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ハラスメント予防研修


はじめに

お久しぶりです。劇団鏡です。

今回は、先の6月に実施したハラスメント予防研修について、お話しします。

研修は、8月に本番を迎えるはずだった公演(『赤い地平線』)に際しての取り組みです。
稽古が本格的に始まる前の、いわば事前段階として、座組全体で研修を受けるよう劇団として働きかけました。

研修を行うにあたって

講師のご紹介

講師には、心理臨床オフィスinemuriの露木友子さん(臨床心理士/公認心理士)にご依頼をしました。

inemuriさんのホームページです。露木さんの詳しいプロフィールも載っています。また同サイトの「ブログ」ページには、同じように研修を受けた方々の感想等も載っておりますので、ご興味ある方はぜひ。

研修といっても授業のように黙々と行うわけではなく、みんなで円形に座って、お互いに話し合いながら学んでいくような柔らかい時間でした。

露木さんの丁寧なヒアリングのもと、「互いに尊重し合う創作」について考えを交わす時間を過ごします。

座組のメンバーの話を聞く俳優やスタッフの皆さん

なぜ研修を行なったか

研修を行なった目的としては、大きく二つあります
①ハラスメントについての意識と基礎的な知識を、共通の認識として確立すること
②この座組に対しての関わり方の確認や不安を払拭すること

②については、以前のnote『稽古前の稽古』でも書いたように、
ハラスメント等、そういったものに対して不安がある場では、各々が自身の力を発揮するのが難しいと考えてのことです。

これらの目的を基に、研修を行いました。

研修での発見や学び

研修では、
「そもそもハラスメントって何?」というのを確認するために、細かな実例や他団体のハラスメント規定/ガイドラインを参照しながら、普段見落としがちな意識を確認したり、新たな知識を学んだり。
また、「相手を尊重するためにはどうすれいいか」について考えるための資料も、豊富に提示していただきました。

新しい学びはもちろんのこと、ハラスメントに対する自分達の意識を再確認するきっかけにもなったと思います。

一方で研修の内では、お互いに話し合う時間も設けられ、
自分が携わってきた公演などをはじめとして、自身の経験から「これってどうなんだろう」と感じた内容や、
その日の研修で学んだことに対して感じたこと、考えたことなどについて話し合い、互いの心の内をそれぞれの歩幅で共有していきました。

その流れで、稽古や上演に関する各々の不安などを共有したりもし、
ハラスメントに関する話を中心に、この研修を踏まえて臨む今回の稽古や上演に向けての、互いの考えや認識を共有していく時間でもあったと思います。

そのために、
「なぜこのような研修の時間を設けたのか」に関して、主宰からその意図の共有が行われたり、
本公演の稽古中に不安を感じることが起こった場合に誰に連絡し、どのように対処していくかといった具体的な対策についての確認なども参加者全体で行われました。

おわりに

業界とハラスメントについて

ここ数年になって、演劇の業界におけるハラスメントの問題意識は急速に高まっています。
告発などによって明るみになった問題も数多く、一方で未だに解決していない件もまた多くありますが・・・、
業界の自浄作用を高めようとする動きは前にも増してみられるようになってきたと思います。
業界のスタンダードを更新するために、それぞれがいま自分にできることをと、様々な取り組みに動いていると思います。劇団鏡も、その一助を担えればという意識で、活動を考えています。

「ハラスメント」と言葉にすると、途端に見落としてしまう部分もありますが、本質は「個人の尊厳」だと考えます。
「ハラスメントだから良くない」と思考停止をせずに、その本質を損なわずに、互いの尊厳のために何ができるかを劇団としては考え続けたいと思っています。
その上では、「演劇」もそのためのツールであるという側面もあると考えています。

研修を通して目指したこと

今回の研修も、その一環でした。
今回の座組が『自分達が相手の尊厳を傷つけない場』であり、『自分もまた、相手から尊厳を傷つけられない場』であるためには、どうすればよいか。
もちろん、話し合いをしただけで、全幅の信頼を置ける場をつくれるとは思っていませんので、あくまで「そのための第一歩」であったように思います。

自身が携わる創作の場を信頼できるということは、自身の力を存分に発揮して良質な創作をするために必要なことです。
契約書しかり、研修しかり、
個人の尊厳のための決め事や認識を、共通のものとして確立するのは、そのためにも大切で、必要不可欠なことだと考えます。
(当たり前のことかもしれませんが、改めて。)

この先も

契約書をつくることや、場を構えるということ。
そのほか、様々な部分で至らぬ点は多々ありました。
それらの問題点を反芻しながら、
「個人の尊厳が確保された創作のためには、何が大切で、そのためには何ができるか」ということを、これからも考え続けていきたいと思います。
そのために、これからも何かを誰かと創作する際には、その第一歩としてこのような取り組みをしていきます。

私たちは、一人ひとりが考え続けていくということが最も大切なことだと考えます。

こちらもまた、各々考えながらの研修を受ける様子

芝居を主催する側として、その創作の場(稽古場など)の作り方には細心の注意を払って創作ができたらと思います。

それでは。

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