った時には、私も偏愛をみんなに届けて、スター性キューブを獲得してみたい。

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