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そろそろ、待ったなしの事業承継

診断士という仕事は創業から事業承継、経営革新、廃業と相談される企業の状況によってその対応範囲が本当に広いと感じています。

今日の話は事業承継についてです。日本の経営者の平均年齢っていくつぐらいかご存知ですか?下記の表の通りで団塊の世代とその下の世代が多くなっているのでまだまだ65歳以上のかたが現役で頑張っていらっしゃる状況で、70代の前半の割合もそれなりに高いことがわかります。5年刻みでピークの位置がずれているので、まさに今の70−74歳のゾーンがずっと牽引していたことがわかりますね。ただ、2020年のグラフを見ると、今までピークが1点に集中していたのが60歳から74歳へと少しずつ移動しているのが見て取れます。これは、事業承継が進んだからなんですね。

中小企業庁HP より

さて、この3年ぐらいはコロナだったので多くの企業が、事業承継どころではなかったと思います。まずは今の事業を残すことに力を注いできたのではないでしょうか?街中を歩いているとこのコロナを経て昔からあった店舗のいくつかが廃業しているのに気がつきました。逆にコロナを機に事業を閉じられた方も多かったということでしょうね。一方で、コロナを乗り切った企業はようやく本来の事業を再開できるようになってきて、コロナ以前からの社内課題にじっくり取り組むめるというわけです。

この3年間、本来であれば事業承継を進めるべき企業でもコロナを乗り越えることが優先されて、事業承継が止まってしまった企業が多くあるのではないかと思います。事業承継という言葉が頭に浮かびつつもやり方がわからないという企業も多いと思います。(そのために我々診断士がいるわけですけどね・・・)

事業承継自体は、「やります!」と言ってからすぐにできるものではなく、それなりのプロセスを踏む必要があるため結構時間がかかります。平均して5年から10年ぐらい。これは、現社長の引退までの期間ではなく、新社長への引き継ぎが完了するまでの期間と考えてください。(社長が交代して、会長として数年はサポートするイメージ)ということは、今の社長が65歳だとして事業承継が完全に完了する頃には75歳になっているということです。意外と時間がありませんね。

当然、現社長に後継者がすでに決まっていて今年の年度末で退任するからあとはよろしくという交代の仕方をしていけないわけではありません。このようにすれば1年で事業承継ができるようには見えます。ただ、後継者がどのくらい社長の仕事のことを理解しているか?社員の納得は得られているか?取引先との関係は継続できるのか?など、当事者間だけでなく、ステークホルダーを巻き込んで進めないと、後継者がとても苦労することになります。

一方で、後継者が決まっていないという場合は、後継者選びから結構時間がかかってしまいます。社内にその候補者がいればその方を育成していくことが必要ですし、株式会社の場合は株の譲渡をどうするのか?(譲渡するためには資金が必要)などの問題があります。また、後継者が全くいない場合は事業自体を継続していくのか(国としては産業振興のためには残って欲しい報告)、継続していくために売却(M&A)が可能なのか?その可能性もない場合は廃業の準備と結構考えることは多岐にわたります。

M&Aと聞くと大手企業のイメージがありますが、近年は中小企業間でのM&Aの数もだいぶ増えてきました。特に、高齢経営者からこれから事業を起こしたいという若手創業者への事業売却も注目され始めています。この場合は事業承継と創業が被った形になるので、また違った考慮が必要になります。

いずれにしても、事業承継にはそれなりのパワーがかかりますので、早め早めに準備を始めることは決して無駄ではありません。

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