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反美術史

反芸術、反美術、アンチアートみたいなものは耳にタコができるほど聞いたことがありますが、反美術史となるとさあどうでしょう。

エルンスト・ロベルト・クルティウスは、私が最も尊敬する文学研究者ですが、これはいただけないという文章をちらほら見かけたことがあります。例えば代表作の『ヨーロッパ文学とラテン中世』(1948)の中で美術史家を低く評価してるところです

エルンスト・ロベルト・クルティウス(1886〜1956)

クルティウスは、絵画は文学作品と異なり、その本質を直感的に理解できるという立場です。文字に頼らないので、学問的な解説や古典語の習得はいらないということです。
いわゆる芸術の体系的研究は言語学よりも簡単である。ピンダロスの詩を理解するためには厳しい精神的努力が必要だが、パルテノン神殿のフリーズを理解するためには必要ない
というもの。パルテノン神殿のフリーズが何を意味しているのか、クルティウスが立ち止まって教えてくれならよかったのですが笑

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