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壱から始める猫キャンプ
三月に入りほとほと参っていた。
季節の変わり目の今キャンプ出撃予定日の度にやってくる低気圧、この時期、だいたい一週間周期で毎年日本列島には大陸の低気圧が流れてくるものだが…今年はまんまと我が家の出撃日である日曜日がターゲット
「今週どこに行けるかなぁ?」
予報を見ると必ずと言って良いほど
『春の嵐、全国的に週末は大荒れ』
と、大袈裟な予報のオンパレードだった。
普段ならば三月の雨など蚊ほどにも感じない二人だが好天を望む理由があった。
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三寒四温とはそもそも冬の気温周期らしいがこれは支那北東部から朝鮮半島といったシベリア高気圧の強弱周期の影響を受けるエリアの諺だったらしい。
日本においては太平洋高気圧の影響もあり必ずしも冬に起こる気象現象にはならずちょうど春先の今頃の周期的な気温の変化を指す言葉になっているようだ。
雨雲の発生要因の一つには空気中のチリやホコリがあげられるがこの時期の一週間周期の雨はウィークデイにチリやホコリが量産されそれを核とし水滴となり雨雲が週末に発生するという説もあるのだそうだ。
そんな日曜雨天続きの今年三月
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下記記事でお伝えした通り
大切な家族を失い失意のドン底の中、縁あって新たな家族を迎えることとなった。
愛猫ナツには替えられないと妻は初め再び里親になるという決断に躊躇を見せた。
それでも悲しみに憔悴する姿は見ていられるものではなく毎日のように涙に明け暮れる日々は私も同様に辛いものだったのだが新たな家族『こむぎ』の存在が程なくして悲しみの涙を泣き笑いに変えてくれることに
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新たにやって来たこむぎは可能性の固まりで可愛さと賢さそして物怖しない性格を見、今度こそはキャンプ猫に育てようという新たなモチベーションを二人に芽生えさせた。
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我が家にやってきた初日こそソファの下に入り隠れる素振りがあった彼女、翌日には慣れて元気に遊ぶ姿が見て取れた。
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里親さんの所ではケージ飼いをしていたとの事で、ある日、突然広大な空間を与えられ困惑しないようにと、先ずは生活空間をリビングのみに限定、隅々まで攻略できるようになったら次に2Fサンルーム(薪ストーブエリア)
そしてキッチンへと活動エリアを順次開放して行く、そもそもまだ『こむぎ』という音が自分の名前かどうか分かっていない状態でのエリア開放は行方知れずになった時探しようがないから。
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「こむぎ」と呼んで振り向くようになったのを見計らって寝室も開放、妻のベッドに一緒に入り寝るようになった。
コミュニケーションが深まっていくのを肌で感じたもの。
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根っからの探検家の彼女は勇猛果敢で新エリアの開放は彼女の世界を大きく広げ活発さはきっと今が頂点
そんな元気一杯なこむぎの姿は二人にとって同時に仕事の励みにもなって行く。
愛猫ナツを亡くしたその週の事。まさに茫然自失、気力を失った夫婦二人は閉店時間を迎え全ての片付けを終え店の看板電気を消したはいいが自宅にナツがいない現実と向き合えず何をするわけでもなく店に残りため息をつくと一筋の涙が頬を伝う。
ひと時も彼女の不在が頭から離れず誰もいない空っぽの自宅にただ真っ直ぐ帰る気になどならなかったのだ。
それがどうだろう今となっては急ぎ片付けをしてこの子に会いたい一心で急いで帰宅するわけである。
この子は今後キャンプに連れて行くしかない
かつてのナツのように置いてけぼりになんて決してしない…そんな気持ちが芽生えるのは当然の成り行きだった。
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次のステップはワクチンの接種のため車での外出となる。
たいていの猫はこれまでの経験上、車=病院という図式が出来上がってしまいとにかく車に乗る事を拒むようになる。
こうなってしまうとキャンプ猫どころの話ではなくなってしまうため車=嫌な思いをする場所という経験の上書きを行うことに。
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ワクチン接種後、体調の回復を数日待ち以降は事あるごとに近所の買い物などに連れ出した。
この時点でハーネスとリードの着用も同時に行う事にこれに慣れてくれないと話にならないからだ抱っこが大好きなこむぎは一人遊びの時以外は膝に乗ってきてデレデレそんな状態を好むー猫としては偏屈さの欠片も見当たらない性格を垣間見せている。
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車での外出に慣れるまであっという間だった初めこそエンジンの始動音やエアコンのブロワー音に反応したものだが三回目の外出辺りになると完全に慣れて鳴き声も出さず外の景色を見るようになったそのうち抱っこされると眠ってしまうまでに、その辺は人の子と変わりはないようだ。
そして最終ステップ
猫は靴を履いていないため生身の肉球でフィールドを感じるわけだが室内飼いの場合は生涯を通じて絨毯やフローリングそしてタイルなど人工物の感触しか経験しない
例えば突然草の上や土のフィールドにその足をつけたならば普段と違うその感触に驚き固まってしまう
これは家猫の場合、逃亡の防止に繋がるがキャンプでは無用な萎縮に繋がるのでキャンプフィールドを想定し庭を闊歩させてみる。
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すると…やはり初めて踏みしめる土や硬い草の感触に戸惑ったのか脚を縮め短足状態でにゃぁにゃぁと鳴き声を上げた。
それでもフィールドの感触にも直ぐに慣れ草の匂いを嗅ぎ、土の冷たさにもモノともしなくなった。
ついでに近所の満開の桜を観に出掛ける。
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「淡いグレーの君は桜もよく似合うね」
心なしか誇らしげな顔立ちに安堵。庭に植えてある夏椿には新芽が顔を出し始めている。
一足早い春の訪れを肌で感じる一日だった。
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さぁここまでで準備は八割方完了
キャンプデビューが楽しみ楽しみ!
つづきます
2021年4月拙著
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