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【晩年のニコル君】

黄色いセキセイインコの〈ニコル君〉が、12歳になろうとしている。もうすっかり老鳥になってしまった。

すこし肌寒くなってきたので、先日ケージの中に電熱ヒーターをセットしてやったら、ヒーターの近くでジッとしていることが多くなった。

最近ではピーピー鳴かないし、お話も殆んどしなくなった。噛みつかなくもなったし、日中でもよく寝るようになった。

チリチリと弱々しい声で鳴くことが多くなったのだが、羽繕いはせっせとするし、止まり木を往復したりして動きはまだ活発だ。

そんな少しづつ年老いていく〈ニコル〉を見ては家内が寂しがっている。

「ニコォ、ニコォ~・・歳取ったねぇ、いつまで生きるのかなぁ・・元気でいてね」

そう言いながら人差し指の腹で〈ニコル 〉の頬っぺを撫でている。

〈ニコル〉は誰の手にでも乗る〈手のりインコ〉なのだが、頬っぺを撫でることを許しているのは家内だけなのだ。僕や息子が頬っぺを撫でようとすると、嘴で「ガッ❗️」と攻撃してくる。

自分にだけ頬っぺを撫でさせてくれる〈ニコル〉が、人一倍可愛いくて堪らない家内なのだ。

いつかはやって来る別れの時、家内がどれだけ悲しみ落ち込むのかを想像しただけで、今から思いやられるのである。


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