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【迫力勝ち②】

ある駅の近くにある〈信用金庫〉の駐車場には、1台の〈原付バイク〉が、いつも無断で停められているので行員が困っていた。

その日、ひとりの行員が小窓を開けて裏の駐車場を覗いてみると、1人の男がちょうど原付バイクを停めようとしているところであった。

いかにもがらの悪そうな強面こわもての男だったので、行員は少し躊躇ためらったのだが、勇気を振り絞って注意をした。

「ぁあ~~・・あなたでしたか、そこに停められたら困るんですよねぇ・・」

すると男が大声で怒鳴った。

「ここに停めてもらいとぉなかったらのぉ❗️塀を作れ塀を~っ❗️」

想定外の暴言に行員はビビってしまって、そ~っ!っと小窓を閉めるしかなかった。

・・実は〈原付バイク〉を停めていた男というのが僕の仕事場の同僚で、この話は、丸で武勇伝を語るように本人が披露してくれた話なのだ。

この同僚は、以前、上司と取っ組み合いの喧嘩をしたおりに、馬乗りになって上司の首を絞めあげたという経歴の持ち主なのだ。あの時、課長が止めに入っていなかったら、多分ヤバイことになっていたんじゃなかろうかと思う。

そんな、見るからに〈ヤ●ザ〉のような風貌をした恐ろしい同僚が得意げに話すのである。

だからここはひとつ、同僚として進言してやらねばなるまい。

〈あのさぁ・・お前、奥さんもいるんだし、40しじゅうを越えたいいオッサンが逆ギレしてんじゃねぇよ〉

と、言おうとしたのだが、首を絞められてはいけないので、心の中で呟いた。


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