「石榴」閉幕しました。そのに。〜役者の事後紹介後編〜
どうも、劇団HEN/SHIN主宰のA-ta.です。
こちらは「石榴」閉幕しました。そのいち。の続編となっております。
まだの方はぜひ前回の記事をご覧ください。
さて前回に引き続きまして、今回は役者の事後紹介part2から行きたいと思います。
すぐ入ります。スピーディな単刀直入です。
役者の事後紹介
本番直前、突然素敵な写真と共に役者紹介を始めました。
イヤ、これは単なる思いつきではありません。元々頭の中ではやりたいなとずっと思っていたんです。
ただ、撮影等の関係ですごく直前になってしまったんです。
………言い訳ですね。すみません。
気を取り直してまた今回も撮影時のエピソードと共に書いて行きたいと思います。
伊東 健児/店長/二宮/立会人――堀越 麟平
撮影時、最も意外だったのが彼でした。
だって、なんかすごい撮られるのが上手いんですよ。
やってた?と思うくらい自然に、色んな表情やらポーズやらを取ってくれました。
なので、残念ながら枚数が少ないんです。
そんな数少ないショットから厳選して見ていくことにしましょう。
後半の写真、これは私の指示です。
ある日の稽古のワンショットで、暴れん坊健児の写真だったんですけど、ものすごい躍動感のある写真が撮れまして。
それを見た時から私の中で彼が龍が○くシリーズに出てくる人にしか見えなくなりまして。バーンと下に組と名前が出てくるような笑
それでガンつけてみようって言ったのが↑の写真ですね。
初めの方がそつなくこなしすぎて面白くなかったので(?)、彼の持つおかしみを引き出したかったんです。
そんな彼に選んだのは「野生」「奇抜」「情熱」です。
まず野生については、初っ端から説明が必要ですね。
彼が最もメインで演じた伊藤健児という役は、「石榴」を観た方なら分かると思いますが、先述した通り非常に、それはまあ暴れん坊なんですね。
あれは、そんな暴力的シーンの動きをつけるぞ!という稽古の時です――
妻・香里の胸ぐらを掴むシーンで、なぜか彼はミーアキャットのように伸び上がって威嚇を始めたわけです。
まるで、マウント(物理)を取るかのように。
思わず止めましたね。すぐ止めました。
どうしたどうした?!と稽古場が騒然としたのを今でも覚えています。
何十回とやってなんとか矯正できたんですが、他のシーンでもとにかく野性味を言動の端々に感じまして。さっきの龍シリーズじゃないですけど。
それで真っ先に、迷いなく野生の二文字が浮かびました。
続きまして奇抜についてです。
これは決して見た目とかの話ではなくて、中身の話です。
安永の紹介で初めて彼に会った時、スーツでビシッと決めていかにも真面目そうな、そんな印象を受けました。
…しかし、知れば知るほど、「こいつ、おもしれえぞ」となり始めまして。
実は彼すごい経歴の持ち主なんですが、それに至った経緯とか、掘れば掘るほど色んなものが出てきて、私の中で彼はもう常識人の皮を被ったやべえ奴になってしまいました。
考え方も自分の世界がすごくあって、まぁ、とにかく彼の全てが奇抜なんです笑
今思い返すと役者インタビューでもその片鱗が見え隠れしてましたね。
最後に情熱についてです。
私も中々に演劇に狂ってると思ってましたが、彼もかなり演劇に狂っています。いや、狂わされたと言うべきなのか…
その胸に秘める演劇に対する情熱には、本当に感心させられます。
稽古の帰りとかに自分はこうしたいんすよ、みたいに色んな話をした記憶があります。
とまぁ色々書いてきたんですが、本当に、彼と出会えたのは安永からの紹介のおかげなわけで。安永の後輩ってことで会うことが出来たので、つくづく人との縁ってどこで繋がるか分からないなぁと思うんですが。
少し先述しましたが、彼はすごい経歴の持ち主ですし、演劇にとにかく熱い男です。
今回は役者をやってもらいましたが、実は元々演出志望。役者をやるのは高校生ぶりだったそうで…笑
基礎練等でも一番ヒィヒィ言ってたのを思い出しますが、それほど彼の中でガチガチに役者をやるというのは初めてだったようです。
しかし一番最初、役決めの読み合わせの際に度肝を抜かれました。
どの役を読んでもらってもしっくり来ると言いますか。どれでもいける、どれも違う人に見えるというのは、私の中で正直驚きでした。
それくらい器用で自分の中で役をこちらから言わずとも組み立てられるところが間違いなく彼の1番の強みだと思います。
だからこそ、こんなにたくさんの役をやることになったんですね笑
いや、こんなにたくさんの役をやっても、全員違う人に見えるんですよ、これが。
これから彼は社会人になって演劇を一旦お休みしてしまうかもしれませんが、またやることがあれば、一緒にやりたいですね。
でも彼は千葉の人間でして。ここだけの話、本人は千葉で演劇をやりたいそうなんです。千葉には特別な思い入れがあるとか…ゴニョゴニョ
あんまり言うと彼の夢に関わってきますので、この辺で失礼します。
伊東 香里/小林 弘子――美晴
実は彼女、時間の都合で撮影のトップバッターでした。
トップバッターって、何でもそうですけど緊張するじゃないですか。
でも彼女は全く動じることもなく、楽しそ〜に撮られていました。
早速見ていきましょう。
全員最後にオフショットを撮ろうみたいな流れになったのは、Xの方に載せた謎の埴輪ショットから始まり、美晴のおちゃらけ具合がイイネ!ってなったからだったような気がします笑
そんな彼女に選んだのは「快活」「大胆」「愛嬌」です。
まず快活ですが、これはもうそのままの意味です。
とにかく彼女、明るいです笑
あと安定してますね。いい意味であまり周りに影響されないというか、流されないというか、自分がある感じがするので。
あ、あとものすごくパワフルですね。本番の日も早朝から仕事してから来たりとか、もうね、ビックリですよ。尊敬します。
だから彼女がいると場が明るくなっていいです。ほんとに。その明るさに、ポジティブさに、何度救われたことか。
劇中では一切使い所なくてもったいなかったですが、彼女関西出身でして。普段はゴリゴリの関西弁で話すんですよ。それがまたいい味出してます。
…いつかそういう役やって欲しいなぁ笑
続きまして大胆についてです。
これもそのままの意味ですね。とにかく大胆。恐れないし度胸がある。
いやね、堀越もそうなんですが、一応我々母体が劇団テアトルジュンヌという立教大学の公認サークルなのですが、彼女は別に何も関係なかったわけですよ。
それが今回安永に紹介されて初めて会って、次会う時にはもう稽古で、という恐ろしいスピード感でどんどん進んで行ったんですが、全くもって人見知りもしませんし、何ならすぐに馴染んで「一緒に演劇やったことあったっけ?」となったわけです。
臆することなくガンガン前のめりに来てくれたからこそ、私も非常にやりやすかったですね。
最後に愛嬌についてです。いやこれもそのままの意味…笑
なんんんんの捻りもなくてごめん、という気持ちなのですが。
ほんとにいつもニコニコしてますし、おどけますし、おもろい事言いますし。
愛嬌の権化みたいな人ですね。彼女は。
初めて会った時のこと未だに覚えてるんですけど、ずーっとニコニコしてましてね。表情崩さないんですよ。リアクションの時もコロコロ表情変わって、こいつァ生まれながらにして役者気質だと思いましたね。
初めて会った時、すでに脚本が書き上がっていたので、堀越と一緒に読んでもらったんです。
そしたら面食らってる堀越の隣で、目をキラキラと輝かせながら「めっちゃ面白そう!」とワクワクしている彼女がいたわけです。
それはそれはもう今にも演じたそうな様子でした笑
それも相まって、ぜひとも役者をやってもらおうと決心したんですね。
役決めの時、ぶっちゃけものすごく悩みました。どの役も見てみたい、そう思いました。
色んな役をスイッチしながら読んでもらったのですが、彼女が香里のパートを読んだ時、私は確信しました。
間違いなく彼女しかいない、託してみたいと。
そんなこんなで、悩みに悩んで、聡一郎の人格形成に多大なる影響を与えた母という香里、そして総菜のお局パート弘子の2役を演じてもらいました。
どこまで言っていいのか分かりませんが、彼女映像系の演技のスクールに通っておりまして。
女優の卵、と言っていいんでしょうか。
そのためかは分かりませんが、初めの頃はなかなかに苦戦しました。
映像用の演技と舞台用の演技って求められるものが根本的に違うと思うんですよね。
だからそれに慣れている彼女の演技は、私の目からは小さく見えました。どちらかというと私は、大きい演技が好きなので。
初めの頃はそんな感じで、何回やってもなんか物足りないなぁ、自然すぎるのかなぁ、でも露骨すぎても違うしなぁ、ととにかく堂々巡りでした。
しかし、私がもっともっと!動きも感情も自分が思う2倍くらいの演技してみて!と伝えると、彼女の演技はガラッと変わりました。
というか、これが彼女の本来の姿だったんだ、とそこで初めて分かったとも言えます。
そこからはあまり苦戦しませんでした。
彼女は元来ダメ出しの飲み込みが早く、ダメ出しされてからのレスポンスも早かったのでほんとにトントン拍子で香里も、弘子も完成していきました。
そんな彼女の、これからの活躍に乞うご期待。
小野 菜穂子/橋本 早紀――安永かなえ
諸事情によりSNS上に顔出しできない安永。
彼女の素顔は実際にご観劇いただいた方のみぞ知る――
そのため今回はマスクとサングラスという不審者にしか出来ない装いでの役者紹介になりました。
カッコつけた写真もありますので、見ていくことにしましょう。
こんなオシャレに撮ってもらってますが、一部の写真は増田(金成役)とシンクロしておりまして…
安永と増田は、たまにこういう奇跡的なシンクロを生み出すことで有名です。
にしてもこんなシンメトリーにシンクロします?普通。もはや恐れを感じるレベル。
全体的に表情見えないはずなんですが、なんかそれぞれ違って見えるのが不思議ですし、面白いですよね。…これが表現力?
そんな我らが看板女優に選んだのは、「自然」「独尊」「明瞭」です。
まず自然ですが、割とそのままの意味かもしれません。
彼女はほんとにいつでも自然です。ありのままというか、飾らないというか。
今回彼女に託した役の1つも、本人も言ってましたがどこにでもいそうな人、人生で一度は出会う人でした。それをものすごく自然に演じてくれていて。
さすが私と近しい職種!と思いました笑
解像度が高くてありがたかったですね。
次に独尊です。これは一歩間違えると悪口か?と思われるので説明が必要です。
彼女は、いい意味で、いい意味で天上天下唯我独尊なんですね。我が道を行くし、決して流されない。
だからと言ってワガママだとかそういうわけではなく、ただ独尊なんです。
私は自分で言うのもあれですが割とネガティブなので、いつでも彼女のそんなところに救われてきました。
…本当は着いてきてくれてるんじゃなくて、私が着いて行ってるのかもしれません笑
最後に明瞭です。これは分かりやすくそのままの意味です。
彼女はとてもハッキリしているので、信頼出来ます。裏表もなく、いい事はいい、ダメな事はダメなので、いつも話が早いというか。
あとこれは中身と関係ありませんが、とにかくめちゃくちゃ声が通るのでいいなと思います。初めて会った時からいい声してるなと思ってました。役者としてかなりのアドバンテージだなと個人的には思います。
安永に関しても、役決めの時非常に悩みました。
実は一番最初、彼女を千佳子にする気満々だったんです。何故なら唯一私が演出をやる稽古場の経験者だったので。私も色々とやりやすいだろうし、彼女が千佳子ならイメージと近いと思っていました。
…違いますよ、大学時代彼女が病んだ役をやったことがあったという意味ですよ。だから私の中で彼女が千佳子をやる姿が想像しやすかったんです。すごい誤解生みそうな表現しちゃったので一応。
でも彼女も社会人で忙しかったことに加え、役決めで本を読んでもらった時、菜穂子や早紀の方がしっくり来るなという感じがありました。だから最終的にこの2役を演じてもらったんですね。
菜穂子に関しては、稽古を進めていく中で、もっとこういった一面が見たい!という気持ちが湧き、台詞を後から何個か足しました。
出演時間としてはわずかだったかもしれませんが、確実に劇に影響を与える存在でした。
次回こそは、ガッツリ演技している彼女を見たいですね。
…半分、私次第かもしれませんが笑
特大ボリュームのため全2回に分けてお送りしました役者の事後紹介もいよいよ幕を閉じます。
今回本当に端から端まで粒ぞろいな役者陣だったので、またいつか一緒にやりたいなと思いますし、今後の彼らの活躍に期待すると共に心から応援しています。
気に入った役者がいましたら、ぜひ今後も推してあげてください。
さて、次回からは何を書こうかな〜〜と悩むところですが、やはり、時系列順に振り返っていこうかなと思っています。全てのはじまりである脚本演出にまつわる裏話や稽古場でのこと、音響照明、宣伝美術や衣裳メイク、制作へのこだわりなんかを書き残せたらなと思います。
仕事してたらあっという間に時間が過ぎていくのでスローペースではありますが、これを機にゆっくりと時間をかけて公演を振り返るのもアリかなと思います。
お付き合いいただける方はなにとぞよろしくお願いします。
ではまた。
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