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食事の楽しみ

父は教員で、私が子供のころは教頭だった。

なのでまぁ、いま考えてみると、そもそもが権威的な志向の強い人だったのだと思う。

で、周囲にはひた隠しにされていた、家庭内での問題がいろいろあって。

そうそう、本当にいろいろあったんだろうとは思うけど…。

私が小学一、二年生のころ、いきなり「食事中は話しちゃいけない」と、言い出した。

それだけでなくTVを点けるのも禁止だし、笑っても叱られて。

とにかく黙々と、食べることだけに集中しろと言われた。

どれくらいの期間だったのかなぁ、2年くらい?

父が同席してるときの食事はお葬式みたいに、みんな黙ぁって下向いて。

静まり返ったリビングに、食器や箸が立てる音と、咀嚼音だけが響いてた記憶がある。

本当に何食べても、砂噛んでるみたいに味がしなかったなぁ。

あのときから私にとって、食事は苦痛でしかなくなって。

いまもなお、食事の時間を楽しむことができない。

できることなら、食事のために貴重な時間をムダにしたくない、って思っちゃう。

だからねぇ、いま“黙食”とか言って、学校で子どもたちが同じようなことをされていると思うと、とても胸が痛むのですよ。

しかも最近は簡易給食とかって「早く食べろ」圧力まで掛けられてるみたいで。

この経験によって私みたいに、食事の楽しみを奪われる子どもがいると思うと、とても悲しい。

飲食店でもたまに見掛けるよね、「黙食にご協力ください」って。

あれ見ると、本当にゾッとする。

好きなお店が大変なときだからと、そういう思いがあって行ったときには、なおさら引いてしまう。

もちろん、お店の人が悪いわけじゃないのは分ってるけど。

やっぱりどうしても、子供のころのこと、思い出しちゃうんだよねぇ…。

つまり、子供のころの記憶は、いつまでもその人の中に居座り続けるってことですよ。

だから、こんな悪い冗談みたいなこと、もうやめにしませんか?

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